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北極環境変動総合研究センター(IACE)

北極域気候変動予測研究ユニット

高精度な北極域のモデルをつくり、数十年後の将来を精緻に予測する。

私たち「北極域気候変動予測研究ユニット」は、「予測」という大きなテーマのもと、JAMSTECが誇る大型計算機「地球シミュレータ」を駆使して、“北極域” の高精度なシミュレーションモデルの作成に取り組んでいます。温暖化をはじめとする気候変動によって、10年、20年、50年後の地球は、あるいは日本はどのようになっているのか?それを知るためには、北極とその周辺地域についての理解を深めることが大切です。

北極は、海をおおっていた氷の急激な減少に代表されるように、気候変動の影響が世界で最も顕著に現れている地域の一つです。さらにここ数年「氷がとけたことにより、他の地域にどのような影響を与えるのか?」といった問題がクローズアップされるようになりました。気候変動の影響を強く受けている北極は、同時に、その変化の大きさで日本を含む他の地域に強い影響を与える可能性を持っているのです。このため、私たちは北極だけでなく、そこを取りまく周辺地域を合わせた“北極域” を対象に、モデルを作成しています。

気候モデルと呼ばれる地球規模の長期的なシミュレーションのためのモデルは、たくさんの研究者たちの連携のもと、さまざまな国の研究機関で作成されています。その成果は、温暖化など人間活動のもたらす気候変動に関する研究成果を評価する機関である「IPCC(気候変動に関する政府間パネル)」をはじめ、国際的な枠組みを通じて収集・検討・発表されています。しかし、地球全体のシミュレーションを行うためには膨大な計算資源を必要とするため、スーパーコンピュータの性能をもってしても精緻さに限界があります。たとえば、IPCCの最新の報告書に提供された気候モデルの多くでは、およそ100km四方の大きなマス目に地球を区切って計算が行われています。地球全体の変動を理解するためのひとつの指標を与える気候モデルですが、100kmというマスは、局地的な変化や気象イベントを再現するには大き過ぎます。そこで私たちは、他の地域は大きなマスのままに北極域だけをおよそ5 km四方の小さなマスに区切ったモデルを作成し、これにより、限られた計算資源の中で、北極域についての精度の高いモデルを得ることをめざしています。北極の急激な変化が地球の他の地域に大きな影響をもたらしていることを考えると、このようなモデルから得られる結果は、北極だけでなく地球全体の気候変動についての新たな理解と、より精緻な予測につながることが期待されます。もうひとつ、私たちのユニットならではの特徴は、グリーンランドなどに存在する氷床のモデリングを行っていることです。広大な氷床におおわれているグリーンランドでも、夏になると氷が大規模かつ急激にとけるなど、これまでにない現象が観測され始めています。氷床がとけると、膨大な量の淡水が海に流れ込むことになり、その影響も見過ごすことはできません。私たちはグリーンランド氷床のモデルを気候モデルの一部として組み込むという世界的にも最先端の研究を通して、北極域から中緯度域にわたって、将来予測の精度と信頼性のさらなる向上に貢献していきたいと考えています。