2017年8月2日 ダッチハーバー入港!

出港より25日目
  • みらいよりこんにちは!

  • みらいは25日間の研究航海を終え、アリューシャン列島のダッチハーバーに入港しました!現在気温は10度、天候は曇、無風のためそれほど寒くは感じません。
    久しぶりに見る陸!ここウナラスカ島は都会の華やかさとは無縁の小さな町ですが、それでも人が住む景色をみるとほっと安心します。
    これから入国審査を経て、ようやく上陸が許可されますので、下船にはもうしばらくかかりそうです。

  • この約ひと月を振り返ってみますと、とにかく天候に恵まれた航海でした。悪天候により観測がキャンセル、ということは北太平洋航海では当たり前なのですが、今回はひとつのキャンセルもなく、全ての観測をこなすことができました。大成功といって良いでしょう。みらい就航20周年を迎え、自然も味方してくれたようです。

  • みらいの次の航海は、アリューシャン列島周辺の生物相調査ということです。入港前にも多くのクジラを見ることができましたので、きっと生き物は豊富なのでしょう。どんな新しい発見があるか、今からとても楽しみですね!

  • 今回を持ちまして、MR17-04 Leg1航海のブログを終了いたします。約4週間にわたりお付き合い頂きありがとうございました。これからもみらいの活躍にご注目いただけますよう、職員一同よろしくお願い申し上げます。

  • それでは来年の航海までごきげんよう!

(木元)


わずかに切れた雲の隙間から朝日が昇ります。急峻な山の端には雲がわき、ウナラスカ島の荘厳な景色に息をのみます。
舷側では入港前準備が始まりました。タラップを取り付ける甲板員。

2017年7月29日 観測終了!

航海21日目
  • みらいよりこんにちは!
    霧の日が多い北太平洋では珍しく、昨日は午後から快晴となりました。冷たい甲板作業も幾分暖かくなり、太陽の恵みをよりいっそう感じます。ベーリング海に沈む美しい太陽も見ることができました。

  • さて最後の観測点となるU5では、海水の採取とプランクトン採取が行われました。大陸棚の縁にあたる場所、今回の航海ではもっとも北の観測点(北緯58度55分、東経179度54分)です。いつのまにか、海の上には海鳥たち(カモメ、ミズナギドリ)が数百羽!これは歓迎されているのかな?(それとも逆?)たくさんの鳥達に見守られながら、観測は無事終了!みらいはダッチハーバーに向けて南の進路を取りました。

  • 明日の夕食は甲板上でのバーベキューです。

(木元)


船首で羽を休めるカモメたち。一定間隔をおいてたたずむ姿に萌えます~
ベーリング海に沈む夕日。海に沈む夕日が見れたのは、今航海では初めてです。

2017年7月27日 プランクトン!!

出港より19日目
  • みらいよりこんにちは!

  • みらいは日本から見て東に進んでいるため、徐々に船内の時刻を早めてきました。これまで船内時刻は日本標準時とくらべて3時間すすんでいましたが、一昨晩、ついに日付変更線をこえたため、今度は日付を1日後進させました。つまり私たちは7月25日をもう1回、余計にすごすことになりました。
    現在の船内時刻は日本時刻より-21時間、です。時間が未来になったり、過去になったり、ややこしいですね笑

  • さて、みらいは現在北緯56度30分、東経175度30分、観測点U4にいます。ベーリング海に入ってから早3日め、ついに残すところ最後の観測点U5を残すのみとなりました。気温は思ったほど寒くなく、8度Cくらいです。風はやや強いですが海は穏やかです。今日は、今回の航海でとられた顕微鏡サイズの動物プランクトン11種について、撮って出しの写真とともにご紹介します。みらいの研究者と一緒に、大海原にいるキモチで楽しんでいただけると幸いです。

プランクトンネット試料に偶然入ったクラゲです。Sarsia属に含まれる種類だそうです。大きさは傘の高さのみで2.5センチくらい。クラゲはとても脆弱なので、運が良くなければ綺麗な個体は採れません。この個体も採取時は脚が複雑に絡まっていましたが、研究員による丁寧な作業によって無事、この姿となりました。
浮遊性有孔虫、グロビゲリナの一種です。単細胞の動物で、細く伸びたスパイン(トゲ)が美しいです。大きさは0.5ミリ程度。この種はベーリング海にたくさんいました。
動物プランクトンチームの今回の研究テーマ、有殻翼足類ミジンウキマイマイです。2つに別れた脚で羽ばたくように泳ぎます。大きさは0.5ミリ程度。生態には謎が多く、今回はその分布と形態、遺伝子の関係について研究をおこないます。
みんな大好き、流氷の妖精クリオネです。今回もたくさん採れました。こいつの餌はミジンウキマイマイだけと考えられています。大きさは3cm程度。
これ、なんだと思います?実はクリオネの幼生なんです。芋虫のようにずんぐりしていますネ。イメージ壊してごめんなさい。大きさ0.2ミリ。
浮遊性多毛類です。長さは2cm程度。大きなアゴ(写真左端)を持つアグレッシブな肉食です。水中ではほぼ透明です。
端脚類です。ぼくは海のハエと呼んでますが、素早く水中を泳ぎ回ります。肉食。こいつがヤムシの胴体に喰らいついているのを見たことがあります。中層数百メートルの水深によく出ます。大きさは4ミリ。
カイアシ類ネオカラヌスです。寒い北の海に多く産出します。大群にぶつかるとプランクトンネットの中が赤く染まります。大きさは1センチくらい。
このツボのような生き物はフェオダリア、ケルコゾアという単細胞の生物に含まれます。水深数百メートルから数千メートルのところに住んでいる深層種です。生態はまったく謎に包まれています。大きさは0.5ミリ程度。
貝形虫という遊泳性の甲殻類の一種です。たぶんハロキプリディナという種類です。表層よりやや深い数百メートルの水深によく出ます。写真の個体はみなたまごをもっていますね。産卵のシーズンのようです。大きさは1ミリ程度です。
この星型のものはなんでしょう。。。?ヒトデの幼生です。数は多くないですがときどきプランクトンネットに入ってきます。幼生は浮遊生活を営むようです。この個体は捕まえたとき、珪藻を食べていました。大きさは0.5ミリ。
  • いかがだったでしょうか?まだまだご紹介しきれないのですが、今回はここまで!

  • ところで、何回か前のブログで質問を投げておきながら回答するのを忘れていました。
    Q. AZFPとはなんの略でしょう?答えは、Acoustic Zooplankton Fish Profiler、でした。

(木元)


2017年7月24日 K2離脱!!

出港より15日目
  • みらいよりこんにちは!
    24日の21時にみらいは10日間にわたるK2での観測を全て完了し、移動を開始しました。現在は船速13ノットでベーリング海に向かっています。 K2ではすべての観測項目がおこなわれましたが、きょうは今回の航海の目玉のひとつであるMOGについてご紹介しましょう。

  • MOGとは、JAMSTECの海洋工学センターの精鋭たちが開発した、自動で海中を航行しながら観測をする装置(スマートフロート)のことです。正式名称はMultiple Observational Glider、多目的観測グライダー、という感じでしょうか。ロケットのような筐体に鮮烈なオレンジ色が映えます。中には最新鋭の精密機器がぎっしり詰まってて、男の子の好奇心をわしづかみ!このグライダー、水深200mまでプロペラを使って自力で潜航し、水温や塩分、溶存酸素(DO)、植物プランクトンの活性を観測、そして浮上してくるんだそうですよ。すごい! 今回は複数日にわたってこのMOGの投入・回収が行われました。投入はみらいに搭載されている連絡艇をつかって行われます。

  • 今回の成果は次なる研究開発に大いに役立つことでしょう。近い将来、船で観測に行かなくても、こういうグライダーが自動で観測してくれる時代が来るかも?!

(木元)


ずらりと勢揃いしたMOGたちです!なんだかサンダーバードのBGMが聞こえてきそうです!
連絡艇を使ってMOG投入!近くにイルカが興味津々そうにたくさん寄ってきていました。

2017年7月21日 係留系設置!

航海12日目
  • みらいよりこんにちは!

  • 突然ですがブリッジと同じ階層にある「調査指揮室」は、ボーイズ&ガールズ誰もが夢見る秘密基地のイメージそのものです!!
    ここではみらいを使った観測に関わるほぼすべての物理データが集約され全てが一目でわかるようになっている電脳空間で、とくに測深など音響をつかった観測に必要不可欠な役割を果たしている、みらいの頭脳みたいなところです。
    たくさんのコンピュータや複数のモニター、大きな機器類、、、実はこの秘密基地に入るには、他の研究室と違って、靴を脱がないといけませんよ、このへんも特別感が漂います。この部屋を仕切っているみらいの観測士の皆さんもとってもスマートで憧れちゃいます。
    でもこの部屋、とっても寒いんです!熱を出す機器類が多いので、冷やすために冷房を強くしているそうなんです。機械に優しい部屋なんですね~。(人にはちょっとキビシイ)

  • 重要なことをお話するのを忘れてました。今日はこの航海の目玉の一つである、生物地球化学(BGC)係留系の投入が観測点K2で行われました。5000m近くにもなる長い係留索にとりつけた、さまざまな計測機器類を、慎重に慎重に海に投入するのは6時間位かかります。この大作業をこなすみらいの甲板員の皆さん、そしてマリン・ワーク・ジャパンのテクニシャンの皆さんのスキルにはいつも感動します。ありがとうございます!

  • さあ今回も無事に係留系は投入されました。来年の今頃これを回収して、この一年間におこる海洋環境を様々な手法で解析します。どんなデータが取れるか、いまからワクワクしてしまいますね!

(木元)


ここが調査指揮室。係留系の設置ポイント(緯度経度、水深)を音響を使って厳密に計測します。係留系は5187.24mの水深に到着した模様です。来年きっと迎えに来ます。
上が観測点K2周辺のみらいの航跡、下は、、、なんだか難しいデータがとれているようですよ!
セジメントトラップが投入されるところ。海に沈む粒子を毎月自動で採集します。

2017年7月19日 みらい夏のプランクトン祭り!

出港より10日目
  • みらいよりこんにちは~。
    みらいは引き続き、観測点K2(北緯47度、東経160度。地図でどこか見てみよう!)で5日目の観測中です。
    ここK2は、係留系の回収日以来、霧のない穏やかな日々が続いています。昨日は海に沈む夕日も見ることができましたよ。
    いつも曇り空のK2なので、珍しいことといえます。

  • さて、みらいでは連日プランクトンネット祭りが絶賛開催中です!まる1日、4時間おきの観測は大変ですが、頑張ります。
    今回は4つの種類のプランクトンネットを搭載していますが、ネットの目合いや、曳網する方法が異なるなど、目的のために使い分けられています。
    またこの航海では、音響を使ってプランクトンの存在量を知る「AZFP」という装置も使った観測を行っています。

  • この数日、K2にとどまって観測をしているわけですが、最初の数日と比べて、植物プランクトンの量が急に減ってきました。植物プランクトンの種類が変わり、クラゲが増えてきたようです。この短い期間に何かが変わったのでしょうか?海水の物理や化学成分を調査している研究者のメンバーとも議論してみたいと思います。

  • そろそろ観測の時間が迫ってきましたので今日はこの辺で。次回はこれらの観測機器を使って採取したプランクトンについてお話しましょう。
    それではまた!

(木元)


人が余裕で入っちゃうくらい大きなORIネット。鯉のぼりみたいですね。珪藻を主体とした植物プランクトンがいやというほど取れました。
これが「AZFP」です!なんかカッチョイイです。でも重くて一人では持てません。AZFPってなんの略?答えは次回!

2017年7月17日

  • いよいよ定点K2での観測が始まりました。昨年11月の航海では、荒天が続きK2で観測が出来なかったので、今回はリベンジです。しかし、初日から3日間濃霧が続き、視界不良のため、本航海の主要ミッションの1つである係留系の回収作業が出来ず、頭を悩ませていました。本日3日目もダメかと諦めていたのですが、お昼過ぎに雨が降り(恵みの雨)、急に霧が晴れ、ようやく係留系の回収が出来ました。1年分の様々なサンプルやデータが取れているようなので、今後の解析が楽しみです。

(藤木)


係留系回収作業
濃霧
濃霧後

2017年7月11日 八戸出港!

  • みらいは今朝、八戸の白銀埠頭に朝8時に入港しました。
    ここでは燃料の搭載と、私達の航海のあとに予定されている、MR17-05北極航海の荷物の一部を搭載します。
    そして、今回はアラスカのダッチハーバーに入りますので、外航船への変更手続きを行います。
    船内スピーカーより「八戸港で下船はできません」との非情なアナウンス。少しでも陸の余韻を味わいたかったのですが、残念!

  • そして午後4時、みらいは静かに八戸港を離れました。さらば、陸!
    今日は昨日とはうって変わって誰も見送りのいない八戸港ですが、昨日があまりに豪華過ぎましたね(笑)
    乗組員一同、元気に行ってまいります!!

  • ところで昨日の夜8時過ぎ、下北半島沖を航行中にみらい前方に流れ星が現れました。偶然甲板に出ていたので見れたのですが、緑色の光がゆっくり流れて最後に2回光って消えました。埼玉県でも同じものが確認されていたようですね。
    今航海の素敵な兆候のような気がしますよ!

(木元)


ただ今、燃料積み込み中。象の鼻のようなパイプがみらいに接続します。入れてくれるのは第二十六福寿丸さん。
可燃物のため、給油中は船上の裸火は厳禁です!!緊張する~

2017年7月10日 出港!!

  • こんにちは。みらい乗船中のJAMSTECの木元です。今日からMR17-04の航海ブログをはじめました。航海のいろいろなこと、お伝えできるよう頑張ります。不定期更新となりますが、航海最後までお付き合いいただけると幸いです。

  • さて7月10日の午後4時、海洋地球研究船みらいはすべての準備を終え、青森県むつ市の関根浜港を出港しました。
    今回は、みらい就航20周年ということもあり、前日までの3日間に記念式典、講演会、そしてむつ研究所の施設一般公開など様々なイベントが行われました。期間中はたくさんの皆様方にご来場いただき、職員一同、心よりお礼申し上げます。

  • 出港日の今日は、むつ市役所、下北ジオパークの皆様、そしてJAMSTEC職員の盛大なお見送りを受け、MR17-04北太平洋航海スタートです!
    天気は快晴、海はとても穏やかで、甲板の上に出ていると気持ちが良いです。予報ではしばらくは好天が続きそうで、幸先の良いスタートとなりました。 明日は八戸港にいったん入港し、外航船に変更の後、観測点K2に向かいます。

(木元)


岸壁の最先端まで見送りに来てくださった皆様、しっかりエールを受け止めました。
今航海のすごい成果?!にご期待下さい!!