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「しんかい2000」が「機械遺産」に認定されました

有人潜水調査船「しんかい2000」は、2017年8月、一般社団法人日本機械学会より「機械遺産第87号」に認定されました。
機械遺産の認定は、歴史に残る機械技術関連遺産を大切に保存し、文化的遺産として次世代に伝えることを目的に、2007年から実施されており、2017年8月までに90件が認定されています。
「しんかい2000」は2004年の退役後、2012年より新江ノ島水族館にて常設展示しており、毎年2回、当時の「しんかい2000」運航チームメンバーによるイベント「公開整備」を行っています。

>> 機械遺産とは(一般社団法人日本機械学会ホームページ)
>> 有人潜水調査船「しんかい2000」
>> 新江ノ島水族館

メッセージ

「しんかい2000」は、海中での活動の可能性を追及していた自分に対して
深海への扉を開いてくれた重要な存在です。
現在、未来へと発展を続ける有人、無人の深海探査活動のスタートとなったシステムです。

「しんかい2000」運航チーム 初代潜航長
井田 正比古

今では潜水船やROVで深海で、300℃を超える熱水採水もそれほど難しい作業では無く普通の作業として行われている様である。
「しんかい2000」の最初のころは、チムニー探索や熱水採水もまったくの手探り状態であった。沖縄海域で偶然発見したブラックスモーカーの熱水採水では、近づき過ぎない様に潜水船のおでこに長いチタンパイプを取り付け恐る恐る作業を行い、初の熱水採水に成功したのを懐かしく思う。

「しんかい2000」運航チーム 初代整備士
今井 義司

「なつしま」の最初の航法管制用コンピューターはミニコンで124Kbのメモリー2枚で動かしていました。起動はカセットテープからの読み込み。記憶媒体も同じカセット。キーボードにはテープリーダーと紙テープ用穿孔機が付いていました。

「しんかい2000」運航チーム 初代航法管制長
柴田 桂

深度150m、高度30m、ライトOFF、
かつて、「2K」で故郷の海を飛んだ
子供時代の夢、青緑と暗闇に浮かぶ海の底
ありがとう「しんかい2000」機械遺産

「しんかい2000」運航チーム 初代潜航士
内田 徹夫

「しんかい2000」は日本初の1000m以上の大水深潜水船という技術的な功績だけでなく、今活躍する日本の研究者に深海を教えた偉大な潜水船です。初の熱水噴出域の発見、深海底の溶岩流の発見、そして生きた深海生物の泳ぐ姿を初めて見せてくれたのも「しんかい2000」です。日本の深海研究は「しんかい2000」から始まりました。
そして今、新江ノ島水族館で第二の人生を素敵な方々に見守られ過ごしています。
彼女の偉業が機械遺産として永遠に記憶されること、これ以上の名誉はありません。
おめでとう!

「しんかい2000」運航チーム 初代潜航士
田代 省三

・音響航法装置のコンピュータは現在、インターネットのコンピュータ博物館に展示されているミニコンピュータだった。航跡データの収録媒体はカセット磁気テープだった。
・多分、日本で最初にスーパーショートベースライン方式の測位を行った。
・停止しているにもかかわらず、測位に用いるフィルターの影響であらぬ方向に走り出すことが度々あった。
・深度2,000mで油圧ポンプを作動させるとそのノイズにより、測位ができなくなった。
・当時、マルチビーム音響測深機が普及しておらず、母船「なつしま」の直下水深のみを計測する測深機を用いて手書きの海底地形図を作成していた。

「しんかい2000」運航チーム 初代航法管制士
橋本 菊夫

私の「しんかい2000」での潜航回数は、317回と運航チームでも最多の潜航を経験させてもらいました。日本で初めて建造された2000m級潜水船のため運航当初は、初期故障が多発するスタートとなりました。その不具合を手探りでひとつ一つ克服したことを今は懐かしく思います。しかし、その経験が今の運航チームを育ててくれたと共に「しんかい6500」の建造技術へと引き継がれています。
長年の調査潜航で多くの大発見をした「しんかい2000」も今は退役し、神奈川県の新江ノ島水族館に常設展示されています。今回の機械遺産の認定を期に、また多くの方々に「しんかい2000」の雄姿に触れて頂けるとありがたいです。
「しんかい2000」は、退役後の今も世界に誇れる名機だと確信しています。

「しんかい2000」運航チーム 初代整備士・潜航士
「しんかい6500」運航チーム 現司令
櫻井 利明

「しんかい2000」、機械遺産登録おめでとうございます。
「しんかい2000」と聞いて最初に思い浮かべたのが、朝一番のショットバラスト積みと、航法管制長の「スイマースタンバイ!!」の船内放送です。あの頃みんな若かったですね。

「しんかい2000」運航チーム 航法管制士
現在ニューカレドニア在住
高橋 雅彦

「しんかい2000」の機械遺産登録にご尽力いただいた方々に感謝と御礼を申し上げます。
「しんかい2000」のオペレーションに約10年携わり、日本各地の海底を見させていただきました。沖縄トラフや伊豆・小笠原諸島海域の熱水噴出孔とその周辺の生物群集、日本列島沿岸の水産資源(各地の特産物)の生態調査、など思い出は尽きません。特に、平成5年に起こった北海道南西沖地震の震源域付近の調査での海底の「異様なようす」は今でも脳裏に残っています。
現在「しんかい2000」は関係者のご努力により新江ノ島水族館に実機が展示されています。また、有人の潜水調査船は、広島県呉市の大和ミュージアムに「しんかい」が、鹿児島県鹿児島市のいおワールドかごしま水族館に「はくよう」が展示されています。「しんかい2000」と行動を共にした無人探査機「ドルフィン-3K」も愛知県名古屋市の名古屋市科学館に展示されています。
この機会に、是非深海探査の歴史を体験いただければと思います。

「しんかい2000」運航チーム 潜航士
廣瀬 重之

1989年。就職のための会社訪問で、JAMSTECを訪れた際に目にしたのが「しんかい2000」でした。潜水調査船というものとの、出会いの最初でもありました。
「なつしま」の格納庫に坐する、純白の外皮をまとったその姿、丸いハッチから耐圧殻内を覗かせてもらったときに目にした、名も知らぬ機器や計器類。心の中の少年の部分をグッとわしづかみにされたことをよく覚えています。
あれから28年。
今、彼女が機械遺産登録されたことは、青春時代をともに過ごし、時には悩まされ、時には感謝しながら「しんかい2000」とともに歩みを進めてきた私たちオペレーターにとって、最高の栄誉です。今後も一時代を築きあげてきた「しんかい2000」の業績は、その姿とともに末永く伝えられてゆくでしょう。

「しんかい2000」運航チーム 整備士・潜航士
吉梅 剛

七つの海を渡り歩く船乗りを目指していた私に、深海という素晴らしい世界が海面の下にあることを教えてくれて、深海の世界に誘ってくれたのが彼女でした。当時新米だった私は彼女との潜航はわずか数回に終わってしまいましたが、その後「しんかい6500」のパイロットを経て現在に至るまで、彼女から学んだ多くのことを深海技術に関わる者の矜持として今なお持ち続けています。
機械遺産登録はとても誇らしく、また「遺産」という響きに一抹の寂しさも感じますが、新江ノ島水族館で深海という素晴らしい世界を大勢の来館者に伝えている様は、まだまだ現役。ぜひ多くの皆さまに彼女に会いに足を運んでいただければと思います。

「しんかい2000」運航チーム 整備士・潜航士
川間 格

「しんかい2000」機械遺産の認定を迎え、喜びと誇りに満ち溢れております。
2002年11月11日で通算潜航回数1411回で勇退した「しんかい2000」は、数多くの発見で、すばらしい実績を上げています。私も、202回の潜航を経験しました。今後も、夢とロマンを持ち深海への挑戦を続けます。
ぜひ、江ノ島水族館に展示中の「しんかい2000」を自身の目で見て下さい。

「しんかい2000」運航チーム 整備士・潜航長
「しんかい6500」運航チーム 現司令
千葉 和宏

「しんかい2000」が機械遺産の認定を受けたと聞き、改めて「しんかい2000」に携わる仕事が出来たことを誇りに思っています。
かけがえのない多くの経験は忘れることのない思い出となっています。
実は1411潜航の翌日にもう一回潜航を予定していたのですが海況不良で中止となったことで最終潜航のパイロットに名を刻むことになりました。

「しんかい2000」運航チーム 整備士・潜航長
「しんかい6500」運航チーム 現副司令
松本 恵太

機械遺産認定おめでとうございます。建造から約40年、様々な方々が関わり多くの新技術の開発・新発見をされた成果だと思います。その「しんかい2000」の歴史の中に微力ながら参加できたことを大変光栄に思います。

新江ノ島水族館 展示飼育部
杉村 誠

私の一番の思い出は、新江ノ島水族館で常設展示前の竣工式の事です。展示準備等色々大変でしたけど、田代さんが竣工式ではじめて見た彼女に「良かったな」と声をかけていた姿が今でも忘れられません。展示に携われて良かったです。

新江ノ島水族館 展示飼育部
北田 貢

「しんかい2000」と仕事を共にするようになって5年が経ちます。永遠に語り継がれるようなすごい船と毎日一緒に居られることを幸せに感じています。これからも一緒に新しいエピソードを作っていきたいです。

新江ノ島水族館 展示飼育部
北嶋 円

子どもの頃に憧れていた潜水船が「しんかい2000」という名前であることを大学生の頃に知りました。そんな憧れの船と一緒に仕事ができる日が来るなんて・・夢にも思いませんでした。これからもピカピカに掃除させて頂きます!

新江ノ島水族館 展示飼育部
鈴木 良博