大気組成変動の研究から、地球環境の物質循環や温暖化の解決策に迫る

概要

21世紀、アジアを中心に世界の人口は増加の一途を辿り、規模が拡大した人間活動がトリガー要因となって、さまざまな地球環境変動に拍車がかかっています。大気中への窒素酸化物の排出増加、ブラックカーボン・PM2.5などのエアロゾルの増加、炭素循環の変調はその適例であり、それらはさらに、地球の放射収支を変え、気候へ大きなインパクトをもたらしています。しかしながら、排出・吸収・消失の実態や、大気中での物質のうごきと化学変化などには、未知の点が多数残されています。そこで本テーマでは、現場観測・衛星観測とモデリングを一体的に実施して、鍵となる物質の全球からメガシティ規模までの収支や、変動の支配過程、気候との関係を紐解くことを目指しています。そのために必要となる、新たな観測手法や数値モデル、データ同化手法などの開発も行います。
また本テーマでは、地球システム変動の鍵を握る物質であると考えられているものの、挙動の解明が遅れている「エアロゾル粒子」に焦点を当て、「みらい」を用いた海洋大気の観測等から、放射収支や雲・降水システム・海洋生態系との関わりを観測から明らかにすることも目指しています。
これらの研究活動を通じて、大気物理化学のメカニズムに関する理解を向上させるとともに、「大気・海洋・陸域を巡る物質の循環が、人間圏・気候・生態系をどのように結びつけているか」「温暖化問題をどう解決に導くか」という難問に迫ります。

キーワード

炭素循環、窒素酸化物、PM2.5エアロゾル、ブラックカーボン、気候影響、衛星観測、現場観測、モデリング、MAX-DOAS法、データ同化、収支、物質輸送、化学反応、技術開発、海洋地球研究船「みらい」、バイオエアロゾル、生態系