試合結果RESULT

RESULT

大会4日目[1回戦]2021年8月27日(金)

第1試合

VS
ミクロ砂団子
特別枠(関東ブロック)

第3試合

WIN
血の池地獄の泥
大分県
豊間の鳴き砂
福島県

試合映像

レビュー[大分県代表・血の池地獄の泥:赤鬼]

身近なものの大切さ、面白さに着眼した「すべらない砂甲子園」。普段見向きもしない足元の砂、海や山にいくらでもある砂、それらが日本一のすべらない砂王者を目指し熱戦を繰り広げている。もちろん対戦自体も予測不能で非常に面白いが、それぞれの砂のバックボーンを知ることで、その楽しみが何倍にもなる。是非試合前に「すべらない砂甲子園」ホームページの「代表砂」ページで砂たちのバックボーンを知ることをお勧めする。


前回に引き続き、大会第四日目は夏真っ盛りの佐川町立佐川地質館での開催となった。


冒頭の化石発掘体験には私も参加させていただいた。2億2000万年前のモノチスという2枚貝が次から次へと見つかり、仕事を忘れ(?)、我を忘れ、化石掘りに夢中になってしまった。実は私自身も小学生時代は化石集めに熱中しており、実家には今でもナウマンゾウ(と思われる)化石、魚の化石、アンモナイトの化石などが置いてある。以前一度だけ地元のイベントで化石掘りに出かけたこともあったが、全く化石が採れずそれっきりとなってしまった。当時このイベントに参加していたら、今とは違う職に就いていたかもしれない・・。


さて、舞台は佐川地質館に戻って試合が始まる。


<第一試合>純粋ガーネットサンドVSミクロ砂団子

前“砂”は高校生の皆さんがガーネットをパンニングして集めてくれた砂。ガーネットはそれ自体、モース硬度が高く強そうであるうえに、純度を高める工夫まで考えられていている。ベテランの方からの技術指導を受け、鍛錬して試合に臨む姿も甲子園らしい。一方、後“砂”は我々と同じく、国の研究機関であるNIMSからの応募のミクロ砂団子。とっても小さな粘土鉱物である。ただの遊び心だけでなく、様々な物質を吸着する特性があるようで、実際に材料分野等で活躍しているのであろう。スメクタイトと聞くと我々は「すべる」と反射的に決めつけてしまうが、果たしてその実力は・・。


試合開始。予想に反してミクロ砂団子がなかなかの粘りを見せる。一方純粋ガーネットサンドは「なかなかすまし顔」、MC濱田うまい表現だ。

トルクの上昇が6Nmを目前にして緩やかなカーブを描き低下する。この曲線を地質学者がみると、静かに滑るという表現をするようだ。トルクカーブの描写が次々と繰り広げられ、皆盛り上がっている。最後の粘りを期待するもミクロ砂団子はそのまま止まることなく、ある意味順当ではあったかもしれないが勝負は決し純粋ガーネットサンドの勝利となった。


<第二試合>佐川地質館の化石発見用の化石VSガーネットサンド

前”砂“は、本試合のロケ地である佐川地質館のイベントで採取された化石。最年少応募者の岡林真央くん(2歳)がゲストで出演するのに加え、地元のすべ砂ファンの皆さんも応援に駆けつけ、まさにホームの雰囲気を醸し出している。野球やサッカーなどスポーツの世界ではホームが有利に働くことが多いが、果たしてすべ砂でも同様なのだろうか・・。インタビューでは真央くんの意気込みをうまく感じ取れているMC濱田はなかなかのものである。実は真央くんはこれまで高知コア研究所の他のイベントにも足を運んでくれており、MC濱田とは古くからのお友達。ふたりで通じ合っているのかもしれない。後“砂”は第一試合と似ているガーネットサンドであり、こちらも高校生からの応募。野外調査で発見し、そこから性質や起源などを研究していったという。2006年に発見されてから、代々部員に引き継がれ、研究されてきたという非常に思い入れの強い砂だ。先輩たちの夢を背負っている辺り、非常に甲子園らしい。モース硬度が高く、第一試合の結果を見ても非常に強そうだが、結果や如何に。


試合開始。トルクはどんどん上昇し、過去の試合から強さの一つの目安となっている6Nmを超えた。両者拮抗しているようである。そんな中、真央くんの「ルメール」という発言の直後、突如トルクの下降が始まった。ガーネットサンドが苦しそうな表情を見せている。まさか!という発言にもあったように、化石は予想外の強さを見せる。終盤にトルクの下げ止まりはあったものの、そのまま佐川地質館の化石発見用の化石の勝利となった。これがホームの強さというものなのか・・。ホーム&アウェー方式として次は静岡でもロケをして実証してみたいものだ。


<第三試合>血の池地獄の泥VS豊間の鳴き砂

さて、いよいよ私の砂(泥)が登場する。前“砂”は別府の血の池地獄にお願いして譲っていただいた泥である。ユニークな砂をエントリーしたいと考え、球場、サーキット、ウイスキー蒸留所などにもコンタクトしたが全て断られた中、血の池地獄さんは二つ返事でOKしてくれた。その御恩もあり負けられない。・・が、第一試合の結果もあり、粘土は滑りそうである。しかもこの泥は皮膚病の薬として軟膏にも使われるそうだ。塗りやすい軟膏=滑るのでは・・と思われるが、果たしてどうだろうか。後“砂”は福島県いわき市の豊間の鳴き砂。鳴き砂は全国でも貴重になってきている中、豊間の鳴き砂はあの東日本大震災の津波にも耐えて残ったという砂だ。この砂浜はいわき鳴き砂を守る会の人たちが日々清掃や検査をして大切に守られているようだ。鳴き砂というのは成分やその配合など、非常に微妙なバランスで成り立っているものである。未来の子供たちにもこの鳴き砂で遊んでもらえるように、ずっと大切に守っていってほしい。この砂は地元の方々の思いの詰まった、そして応募者の三浦君の思いも詰まった砂である。地元の期待を背負っている辺り、非常に甲子園らしい。成分分析の結果では硬い石英や斜長石が含まれる鳴き砂が有利と見られる中、結果や如何に。


試合開始。砂の色のコントラストが上手く出ていて美しい。そんな中、トルクはいい角度で上がり6Nm目前まで急上昇。どこまで上がるかと期待したところでトルクの線にガタガタと震えが出た。これは激しいバトルが展開されているに違いない。あれ、あれ、と目を疑うMCとゲストだが、鳴き砂が微かに動いている。どこかで回復するだろうと、絶対に鳴き砂が勝つと思っているMC。ただ、大きな回復は見られずそのまま血の池地獄の泥の勝利となった。


今回戦いを終えた3試合を含め、大会開幕以降のほとんどの試合において、MC、ゲスト共に本当に驚いているのが見て取れる(MC、ゲスト共に撮影時に結果は知らされていないので生の反応である。)。岩石や地質、そして摩擦の専門家である彼らにとっても「すべり」というのは予測不可能らしい。硬さ、粒子、成分、組み合わせなど、何がすべらない要素を決定しているのかは未知の部分も多い。現状はMC濱田の発言にあるとおり「カオス」であり、これから試合が進むに連れて理解が進むのか、それともどんどん迷宮に入っていくのか、これからの毎試合が私自身も楽しみで仕方ない。

勝者コメント

第1試合
[純粋ガーネットサンド:奈良県]

すべらない砂甲子園大会運営の皆様ありがとうございます。
まさか勝てると思っていたなかったので嬉しいです〜!!!
次の対戦カードで砂がガーネットに勝っていたので
何が起こるかわからないものなんだなぁと思いました。
2回戦では同じガーネットサンドのリベンジを果たしたいです!

第2試合
[特別枠(最年少):佐川地質館の化石発見用の化石(2枚貝)〜砂岩起源の砂〜]

対戦は佐川地質館での収録ということで、とても楽しみにJAMSTECのオンラインショップでTシャツや小物を購入したり、鉱物・岩石図鑑を購入したりとウキウキしてその日を迎えました。
対戦のお相手は、試料にかける思いや選ばれた根拠などもしっかりとお持ちで、これは敵うはずはないと学芸員の森さんとリラックスしてお客さん気分でゲスト席に座っておりましたが、、、 
トルクの動きに目を見張り、結果が出た時にはお互いに顔を見合わせて驚くことしきりでした。
強豪が居並ぶ中で身がすくみますが、高知県佐川町の化石には今後も健闘してもらいたいと願います。
真央本人は気負うことなく、相変わらず砂も石も大好きで砂浴びをしたり齧ったりしています。

第3試合
[血の池地獄の泥:大分県]

泥=すべる と予想された方は多かったのではないでしょうか?勝負の結果はまさかの勝利で私自身も驚いています。本大会では予想外の結果が続いています。それだけ摩擦という現象は奥が深いのでしょう。本大会で摩擦の理解が進むことを願っています。
また、本大会は身近な自然の大切さにも気付かせてくれました。状況が落ち着いたら豊間海岸に旅行し、この手で砂に触れてみたいと思います!

敗者コメント

第1試合
[ミクロ砂団子:特別枠(関東ブロック)]

Youtubeでの放送、どきどきして見ました。
1回戦敗退は残念!
しかしながら、粘土(スメクタイト)は弱いという予想を、
少しは覆せたようでうれしいとともに、
簡単に予想できない摩擦の奥深さを感じました。
実行委員を始めとするJAMSTECの皆さん、楽しい企画をありがとうございました。

第2試合
[ガーネットサンド:静岡県]

僕たちとしては、かなり自信がありましたが、
1回戦で相手の高知県代表「佐川地質館の化石発見用の化石(2枚貝)」
に負けてしまい大変残念です、
さすがホームの試合では、目には見えない、とても大きな力なることが分かりました。

第3試合
[豊間の鳴き砂:福島県]

一回戦で負けてしまってとても残念でした。でも、夏休みの自由研究もできたし、全国の砂も閲覧できたし、とてもよい経験になりました。将来は、月の砂や、火星の砂の戦いも見て見たいです。