課題紹介

本研究では、近年頻発してきた気候変動現象に関する基礎的なメカニズムの解明から、その予測技術の高度化と精度の向上、更には予測情報の利活用まで、一連の研究開発を総合的に目指す。具体的には、以下の三つの項目から構成される。

  1. 太平洋熱帯域のエルニーニョモドキ/ラニーニャモドキ現象や、中緯度大陸西岸に現れる沿岸ニーニョ/ニーニャ現象のメカニズムを解明し、その予測可能性を検証する。特にここ15年はラニーニャモドキ現象やニンガルーニーニョ現象が頻発しているので、その実態を解明する。こうした現象が10年規模変動の位相の違いや地球温暖化そのものとどのように関係するのか、また地域の異常気象にどのような影響をもたらすのかを、最新の観測データやEUと共同開発した大気海洋結合モデルSINTEX-Fを使って調べる。 また既に運用しているSINTEX-Fをベースとした季節予測システムを用いてそれらの予測可能性を総合的に検証する。 更に、SINTEX-Fモデルの高解像度化や初期化手法を改良し、それらの予測精度を向上させる。
    主な担当者:Swadhin Behera(APL GL)、土井威志(APL研究員)、森岡優志(APL研究員)、EU連携者(CMCC、CERFACS、etc)
  2. 上記の地球規模の予測情報を、地域規模へと力学的にダウンスケーリングし、実社会活動に利活用しやすいようにする。特に数km間隔で、湿度、気温、日射量等を適切にダウンスケーリングできるよう、地域の複雑な地形データを組み込み、観測値と検証しながら、その技術開発を行う。エルニーニョモドキ/ラニーニャモドキ現象やニンガルーニーニョ/ニーニャ現象の影響を受けやすいアジア-オセアニア地域に対して開発を進める。
    主な担当者:Venkata Ratnam Jayanthi(APL主任研究員)、Satyaban Bishoyi Ratna(本課題特任研究員)、Pascal Jean Andre Oettli(本課題特任研究員)
  3. 実社会活動に具体的に予測情報を利活用するために、アジア-オセアニア域における感染症、農業、水資源管理などを対象に、気候サービスのプロトタイプを構築する。 本研究を通して、インド-太平洋域の熱帯域および亜熱帯域の気候変動予測とその応用研究において、国際的なリーダーシップを発揮する。
    主な担当者:佐久間弘文(APL主任研究員)、Chaoxia Yuan (APLポスドク)、
    Satyaban Bishoyi Ratna (本課題特任研究員)、Pascal Jean Andre Oettli (本課題特任研究員)





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