レジリエントな海底インフラの構築と保全

海底資源の産業利用に対する期待の拡大や,地震・津波対策に資する観測データの必要性を反映し,海底インフラを整備するための技術開発・知識の蓄積が課題となっています。
靭性のある社会基盤を海底で形成するためには,①設計荷重による地盤の安定性を把握した上で,②高い精度で構造物を安全に施工し,③海底災害に耐えうる構造物を長期管理するための技術が必要になります。そこで我々は,JAMSTECが有する海底探査機・観測手法・計算技術を最大限に活用することで,海底のインフラ設計において地盤-構造物-海洋間で複合的に生じる諸問題を評価し,それを海洋開発へ繋げるための研究を大学・企業と共同で進めています。
具体的な研究として,水深3,500mの海域でコンクリート供試体の長期劣化を評価するためのプロジェクトが進行中であり,2025年度にはインフラ設計の基礎データとして公表する予定です。また,海底地すべりに代表される海底災害への適用を視野に入れ,土砂を含んだ流体の流動実験・数値解析に取り組んでおり,2023年を目途に斜面安定性の評価やリスク管理の指標を提案する予定です。
上記の研究を通じて我々は,目標9:強靱(レジリエント)なインフラ構築,包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る”に貢献します(特に項目9.1, 9.5に該当)。

プロジェクトの概要
「しんかい6500(有人潜水艇)」を用いたコンクリートの実験
土砂混合流体の流動実験(左)と数値解析(右)の例

付加価値情報創生部門 数理科学・先端技術研究開発センター 計算科学・工学グループ