情報誌Blue Earth

海と地球の情報誌Blue Earthは高校生以上を対象とした海洋地球科学に関するオールカラーの情報誌です。
豊富な写真や図とともに、最近の研究成果や技術開発などをわかりやすくご紹介しています。

JTRACK、東北地方太平洋沖地震の残された謎へ挑む

(173号)
2011年3月11日、東北沖でマグニチュード(M9.0)の巨大地震が発生した。津波の高さは最大40mに達し、日本各地に甚大な被害をもたらした。翌年、地球深部探査船「ちきゅう」は、IODP第343次航海(JFAST)によって、震源断層の掘削調査を実施。巨大地震の原因を解明する数々の発見を手にすることができた。あれから、12年——。震源断層では次の地震に向けてどのような準備が進んでいるのだろうか。その完全な理解と、次の巨大地震に向けての準備過程の解明を目指して、「ちきゅう」がIODP 第405次航海(JTRACK)に出航する。

関東地震から100年 ~関東を襲う大地震・津波に備える

(172号)
1923(大正12)年9月1日に相模トラフで発生した関東地震から100年がたつ。大正時代に首都圏を襲ったマグニチュード(M)7.9の巨大地震による関東大震災は、死者・行方不明者10万5000人以上と、日本の自然災害史上、最多の犠牲者を出した。首都圏を襲う次の大地震はいつ起きるのか。政府の地震調査研究推進本部(地震本部)は、今後30年以内に相模トラフ沿いでプレートの沈み込みに伴うM7クラスの地震が起きる確率を70%程度と予測している。関東を襲う大地震・津波についての理解と備えはどこまで進んでいるのか。

海洋ロボティクス

(171号)
広く、深く、暗い海。
中でも深海は、光や電波も届かず高い圧力のために、人はもちろん機械ですら容易に近づくことができない。こうした深海の調査研究を実現するのが、海洋ロボティクスである。海洋ロボティクスの定義はさまざまだが、一般的には海洋を調査するための機器およびそれに関連する技術のことをいう。海洋を調査するための機器と聞いてまず思い浮かぶのは、深海へ行く探査機本体だろうか。ほかにも通信装置、センサ、カメラ……と多様な機器があり、それらの関連技術は構造や駆動、制御、解析などと幅広い。JAMSTECでは、さまざまな革新的海洋ロボティクスを開発・実装することで、深海の調査研究に新展開をもたらそうとしている。
その最先端を紹介する。

加速する北極域研究

(170号)
全球平均の2倍以上の速度で温暖化が進行している北極域。
北極域の変化を捉え、変化のメカニズムを理解し、影響や将来を予測することが必要である。JAMSTECでは1990年代から北極域の研究を行ってきた。夏の北極海を航行できる「みらい」や高度なモデル研究を可能にする「地球シミュレータ」を持つJAMSTECは、オールジャパンの北極域研究プロジェクトでも重要な役割を果たしてきている。そして、さらなる北極域研究の推進のため、砕氷性能を持つ北極域研究船の建造が2021年度から始まった。
日本における北極域研究の過去・現在・未来を紹介しよう。

海洋プラスチック問題

(169号)
JAMSTECが科学と技術で挑む
海洋に漏れ出すプラスチックの量は年々増加し、「海洋プラスチック問題」は深刻さを増している。しかし、どのような経路でどこへ運ばれるのか、どこでどのように砕けて問題をより難しくするマイクロプラスチックになるのか、人間も含め生物にどのような影響があるのかなど、分かっていないことばかりだ。 海洋プラスチック問題の解決に不可欠な科学的知見や技術を得るため、JAMSTECではさまざまな取り組みを行っている。

温暖化が進む地球で何が起きているのか?

(168号)

IPCC「第6次評価報告書」を読み解き、未来を築く
2021年8月、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、「第6次評価報告書(the Sixth Assessment Report:AR6)」第1作業部会(自然科学的根拠)報告書を発表した。そこでは、人間の影響による地球温暖化は疑う余地がなく、すでに極端な高温や大雨、干ばつが増えている、と指摘し、今後の温暖化の行方と気候変動について予測を行っている。各分野の専門家に、AR6のポイントと今後の温暖化研究の課題について聞いた。

■特集記事

真鍋博士が切り開いた気候モデル開発の半世紀

極端化する気象を多様な視点で語ろう

(167号)

豪雨や豪雪、猛暑や暖冬などが近年頻発している、と感じている人は多いだろう。そうした極端な気象は、私たちの生活、さまざまな産業・経済に影響を与え、時には生命を脅かすことから、その増加は重大な問題である。極端な気象の原因や影響、そして未来の姿は?気象庁の専門家、サバクトビバッタの研究者、気象予報士、JAMSTECの研究者が語り合う。

東北地方太平洋沖地震から10年 ~次の巨大地震・津波に備える

(166号)

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震から10年。次の巨大地震・津波は、いつごろ、どこで、どのくらいの規模で起きるのか。それを知るには、東北地方太平洋沖地震で何が起きたのか、どのような仕組みで起きたのかを探り、その理解に基づき予測する必要がある。JAMSTECの研究者たちはこの10年、どのように地震研究を進めてきたのか。それにより、巨大地震・津波への備えはどこまで進展したのか。今号では全ページにわたってご紹介します。