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数理科学・先端技術研究開発センター

Center for Mathematical Science and Advanced Technology(MAT)

センター長 小國 健二

数理科学・先端技術研究開発センター(Center for Mathematical Science and Advanced Technology: MAT)は、海洋・地球・生命を正しく理解するための「数理科学」を探究し、それらの高度かつ適切な利用を可能にする「先端技術」の開発を推進しています。

私たちが主眼を置くのは、流体・固体・熱・電磁気といった古典物理学の範疇に属する諸問題です。これらに対し、数理科学と計算科学を最大の武器として挑んでいます。

研究テーマは、遠く離れた場所の間で現れる同期現象、地球やその他の惑星のマントル対流とプレート運動、魚群の遊泳シミュレーション、磁気流体シミュレーション、乱流の統計的性質、あるいは粉粒体の非線形物理、数十億粒子規模の大規模高速計算、微細な粉と液体からなる混相流体シミュレーションから、雲粒の生成から都市スケールをまたがる微気象シミュレーション、さらには物理のはざまに現れる「かたち」の科学、曲面の折り紙の数理、鉱物に残る高エネルギー粒子の痕跡の検出、離散多様体理論に基づく古典物理の再構成まで、多岐に亘ります。一見すると発散しているようにも見えるこの多様性こそが、あらゆる現象を数理という共通言語で読み解く、MATの本質です。

複雑な現象を無謬(むびゅう)の数理モデルへと落とし込む「数理科学」と、その数理問題を圧倒的な計算力でねじ伏せる「計算科学」。私たちはこれまで、科学の方法論における三本柱(実験・理論・計算)のうち、特に「理論・計算」という道具を徹底的に磨き上げてきました。MATはこれからも、「理論・計算」の新手法開発を継続し、海洋・地球・生命にまつわる諸現象の解明に挑み続けます。

一方、海洋研究開発機構(JAMSTEC)には、比類なき観測・実験データが蓄積されています。そして近年、生成AIに象徴される「データ科学」は、科学の「第四の柱」として飛躍的な発展を遂げています。MATは、これまでに培ってきた「理論・計算」の知見を礎に、このデータ科学の基礎学理を追求し、JAMSTEC固有のデータから新たな学術的価値を創出するための革新的手法を新規開発します。

「理論・計算・データ科学」——これら三つの方法論による不断の新手法開発を通じて、海洋・地球・生命の新たな知を創出すること。それこそが、私たちが目指す次なる研究開発の姿です。

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