平成30年度公開シンポジウム「変わりゆく気候と自然災害」

プログラム

14:40-14:45

開会挨拶

文部科学省

14:45-15:00

キーノートスピーチ
ちょっと変かな?最近の天気
-天達が見た温暖化や異常気象-

天達武史

フジテレビ情報プレゼンターとくダネ!の気象予報士

15:00-15:25

近年の気象災害と地球温暖化

川瀬宏明(発表)
気象業務支援センター
今田由紀子
気象庁気象研究所 主任研究官

15:25-15:50

明治以降の水害および治水対策の変遷と極端水象の将来予測

立川康人
京都大学大学院工学研究科 教授

15:50-16:15

明治150年: 日本における気象観測の歴史と気候再解析

石井正好
気象業務支援センター

16:15-16:25

総括および質疑応答

木本昌秀
プログラム・オフィサー
文部科学省技術参与
東京大学 大気海洋研究所 副所長・教授

16:35-16:40

閉会挨拶

住 明正
プログラム・ディレクター
文部科学省技術参与
東京大学 サスティナビリティ学 連携研究機構 特任教授

 

PD(プログラム・ディレクター)からのメッセージ

 統合的気候モデル高度化研究プログラムの現状

PD  住 明正
文部科学省技術参与
東京大学 サステイナビリティ学連携研究機構 特任教授

 2018年の漢字が「災」であったように、昨年も大きな災害に見舞われました。特に、7月の早い時期から日本の広範囲の地域を襲った猛暑と、西日本を中心とした広域の豪雨災害は、我々の考え方に多大な影響を与えました。以前にも増して、「地球温暖化の進行に伴い気候が変化している」という実感をもたれた人が多かったように思います。
国内での政治的な出来事としては、「気候変動適応法」の施行が大きな出来事と言えると思います。この法律に基づき、適応に関する様々な試みが実施されると思います。その際には、本研究プログラムで得られた多くの成果が使われることと思います。
世界的には、IPCCの1.5℃温度上昇に関する特別報告書が発表されたことがあげられます。この報告書の示唆するところは、「1.5℃までなら平気で、2℃なら困る」のではなく、「今でも既に困っており、1.5℃ならもっと、2℃ならもっともっと困る」というものです。また、「どうやって1.5℃社会を実現するのだ?」と疑問を持たれる人も多いことと思います。しかしながら、目標を高く掲げつつ、「今、1.5℃未満」の実現を目指すことは、持続可能な社会への取り組みを加速する機会につながる」ということが重要でしょう。この報告書を受けて、国内外での対応を急速に進める必要があります。また、IPCC第6次評価書(AR6)に向けての研究成果の集約が行われています。
平成29年度から5年間の予定で始まった「統合的気候モデル高度化研究プログラム」では、(A)全球規模の気候変動予測と基盤的モデル開発、(B)炭素循環・気候感度・ティッピング・エレメント等の研究、(C)統合的気候変動予測、(D)統合的ハザード予測という4つの研究領域を設けて研究を展開しています。地球温暖化に関する基本的なサイエンスの課題や、「地球温暖化と異常気象との関係」や、IPCC AR6への研究成果の提供、そして、地球温暖化に対する適応策の策定に資するダウンスケーリングや地域気候モデルに関する研究、そして、風水害や高潮などの自然災害、干ばつなど水資源も研究などを行っています。地球温暖化問題の鍵は、信頼に足るグローバルな気候モデル、地球システムモデルを作ることにあります。そして、そのためにも、気候変動のダイナミズムに関する理解が不可欠です。本研究プログラムでは、基本的なサイエンスに関する理解と、具体的な課題に関する応用の2つの側面を追及してゆきます。
本年度は、研究計画の第2年度めであり、多くの成果が得られてきています。本シンポジウムでは、領域Cと領域Dの成果を中心に発表を聞いていただければ幸いと思います。今後とも研究を加速させてゆく所存ですので、引き続きのご支援・ご鞭撻をお願いいたします。