JAMSTEC

トップページ > 機械学習を用いた海底地形図の高解像度化

機械学習を用いた海底地形図の高解像度化

近年、多層化したニューラルネットワークを用いた機械学習技術であるディープラーニング(深層学習)が、学術や産業のさまざまな分野において注目を集めています。特に画像の認識に特化した深層畳み込みニューラルネットワークは、大量の画像データから画像中の特徴量を抽出することで、画像のクラス分類や物体検出、異常検知等において従来手法を大きく超える高い精度を得ることに成功しています。その中でも低解像度の画像を高解像度化するのが画像超解像と呼ばれる技術です。低解像度および高解像度の2つの画像のペアを大量に用意し、両者の変換過程を学習することで、画像の高解像度化を実現しています。

本研究プログラムでは、画像超解像を行う5種類のディープラーニングアーキテクチャ(SRCNN、FSRCNN、ESPCN、SRGAN、ESRGAN)を実装し、JAMSTECが取得した中部沖縄トラフの海底地形図向けにチューニングを行いました。下図は、3.2km四方の領域5か所に対して、100メートルメッシュの海底地形図を50メートルメッシュに超解像した結果の一例です。いずれのアーキテクチャによる超解像結果も、Bicubic補間と比べて良好な精度が得られており、特に起伏の大きい地形や欠損値がある場合において高い性能を示すことが分かりました。現在、より広い領域への適用を可能とする汎化性能向上や高倍率化、海底地形学的な知見を取り込んだ機械学習技術の開発に向けて研究開発を進めています。

3.2km四方の領域5か所に対して、100メートルメッシュの海底地形図を50メートルメッシュに超解像した結果の一例