2010年度日本海洋学会春季大会シンポジウム

 

「Argoの進むべき方向性 —Argoによる研究成果と今後の展望—」

主催:アルゴ計画推進委員会
共催:日本海洋学会
コンビーナー:道田豊(東大大気海洋研),
細田滋毅(JAMSTEC),林和彦(気象庁)
日時:2010年3月30日(火)9:30-17:15
会場:東京海洋大学品川キャンパス講義棟大講義室

【主旨】

全球3度格子に1本のArgoフロートを展開し、海洋中層までの水温・塩分を10日に1回監視するArgo計画が2000年より開始され、各国の協力のもと2007年10月末に当初の目標である3000本に達した。今までに類を見ない時空間的に密な観測網であるArgoフロートのデータを用いた科学的成果が上げられてきており、一方で技術革新により種々なセンサーや機器が開発され、その観測データを用いた成果も出始めている。また、計画開始当初には参加していなかった研究者によってもフロートを利用した観測が行われるようになってきており、その裾野は広がりつつある。
2009年9月にOceanObs’09が開催され、ここ10年間の全球海洋観測システムの進展を評価するとともに、今後の海洋観測の方向性についての議論が行われた。Argoは今や全球海洋観測システムの根幹を成すまでになってきており、長期的な気候・海洋変動の監視に欠かせないものとして、今後も観測網を維持していくことが多くの研究者から期待されている。さらに、物理分野だけでなく化学・生物分野にまで貢献するような観測網、あるいは新たな衛星観測や沿岸域観測と連携した観測網に発展させようという提案が成された。
我が国のArgoコミュニティとしても、上記のような国際情勢を踏まえつつ、海洋研究・オペレーションの広い分野からの情報と意見を集めて、アルゴ計画が次に向かうべき方向を示す必要がある。本シンポジウムは、現在までのフロート観測による成果をレビューし、OceanObs’09での議論や国内外の新しいフロート・センサー技術に関する情報を共有しつつ、Argo計画の今後の方向性について議論を行うことを目的とする。

【プログラム】

09:30-09:40 開会挨拶・趣旨説明 道田豊(東大大気海洋研)
09:40-09:55 OceanObs’09の概要とその中でのArgoの位置づけ 須賀利雄(東北大院理/JAMSTEC)

Argoフロートを用いた現在までの研究成果 座長:林和彦(気象庁)

09:55-10:10 Argoと歴史的海洋貯熱量変化 石井正好(気象研)
10:10-10:25 全球表層塩分変動 細田滋毅(JAMSTEC)
10:25-10:40 北太平洋亜熱帯モード水・中央モード水の新たな循環像 岡英太郎(東大大気海洋研)
10:40-10:55 黒潮続流域集中観測 Bo Qiu(Univ. of Hawaii)
10:55-11:10 季節内変動に伴う海洋上層の変動 佐藤尚毅(東京学芸大)
11:10-11:25 アルゴフロートによる亜熱帯モード水と季節躍層の物理−生物過程の観測 鋤柄千穂(名大水圏)
11:25-11:40 オホーツク海・海氷域でのフロート観測 大島慶一郎・中野渡拓也(北大低温研)
11:40-11:55 質疑応答・総括

11:55-13:00 昼食休憩

現在進行中又は将来的な展望・計画 座長:細田滋毅(JAMSTEC)

13:00-13:15 時空間的な高密度観測網の構築 須賀利雄(東北大院理/JAMSTEC)
13:15-13:30 化学生物変動過程の船舶・係留系・フロートの統合的観測 才野敏郎(JAMSTEC)
13:30-13:45 水中グライダー観測の実施状況 伊藤進一・清水勇吾・筧茂穂・和川拓・志藤文武(東北水研)
13:45-14:00 極域海洋観測(海氷域観測) 菊地隆(JAMSTEC)
14:00-14:15 海洋力学予報の現状と今後 林和彦(気象庁)
14:15-14:30 大気海洋相互作用・極表層水温塩分観測 川合義美(JAMSTEC)
14:30-14:45 現場型センサーによる海水中炭酸成分の観測 中野善之(JAMSTEC)
14:45-15:00 フロートによる深層観測 小林大洋(JAMSTEC)
15:00-15:15 質疑応答・総括

15:15-15:25 休憩

モデル研究の立場からの提言 座長:道田豊(東大大気海洋研)

15:25-15:45 海洋の物理モデリングからArgoへの期待と希望 羽角博康(東大大気海洋研)
15:45-16:05 化学,生態系モデリングの立場からの提言 河宮未知生(JAMSTEC)
16:05-16:15 質疑応答・総括

16:15-17:15 総合討論 座長:花輪公雄(東北大)