生物モニタリングによる環境保全調査

実施年度

2013

タイトル

生物モニタリングによる環境保全調査

課題・テーマ

課題1 漁場環境の変化プロセスの解明
代表機関:東北大学
テーマ2 宮城県沿岸域における生態系保全調査
代表者吾妻 行雄
所属機関東北大学
所属部署大学院農学研究科

調査内容

調査期間(調査頻度)
2013/04/01 - 2014/03/31
毎月1回調査
調査地域・海域
仙台湾
調査種別
フィールド調査
調査概要
仙台湾ではイシガレイやヌマガレイ等の様々な異体類が、蒲生干潟や名取川河口域を稚魚育成の場として利用している。東北地方太平洋沖地震による津波は、完全にこれらの水域を飲み込み、長年堆積していた汚染物質が攪乱されるなど、底質が大きく変化したことが危惧されている。本研究では、稚魚の再生産過程を調査するとともに、生物モニタリングにより底質汚染の実態を調査することを目的とする。・ 昨年に引き続き蒲生干潟及び名取川河口域で稚魚の採集調査を行い、異体類を中心に稚魚生産力の修復過程を調査する。・ cyp1a1 (アリル炭化水素系系の毒物に反応して発現が上昇する遺伝子)の遺伝子発現を指標にして、フィールドで採取された稚魚の汚染程度を調査する。・ 実験室内で飼育した非汚染魚を採取した底質に曝露し、cyp1a1の発現を測定することにより、底質の汚染程度を調査する。・ cyp1a1遺伝子のプロモーターと緑色蛍光タンパク質遺伝子(GFP)を連結した発現ベクターを作製し、トランスジェニックメダカ系統を作製する。

調査実施内容

調査地点図・航跡図・座標リスト
調査結果
本課題では、①津波以前に稚魚育成場として重要な役割を果たしていた宮城県仙台市蒲生干潟、名取市名取川河口におけるカレイ類稚魚出現の年次変化を記録し汽水域の回復過程を調査すること、②汽水域の汚染状況の生物モニタリング法を開発すること、③その手法をもとに各汽水域の汚染程度の評価を行うことの三つを目的としている。  ①2012-13年の2水域にはイシガレイ・ヌマガレイの稚魚が着底、育成しており、津波後も本汽水域がカレイ類にとって重要な稚魚育成場であることが示唆された。2水域の海底ではイシガレイ稚魚が3月に優占種(66-96%)として出現し(20mm)、その後水域内で成長(30-70mm)を行うものと考えられた。②メダカ・ヒラメにおいてcyp1a1等の異物代謝に関与する8遺伝子のクローニングを行い、標準汚染物質DCAを用いてqPCRとISH系を立ち上げた。③12年4月・10月、13年5月採取の蒲生干潟底質はヒラメ稚魚の異物代謝遺伝子の発現を誘起させること(1.6-1.8倍)が判明したが、名取川底質に各遺伝子の上昇作用は確認されなかった。以上より、蒲生干潟の底質には津波後2年を経ても何らかの汚染物質が含まれている可能性が示唆された。

調査項目と取得データ

調査項目取得データ・サンプル
異体類稚魚調査干潟域における異体類稚魚の密度調査
遺伝子解析cyp1a1の発現を指標とした汚染の生物モニタリング法の開発
干潟域の汚染調査生物モニタリング法を使った干潟域底質の汚染度の判定結果

関連情報

実施(調査)窓口担当者

担当者名鈴木 徹
所属機関東北大学
所属部署大学院農学研究科

キーワード

実施年度2013
機関東北大学
調査種別フィールド調査
海域区分石巻湾
分野海洋環境 -> 油分
海洋環境 -> 有機炭素
海洋環境 -> 油・有害液体物質の排出
海洋環境 -> 媒体:堆積物
海洋生物・生態系 -> 対象生物:魚類
海洋生物・生態系 -> 藻場・干潟分布