活動レポート >MR16-06 みらい観測航海日誌
MR16-06 みらい観測航海日誌
2016年10月4日 八戸港に到着
10月4日の早朝,八戸港に入港しました。外は何ともかぐわしく懐かしい港の香り。。。ここでは輸出の手続きをしていた研究機材(係留系)を降ろし,輸入するための税関手続き,並びに,乗船者の入国手続きのための停舶です(外国に行く航海の場合は,乗船直前に出国手続きをします)。入国後はようやく日本の国土を踏めるというわけです!しかし,まだ下船ではありません。下船は,明日,むつの関根浜です。何で八戸で荷物と乗船者を降ろさないのか。。。時間と費用の…(略)
さて,さすがは日本の港,両舷側に見渡す限りのモノが見えます。航海中はときどき島や海洋動物が見えるくらいだったので,人工物を見るのは1ヶ月半ぶりというわけです。帰ってきたなぁ。。。と,心から思えない。だって“停泊”だもの。しかし,携帯やWifiの電波が入ります!これまでの細々とした衛星回線でのhttpsサイトに限った衛星通信と違って,すいすいネットサーフィンができるではありませんか!瞬く間にタブレット端末中毒に。。。Googleさいこー。Yahooさいこー。アプリのゲームおもろー!
そうこうしているうちに8時間程の停舶を終え,夕方16時に本船はむつに向けて出港。おぉ,海上には電波が無いアル。。。
さて,風速が20 m/sを越えつつある中,いよいよ明日,MR16-06航海は最終章を迎えます。台風が近づく中,着岸できるのか,帰りの電車動いてるか,などなどの不安をビールで打ち消しながらの今航最後の夜でした。
八戸港,右舷側
八戸港,左舷側
2016年10月2日 穏やかな海にお客さん
10月2日,本船は昨日から続く,温暖で風も無く穏やかな海を航行しております。2日深夜の本船の位置は,北緯40度,東経146度付近で,知床の南方,八戸の東方といったところ。昨日,ついに北極からの南下を終え,北緯40度付近から日本列島に向けて西に変針しているところです。この辺りは,北から来る親潮と南からの黒潮が混ざり合う,混合域と呼ばれる海域で,豊かな漁場としても知られているところです。
そんな混合域では,昨日,今日と,イルカの群れに逢うことができました。海を切って走る本船からたなびく波を楽しんでいるようで,併走しながら飛び跳ねております。何とまぁ,癒やされることでしょう。
というのは,見た人のキモチ。一方,筆者,本日は下船直後に迫る某学会の要旨を書いていたのですが,しかし!最悪なことに,操作ミスで書きかけの要旨を保存せずに閉じるという愚行をしたため,イルカが現れたときは,ちょうどふて寝していた頃合いです。結構な,踏んだり蹴ったり感。見たかったなぁ,イルカ (つω T)。。。
(写真は,北海道大学水産科学研究院 博士研究員の西沢文吾さんから提供して頂きました。)
マイルカ1頭
マイルカ3頭
2016年9月30日 あと一息が進まない
9月30日です。「みらい」はただいま,北緯45.5度,東経158.5度付近を南西に航行中。朝は12度程度だった海水温が,お昼頃に急に15.5度まで上昇。この緯度帯にしては,ずいぶん暖かい水だなぁ。。。
さて,去る9月22日に観測を終え,8日半ほど南西に走り続けた本船。地図を見る限り,30日現在の「みらい」は八戸港までもうすぐ到着しそうに見えます。しかし,この地図,高緯度ほど広がって描かれているんです(メルカトル図法)。北緯90度の北極点は,まさに点なので,地図の縦の線(経線)は一点に収束します。そこから南に行くに従って,地図の編み目は広がっていくはず。しかし,球体の地球を無理矢理長方形の面に引き延ばしているので,高緯度が縦にも横にも,実際よりは間延びしたような図なのです。
何が言いたいかと申しますと,地図上を船が進む速度が遅くなっているんです。実際の船速は通常営業なのですが。長い航海も終盤になると,働いていなくても疲れが出てくる今日この頃,早く陸の揺れないベッドでゆっくり寝たいなぁ,なんて心情の中,進んでない感。特に当たる相手は居ないので,とりあえず,「メルカトル図法めっ!」っと思いながら過ごしております。
八戸まであと3日半。
「みらい」の位置
2016年9月28日 バーベキュー
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9月28日。気圧の狭間を抜け,海は穏やかさを取り戻し始めていたところで,本日の夕食は甲板でのバーベキューでした。
観測の無事終了と,安全な航海を支えてくださった船員の皆さま並びに観測技術員の皆さまの労をねぎらうと共に,この航海で得た貴重なデータを良い成果とすることを祈念して乾杯!くぅ~染みるぅ~。
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ベーリング海からアリューシャン列島を抜け,北太平洋に出てきた本船。
外気は10度,風速10 m/sほど。うぅ,凍みるぅ。。。
ひとしきり肉を食べ終えたら,バーベキューの火が暖炉代わりに。染みるぅ♪
帰りの回航中の片付けや,航海関係の書類作業に追われる合間の催し。宴は夜遅くまで続いたそうな。
バーベキュー1
バーベキュー2
2016年9月26日 ベーリング海の時化
船内は9月26日。
ベーリング海を南下し,今夜にもアリューシャン列島を通過して日付を越えるくらいには太平洋に出ようかという辺りを南西に向けて航行中です。午後から風が20 m/s程度と強くなり,波高は最大で6 mを記録しました。
波は進行方向から向かって来ているため,船はピッチング(縦揺れ)しております。大きく揺れる船体が海面に突入すると,“どぉーーん”という衝突音とともに,時折大きなしぶきが上がりました。時には,船首で高く上がった大量のしぶきが強い向かい風とともに船橋にまで上がってくることも。なかなかの壮観。
しぶきと船体の関係を研究している北海道教育大の尾関さんにとっては絶好の観測日和となったようです。
高気圧と低気圧の狭間,いわゆる気圧の谷を航行中で,明日にはこの時化を抜ける模様です。昨日日付変更線を越え,船内の時刻改正の関係で,船内に9月27日を飛ばして,本日26日の次は28日です。
日本時間マイナス2時間となり,この先,数日の間は「みらい」は日本より少し未来におります。
この後船橋にばしゃーん
しぶき
2016年9月25日 結果速報セミナー
本船は,北緯57度,東経177度付近を南西に航行中。気温は10度程度と,外はずいぶ
ん過ごしやすくなって参りました。しかし,今年のベーリング海の海水温は高い
なぁ。。。平年より1~2度高いんじゃないだろうか。。。
昨日24日と25日には,今航での調査,結果の速報を皆さんにお披露目するセミナーが開かれました。どのような発表がなされたのかは,ArCSブログにお譲りするとして,25日に発表者だった筆者や周りの発表者の事について触れておきます。
24日。主席研究員の西野さんを筆頭に,調査終了直後にもかかわらず,皆さん綺麗に整理されたデータを示したり,さらには,陸上の人と協力して北極での観測エリアと周辺地域の大気場のシミュレーション結果と観測値を比較したりしているではありませんか!なんという仕事の速さでしょう。
ここだけの話,23日の深夜に実験が終了し,25日に発表しないといけない人への配慮に欠けていると思いました。誠に遺憾です!
セミナー後は夕食です。同じテーブルに25日発表組の何名かが同席し,皆で絶望感を共有しておりました。
A:「何であんなにちゃんとした発表するかねぇ!」
B:「全く,次の日に発表する人への配慮が足りないですよね。」
C:「シミュレーションモデルまで見せられちゃって。。。」
D:「みんな今,プレゼン資料の出来はどんな感じ?」
一同:「何もできてないしっ!」
さて,各研究者一斉に資料作りに向かいました。筆者は,その夜,疲労困憊を押して船内で測れる項目の分析をし,その後解析と資料作り。。。時計は午前3時を回っていた記憶を最後に,休憩がてらソファーで横になった瞬間に意識が飛んだようです。
来たる25日。本日の発表者は軒並み疲労が隠せないご様子。。。
。。。結果はと言いますと,さすがは百戦錬磨の皆さんでした。データの無さを補足資料で適宜埋めていくあたり,取り繕いの熟練者ですね。しかしながら,我々の多くがその取り繕いの熟練者なのでバレちゃうんですけどね(笑)いずれにせよ,お疲れ様でした。
BGM♪ 「透明飛行船」 Bump of Chicken
セミナー
2016年9月23日 採水の調査は終了
船内時間の9月22日,ベーリング海峡を南に抜けたところの最後の観測点(北緯65度,西経169度)での採水を終えました。そこで採った試料の分析などがあるものの,ほとんどの乗船者は本日で調査終了です。大きなトラブルなく調査が終えられたという歓迎の雰囲気。
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そんな和やかな空気が流れる中,筆者は,プランクトンの培養実験が続いているために表情は暗かったかもしれません。まだまだ続く濾過フェスティバル。
フェス。
いぇーい。濾過フェスのサウンドは,「ごーーーーー」と,水流ポンプの音のみ。ただひたすら,何時間も「ごーーーーー」。次の日も「ごーーーーー」。
「ごーーーーーー」。。。ろ過装置は何のビートも生み出しません。
明くる日の9月23日。調査終了により,人気の少なくなった実験室の寂しい感じの写真を撮ろうと,自分が立っている側の写真を撮影したところ,画面左側に動く物体!
何やつ!?と,冷蔵室から出てきたのは,大気観測の研究者の竹谷さんでした。
おぉ,ここにもまだ働いている人が!お互い頑張りましょう!と励まして頂きました。ありがたや~。
そして,23日に私の実験は無事終了。疲労困憊で翌朝は声が出にくくなるほど。
と安堵の私を横目に,竹谷さんはまだまだ,入港直前まで働くという。。。お,お先にあがります!
ろ過装置その1
ろ過装置その2とT谷さん
2016年9月18日 カナダ海盆から“脱出”
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9月16日の午後,北緯72度,西経155度付近の観測を予定していた本船。
しかし,状況は一変し,予定された幾つかの観測を中止してまで,南下し始めました。カナダ海盆に入っていくときは,チュクチ海からカナダ海盆を通過する十分な隙間があった海氷。
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「カイヒョウ,セッマッテル!カエレナクナッチャウヨ!」
(デフォルメしてます)
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と,海氷のナビゲーター,アイスパイロットのDukeさんの助言があったのです。
確かに,NOAAから提供される海氷の位置を見ると,カナダ海盆とチュクチ海は,海氷の帯によって完全に塞がれているではありませんか。
(海氷画像は,NOAA提供の情報を基に筆者がフリーハンドで書き加えました。)
筆者がこの情報を聞いた時は午後16時ごろ。
海氷位置
船内一同: 「え,もう塞がってるじゃん。帰れんの?」
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ざわわ,ざわわ,白い,海氷の帯(アイスバンド)に帰路を閉ざされたようにみえる本船。。。
急いで南下し,アイスバンド付近にたどり着くのは午前4頃。筆者,12時~翌日午前3時まで働くサイクルなので,その時は寝てるかな。
奇跡的でいいから通過できるといいな。
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で,午前7時。3時間も寝てないのに目が覚めました。部屋の窓から外を見ると,まだ見渡す限り海氷が。。。
航海日誌レポーター魂に火が付き,船橋に上がって様子を見に行くことに。。。
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船橋に入ったとたん,ピン張り詰めた空気。時間交代制で働いているはずの航海士さんたちが勢揃いして双眼鏡で目視をしているではありませんか!
船橋に走る緊張感
内心,来なきゃよかった。と思うほどの緊張感。それもそのはず,霧がかって遠くまでは見渡せない中,塞がれていたアイスバンドにわずかに開いてた1~2 kmほどの狭い隙間をまさに通過中でした。
レーダーで見る限り,ここしか空いてません。
レーダーに映し出された海氷
しかし,まだ霧の奥から新たな海氷が現れかねません。。。
右舷,左舷側ともに広がる海氷。
海氷は間近
次第に雪が強く降ってきました。。。
船長:「よっしゃ!」(こんな感じだったかな)
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無事,抜け切りました。アイスバンドの隙間。
あぁ,これで帰れる。
アイスパイロット,船,主席の英断に心より感謝するとともに,盛大な拍手を送りたいところです。
海氷をよけた航路
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さて,チュクチ海に入った本船はいったん西走し,西経168度45分のラインを南下しながら観測をする予定。
いよいよ終盤戦です。
BGM♪ 「僕たちの未来」 家入レオ
2016年9月16日・17日 てんやわんや
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9月15日,16日は,北緯73度18分,西経160度47分のハンナ海底渓谷の北方,および北緯72度28分,西経155度24分のバロー海底渓谷の北方に,それぞれ設置した係留系の回収・再設置を行いました。
当グループの小野寺主任研究員はこれら係留系の担当なので,大忙しです。
今年度回収した係留系は,昨年度の「みらい」北極航海で投入したものです。よくぞ戻られました。おかえりなさいませ。そして,2015年9月から1年間のデータが様々な計器に記録されているはずです。ここからどんな成果が出てくるか楽しみですね。
15日は,当グループの塩崎特任研究員が行う,窒素循環に関わる採水も行いました。微量なモノを何項目も定量するため,大量の海水を必要とする実験です。生態系の基盤を成す植物プランクトンにとって必須栄養素の窒素分。この研究から北極生態系の基盤を支える環境の理解が進むことが期待されます。
続いて,15日最後の作業は,筆者(杉江)が行う培養実験のための採水でした。北極海において将来起こりうる環境変化(温暖化や海洋酸性化)に対して,植物プランクトンを起点とした生態系がどのように応答するのかを調べます。
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写真は,6本の採水器から1つのボトル(中央上部)に集めることで均質化し,さらにその均質な海水を12本の培養タンクに分ける分配器。採水器と分配器,培養タンクを連結させれば,後は手放しでタンクが満たされるのを待つだけ!1人でできるもん!と意気込んで今航海のために,筆者が図面を書いて特注した装置です。
これを2基使用し,12本の採水器から24本のタンクに配水。見てるだけで楽ちん♪......…という思惑と真逆で,何十本にも及ぶチューブの取り回し,ボトルに分配される水の行方などの監視が常時必要で,1人では全く対応出来ず,数人が,手はおろか,一瞬たりとも目を離せない装置でした。。。
装置の目的機能は想定通り発揮してくれたのですが,まだまだ改善の余地があるようです。
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北極海での調査は残すところ1週間を切り,いよいよたけなわを迎えた当グループの研究員の様子でした。
洋上では,働き続けることが今日を越えて行く唯一の術なのです。
BGM♪ 「鐘を鳴らせ」 Dreams come true
ハンナ海底渓谷北部で回収した係留系
採水風景(塩崎)
培養海水の採取(杉江)
バロー海底渓谷の北方に設置される係留系
2016年9月15日 オーロラその2
2016年9月14日追記 深い海の凹みっぷり
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北緯73度51分,西経156度34分,この辺りから北の海一帯はカナダ海盆と呼ばれ,水深が3,500 m程あります。少し南のチュクチ海の水深が50 m前後ですから,もし,海が無くなった地球の北側には急峻な斜面があって,ペコッと凹んでいるようです。その凹んだお盆にはなみなみと海水が満たされている訳です。覆水難し盆の海水。
しかし,物を運ぶお盆は大して深い造りになっていないのに,海の深いところのことを日本語では海盆と言うのは何故だろうか。3,000 m以上凹んでるのに。
ちなみにですが,太平洋,大西洋,インド洋の平均水深は約4,000 mあるので,海が無くなった地球の表面はとても凸凹しているように思えます。
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その凸凹っぷりを計算してみますと,カナダ海盆の3,500 m凹みっぷりは,地球の半径が約6,300,000 mですから,0.055%凹んでいるという勘定になります。。。直径10cmのゲンコツで換算すると,28 μmの凹みに相当。。。
人の皮膚(表皮)の厚さが200 μm程度ですので,薄皮1枚,指先のささくれがちょびっと剥けた程度の凸凹のようです。
何だか,盆という表現さえ大げさに感じるほど,地球規模では凹んでいないんですね,海底って。
マリアナ海溝の最深部10920 mだって,エベレスト8,848 mだって,ゲンコツで言うところの皮膚のシワみたいなもんです。
地球はすべすべ地肌。
2016年9月14日 今航海の最北端
9月14日,17時を過ぎた頃,本船は北緯73度51分,西経156度34分,カナダ海盆に居ります。今航海で最北端の採水を行う観測点に参りました。外気は-1度ほど,風は9m/sほど。寒い。外での不要不急な作業は避けたいところです。
今航海最北端での観測は化学成分と微生物調査のための採水と,ネットによる動物プランクトンの採集です。採水器室は壁に被われているし,測器の中にある水が凍らないように弱いながらも暖房が効いているため,少し厚着すれば問題なく作業できます。問題は,筆者が担当したプランクトンネット。クロージングネットといって,目的の水深でネットを閉じることができる代物。100~200 mにいる生き物だけを採取したい!という希望が叶います。ちなみに,非乗船者のリクエストで,筆者のサンプルではありません。このクロージングネットの作業は,吹きさらしの甲板で2時間程度かかります。言うまでも無く,寒い。ただただ辛い。足裏用のホッカイロを仕込んでいても,足先の感覚がなくなり,指先は思うように動かなくなりました。何でこんなに辛い思いをしなきゃいけないんだろう。。。
とある日,クロージングネットのもう1人の担当者,Jさんとの会話。
筆者「いやぁ,クロージングネットは寒すぎですよね!辛いっ。辛すぎますよ!」
Jさん「そうだねー。さむいよねー。」
筆者「こうも寒いとやめたくなりません?」
Jさん「まーまーまー。もうすこしですから。」
筆者「Jさんは大丈夫なんですか?」
Jさん「まぁ,さむいよねー。」
とっても穏健なJさん。お陰さまで,まーしょうがない,次もがんばるか。という気持ちにさせてくれます。
北極海での調査は残すところ1週間ほど。まだまだやらなければならない項目が盛りだくさんなので,最後の最後まで,死力を尽くし。。。尽くすちょっと手前くらいま
で頑張って参ろうと思います。
今航最北端の観測点
北方での採水風景
クロージングネット
2016年9月13日 海の糸は海の牧草
「みらい」は引き続き北緯72度,西経159度付近でスマートフロートの観測をしております。外気は-3~-1度ほど。風は9 m/sと,体感としてはめっちゃ寒い!Tシャツ+作業着だけで外に出るもんじゃないですね。
去る8月31日,ベーリング海峡で採った海水で行っていた私の実験が終わり,実験ボトルの中にいたプランクトンを顕微鏡で観察してみました。海水を直接目で見るとホコリのように細長く見えたものの正体は,珪藻と呼ばれる植物プランクトン。中でも,Thalassiosiraという属の群体は長くて太め。写真の真ん中にある目盛りの上に見える,おいなりさんが連なったようなのがその,Thalassiosiraです。1目盛りが大体10 マイクロメートルですので,太さ30,長さ650マイクロメートルの糸。
学名のThalass-は海,-siraは糸を意味しており,Thalassiosiraは海の糸という意味の属名です。Thalassiosiraだけで無く,珪藻類の多くは,その他の植物プランクトンよりも細胞が大きいため,動物プランクトンにとって良い餌だと考えられております。動物にとって良い餌ということから,珪藻類は海の牧草と呼ばれます。
Thalassiosiraをよく見ると,T. nordenskioeldiiという種類が多いようでした。種小名はNordenskioeldi教授,人名です。植物命名規約というものがあって,名付けた本人(Clave)の名前は学名につけられないという決まりがあります。よく観察してみると,休眠胞子という,不適環境に耐えるための細胞も見られました。このT. nordenskioeldiiの休眠胞子は,筆者の博士論文で重要な役回りをしてくれたので,とても思い入れがあるわけです。
とまぁ,翼足類への愛が無いことは前の方の記事でも明らかなのですが,珪藻のことであれば,記事の内容がマニアックになってゆきます。愛。特定の対象を深く愛するあまり,時に視野を狭くし,公平性を逸する魅惑の想い入れ。
最後に,今の乗船研究者の誰からも見向きもされていないであろう,ワムシの画像をお送りします。沿岸にしか生息しないワムシ。ベーリング海峡の水深は50 m前後なので,彼らにとっての住み心地は悪くないようです。良く泳いで,かわいい。。。とは思いませんでした。
2016年9月11日 氷縁での観測
望遠鏡を使って,遠くの氷を細部までよくよく観察していると...たちどころに船酔いします。しかしながら,出港してからかれこれ20日以上経過したので,ある程度は船酔いへの耐性ができております。
さて,海の氷に話を戻します。本ブログでも記事があがっておりますが,夏でもしばしば降雪があるので,氷の上の方が白くて綺麗に見えます。純粋な氷だけの部分は青く,とても綺麗。しかし,氷の裏側はまさに裏腹で,黒かったり茶色かったりすることがあります。秋から冬の氷ができる際に海底の泥が巻き込まれたり,氷が移動する際に海底をこすったりして海氷の中に取り込まれるようです。海底の泥は生物がたくさん居るので,氷の中に閉じ込められた生き物がいるのかどうか,氷が溶けた後にこの生き物を含む泥はどうなるのか,研究者の興味は尽きないようです。
「氷,ほしいなぁ。」 (詠み人複数名)
さて,氷縁域の観測は,これまでどおりのニスキン採水器を使った海水の化学成分や(微)生物の試料を採る以外に,ゾディアックと名のつけられた小型ボートを海に出して行う観測もありました。本船の周りに時折見える,ぷかぷかと浮いている小さな海氷。
「氷,ほしいなぁ。」 (詠み人複数名)
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帰りがけ,お土産に裏が茶色くなった海氷を拾って頂けました!
それに群がる研究者。ハイソなシティーボーイへのバーゲンセールよろしく,研究者への海氷。かくいう筆者も群がっている側ですが。。。むふふ。
氷縁観測
Ices
ゾディアック進水
裏が汚い氷アップ
2016年9月7日 追伸,翼足類担当者さま
現地は9月6日の19時ごろだったでしょうか。北緯71度52.6分,西経156度2分の観測
点,バローの沖合にあるバロー海底渓谷におります。この辺りの水温は0~2.5度,気
温は氷点下1度~2度程度で,風は10 m/s程度吹き続けております。言わずもがな,寒い。昨日はごくわずかですが,粉雪が舞い,私にとっては今年度の初雪となりまし
た。
そして本日,本航海で初めて複数個体の翼足類を採取できたことを確認いたしまし
た!
先日,採れないことに悩み,打ちひしがれ,周章狼狽していたことがウソのように,
船内のプランクトンネット観測の一同は沸き立ちました。歓喜の余り涙を流す者
も。。。ということは特になく,
筆者:「あ,いるいる。」
Aさん:「あ,ホントだー。」
Jさん:「よかったよかった。」
筆者:「ブログにあげるからピックアップして写真撮って良い?」
Aさん:「もちろんです。」
<ピンセットで拾い上げながら>
筆者:「あー,殻が割れちゃったぁ。」
Aさん:「あはははは」
Jさん:「殻が薄かったのかもねー。」
<ぱしゃ,ぱしゃ(顕微鏡の接眼レンズからipodで撮影)>
Jさん:「あー,きれいきれい。」
筆者:「顕微鏡ありがとー。で,こいつら実験に使う,Aさん?」
Aさん:「あ,今は全然要らないんで,捨ててください。」
筆者:「はーい。」
ぱしゃっ...
実験室のシンクに消えていきました。
(もちろん,持ち帰りの試料は別で保管しております。)
愛,なくても採れました。
翼足類発見!
2016年9月4日 拝啓,翼足類担当者さま
こちら「みらい」は北緯71度20分,西経157度19分におります。気温は時折氷点下にもなっている,アラスカはバロー沖の海底渓谷,バローキャニオンの観測点です。航海が始まって1週間程度しか経っていない内ではございますが,ご報告差し上げます。
翼足類がぜんぜん採れません。
どうしてでしょうか。たまたま居ないのでしょうか。それとも採取する我々が翼足類を欲していないから採れないのでしょうか。言い換えれば,翼足類への愛が足りないのでしょうか。にわか仕込みの愛では相手に失礼かと思っておりますし,私には愛すべきもの(植物プランクトン)もおります。守るべき物(培養実験)もあります。しかし,このままでは,翼足類研究の歩みを遅くさせてしまうかもしれません。それだけは避けたいという気持ちは強くあります。
どうしたら採れるのでしょうか。我々は,今,自分の目の前の愛す者を捨ててまで他者を愛さないといけないのでしょうか。神様はどうして一度に多くを愛することを禁じてしまったのでしょうか。
ここ数日のプランクトンネット観測における一コマでした。
ネット採集チームより愛を込めて。。。
写真の,楕円形に2本のひげ(触角)が生えたような生き物はCalanus glacialisの実体顕微鏡画像。北海道大学の博士研究員の阿部さんに顕微鏡をお借りしました。写真は接眼レンズからipodで撮影。Glacial = 氷河,氷のように冷たいの意味。冷たいところに棲んでいるCalanus(カイアシ類。先日ご紹介したCopepodの仲間)。ちなみにですが,彼らの周りにところどころ見える細くて小さな物は,彼らのうんち。うんちもまた海洋生態系の中では貴重な役割があったりするそうですが,門外漢ですのでこの辺で失敬いたします。
余談。
とても科学的でとは言えないのですが,何故か,対象生物を愛した方が研究がうまくいくことが多いプランクトン研究。上手くいかなかったときに,矛先を「愛が無い」せいにしてしまいがちですが,上手くいかない要因を科学的に精査することもまた,重要な研究プロセスでございます。採れないなりに意味はあるはずなので,新たな愛ディアをひねり出さねばなりません。
2016年9月3日 いよいよの北極感
日本時間で9月3日,時刻は23時ごろ。北緯70度56分,西経160度13分あたりを北東に向けて航行中。
ベーリング海峡を抜けてしばらくの間は水温,気温ともに7~8度と,この辺りではかなりぽかぽかで,北極らしさがありませんでした。しかし,昨日辺りから北上するに
つれ徐々に水温が低下してゆき,現在は水温0.5度。気温も1度以下にまで低下。いよいよ北極感が出て参りました。寒い!
北極海としては珍しく,比較的晴れ間の多かったここ数日。時折オーロラが見えているようです。筆者は実験を始めてしまい,時折休憩を挟みながらも16~17時間ほど働いているため,外を見に行く余裕と体力がありませんので写真がなくてすみません。
ごめんなさい。陳謝いたします。遺憾です。ご容赦ください。許してちょ。実験に関する記事は,別途,いつかどこかでまたご紹介させて頂きます。
現在向かっている先には,海氷が立ちはだかっております。その先,バローの沖合には安易に近づけない可能性すら出てきております。バロー沖にも観測しなくてはいけないところが有るというのに!しかし,海氷があるからこそ行いたい観測があったりします。その模様はまた,別の話で。。。
長時間労働の後は,決まってビールを飲んでシャワーを浴び,ビールをもう一押し流し込んだ後,倒れ込むように寝ております。そんな中,今の記事を書いて。。。当然のようにまわってくるアルコール。もうそろそろ寝よう。明日…..というか,数時間後にはまた実験の処理が始まる。船内時間は午前4時を過ぎようとしております。
それではまた,いつの日か。
2016年8月31日 すごく晴れ
現地時間で8月30日。天気,快晴。
北緯65度,西経169度36分付近の観測点で午前中から午後に掛けて北海道大学の係留系の設置を無事終了いたしました。良い天気に恵まれ,朝から晴天ナリ。竹Tさんの記事にもありましたが,村Kさんの情報では,オーロラが出やすい緯度帯での晴天ということで,夜のオーロラに期待は膨らむばかり。しかし,天気の変わりやすい極域の天気。雲なんかすぐでてきちゃう。
夕方。見事な夕焼け。おぉっと,竹Tさんとネタが被ってしまった。久々に陸が見えたこともあって,少々テンションが上がっていたようです。晴天時の海の夕暮れはいつも綺麗だなぁ。船から見る海の絶景。海洋学者になって良かったと思える,とても数少ない瞬間のうちの1つですw
さて。さすが高緯度,暗くなったのは21時を過ぎてから。北緯65度39分の観測点での採水を終えたのが22時過ぎ。明日の観測はスタート時間が決まっており,明朝8時までお休み。さて,あとは出待ちです。北極のきら星,オーロラさん。。。。北極ラーメンを食べて甲板での撮影に備えます。(かなり辛かったです。)
で,でた。でました!…うっすぅ~いのが。これが23時45分頃。待てど暮らせど明るくならず,結局薄いまま。
外気は8度,風速は7 m/s。もう外での待機は寒いよ。
おやすみなさい。オーロラさん,また会う日まで。
日没後
北極ラーメン
薄いオーロラ
2016年8月30日追記1 お宝ざくざく
8月30日,2つめの観測点で特筆事項が有りましたので,追記いたします。
海洋生態系で,一時生産者の植物プランクトンを食べ,魚等の高次栄養段階に栄養分を転送する鍵となる生き物は,カイアシ類と呼ばれる甲殻類です。理科の教科書に出
てくるミジンコ(主に淡水)の海洋版のような生き物です。ちなみに,英語ではcopepodといい,オールのような(cope)脚(pod)を持つという意味...と授業で
習ったと記憶しておりますが,手元の辞書でcopeを調べてもオールや櫂の意味が出てこない...記憶違いだろうか。うむむ。
話が逸れました。2つめの観測点,北緯63度52分,西経172度18分。採水を終え,続いてはプランクトンネットを使って,水中の動物プランクトンの採取を行いました。北極海では,カイアシ類以外にもオタマボヤと呼ばれる生き物が植物プランクトンを食べる生き物として重要なのではないか,ということが過去の「みらい」の航海から明らかになってきました。本航海では,北海道大学のチームがカイアシ類以外にもオタマボヤに焦点を当てた研究を試みております。こいつらは,採れるときと採れないときがはっきりしているのですが,2つめの観測点は大当たり。沢山のオタマボヤが採れました。北海道大学から乗船している阿部さんが飼育実験を試みるようです。うまくいくと良いのですが,とても飼育が難しい生き物なので,ただただ成功を祈るばかりです。
オタマボヤ。ほぼ透明な生き物であるオタマボヤ,写真ではわかりづらいのですが,頭の形が丸く,料理で使う“お玉”のようだからこの和名が付いたのだと想像します。オタマジャクシも同様ですね。お玉のひしゃくと言う意味のようです。しかし,学名の方は全く異なった由来のようです。オタマボヤの属は,Oikopleura。Oiko-は,ギリシャ語のOikos,「家」,pleuraは「胸膜,板」等の意味で,家を持つ薄い生き物というのが由来のように想像します。ここで,学名とはとても意義深いもんだなぁ,と感心しました。というのも,オタマボヤの仲間は自身が生産する粘液を使って,楕円形の膜で自身を被います。この楕円形の膜はとても複雑な構造をしており,大きな餌を除去し,小型の餌(植物プランクトン)を食べる様になっております。この楕円形の膜のことを,ハウスと呼びます。そう,お家。自分で自分の周りにお家を作るんです。そして,自身の身体は薄っぺらい。まさに,学名は体をなす,Oikopleura。
このオタマボヤ,大きさは2~4 cm程度でしょうか。かなり大型の動物プランクトンと呼べるサイズです。しかしながら,小型の植物プランクトンが主食という変わり者。小型の物を食うのは,小型の動物という古典的な海洋生態系の基礎を覆す生き物です。栄養としては効率の悪いはずの小型の植物プランクトンを,一気に魚が食べられるサイズまで大きくするオタマボヤ。上記までで熱く語っている事からお察し頂けるかと思いますが,他人の研究内容ながら,個人的には注目のトピックです。なぜなら,北極海では小型のプランクトンが比較的多いのです!良いデータがとれることを,心から願っております!
ちなみに,オタマボヤの類いは原索動物という仲間で,我々,脊椎動物の背骨の原型を進化させた生き物です。裏を返せば,彼らの進化無くして我々の背骨は存在し得ないと言うことです。ありがとう,オタマボヤ。
とまぁ,プランクトンという訳の分からない生き物について熱弁しちゃう人のことを,学部生時代は,「変わった人だなぁ。」と心底感じ,自分とは相容れない人だなぁと思っていたわけですが,気づけば自分も変わった人側に完全になっちゃった事を,しみじみ感じた観測点でした。
オタマボヤ
2016年8月30日 採水の観測が始まりました
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日本時間で8月30日の午前9時頃(現地は+4時間で13時頃)でしょうか,「みらい」は北緯63度,西経174度にたどり着き,最初の採水器を使用した観測点に到着しました。ベーリング海の北端辺りです。気温,水温ともに11度前後まで低下し,寒くなって参りました。その模様は,こちら,<IACEブログ>をご参照ください。
こちらはとっても曇天ではありましたが,沢山の観測員の協力により,何ら問題なく,非常にスムースに観測を終えることができました。写真は海の表面の海水を採るためのバケツ採水の様子で,非常に,実に過剰に多くの人がいることが見て取れるかと存じます。その数15人以上。
さて,続いて,6時間ほどの航走した後,2つめの観測点に到着。現地時間で22時頃。
12時間交代で働く船内の観測員のおおよそ半数は休んでおります。前回のバケツ採水で出てきた観測員は,少なくとも15人。さて,2つめの観測点。危惧された観測員の
数は.........7人!写真には4人しか写っていませんね。おぉ,激減。観測技術員さんたちが分析する試料がまだ少ないことや,研究員が自分の実験を始めていない現状
では,7人が最大値。おぉ,これからどれだけ減るんだか。あな恐ろしや。しかし,さすがはマリンワーク・ジャパンの皆さま,少数精鋭でスムースに採水作業を終える
ことができました。
これからは観測点の頻度がぐぐぐぐぐぐぐっと上がって参ります。気力と体力勝負。
海況は時の運。全ての観測が滞りなく,安全に成功することを願うばかりです。台風10号のことも気に掛かる今日この頃かと存じますが,読者の皆さまも本船の安航を,
心の片隅からで結構ですので願って頂けると幸いです。
2016年8月29日 読書の秋
男塾
2016年8月27日 空は?
8月27日。外気は11~12度ほど。北緯50度,東経165度付近を北東に航行中。前回,8月25日の霧の記事からずーっと霧が晴れません。もやぁ~。
現代では,さまざまな測器や通信技術の発達,情報の蓄積によって,霧の奥に潜むかもしれない他の船や島の有無が分かりますが,そんなものが無かった時代はどうしてたんでしょうか。聞くところによると,鐘を鳴らしながら航走したそうです。相手に自分の存在を能動的に教える必要があったんですね。しかし,動いている船は,急停止や急な方向転換はできず,鐘を鳴らしたところで島や急な浅瀬には対応できなかったことでしょう。海図の発達がとても重要だったことが伺えます。
もやぁ~とした空の下,「みらい」は今しばらく航走し続けます。島をよけながら。
もやもや
2016年8月26日 回航中の習熟は肝要なり
8月26日。「みらい」は八戸港を出て東に約2日間航行したのち,北東に航路を変えて約3日目,順調に北極海に向けて航行中です。ただいま船内時間19時ごろ,北緯49度30分,東経165度16分。一昨日から昨日にかけて海水温が8~9度低下し,14度前後になりました。外気も15度弱と,薄着では寒いほどに。海水温が大気の温度よりも低いので,本船はすっかり霧に覆われながら航行中です。そんな船の甲板,どこかで紛れ込んだコオロギの鳴き声が夕暮れごろから聞こえてきます。すっかり秋の気配?しかし,北極にたどり着くころに彼はもう。。。
本航海は,出港から一番最初の観測点にたどり着くまで10日間かかる予定です。その間に実験室の整備,実験機器の点検などが行われております。他方,大気観測の方は早々に観測が始まっていたりしますが,それはまた別途記事が出てくるかと思います。さて,甲板上では慣れない観測機器の動作確認などが行われております。写真はスミスマッキンタイヤー型採泥器というもので,泥を海底から採ってくる装置です。
"泥"と言っても,生きてる生き物,死骸,砂,粘土,水など,ありとあらゆるものが含まれているので,様々な海の情報がみっちり含まれております。どのような成果が
出てくるか楽しみですね。
一方,船員さんの中でも,本船での作業が初めてという方もいらっしゃるようで,習熟作業を行っている模様です。写真は,ウィンチ作業の研修のようです。様々な深度から水を採取する採水システムを上げ下げするウィンチ。海洋観測の肝のうちの1つです。どうぞ,何一つトラブルなく観測が続けられますよーに。
淡々と走る船。船内ではこれといったイベントなく,淡々と日々を過ごしております。なんとも盛り上がりに欠ける記事ですが,北極に着いた後の観測ラッシュに向けて充電中ということでご容赦くださいまし。
新たな観測機器に四苦八苦
見渡す限りの霧
若い船員さんも勉強中
2016年8月22日 「みらい」MR16-06航海・出港
8月22日午前9時,八戸港八太郎P岸壁をでました(北緯40度35分,東経141度33分)。
前日まで台風11号の通過に伴う雨や濃霧でしたが,出港時には晴れ間が覗きました。
幸先良し!と信じたい。天気予報を見る限り,南からまた台風9号さんが迫ってきているようで。「いらしゃいませー。」と,気前良く出迎える気持ちにはどうも。。。
風が吹かなくて海が荒れない台風だといいなー♪(←アホ)
出港地の八戸港八太郎岸壁周辺は,見渡す限りの工業地帯。人の気配がありません。
煙突から立ち上る煙の数々。工業港は何処でも似たような感じですけれども。。。
あぁーー,いかんいかん,暗い。記事が暗い。ええと,明るいこと。。。明るい。。。
お,一句浮かびました。
「晴れていた ただそれだけだ それだけだ」
とにもかくにも,MR16-06航海,北極海へ向けて出港です。
2016年8月21日 「みらい」MR16-06航海・序章
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残暑厳しき折,夕方にはヒグラシやキリギリスのような晩夏から秋の虫の鳴き声が聞こえてくる頃でしょうか。ということは,今年も北極航海の始まる頃です。時折記事をしたためて参ろうと思います。
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まずは,出航前の積み込みの様子をご紹介します。8月21日現在,本船は八戸港に居りまして,税関手続きを終えた観測機器の積荷をしております。これらの機材は,係留系と呼ばれるもので,海底の重りと表面の浮き球の間にロープを張り,そこに様々な観測機器がつけられております。係留系の強みは,船が行くことのできない時もデータを取得し続けてくれることです。しかし,日本の領海外に何某かのブツを海底に沈めるので,「輸出」の扱いとなり,税関手続きが発生するのです。無事,税関を通過できたようです。
買い出し
積み込み@八戸港