KH14-02 白鳳丸航海日記(2014年5月20日~6月11日)

2014年6月11日 入港

  • 06:00 起床
    35-06N / 139-15E
    気温21度、水温20℃、風速3m/sec。
    船速12knot。

  • 06:30 甲板にてパレットに荷物搭載
    浦賀水道。横須賀を右手に見ながら本船は大井埠頭に向けて航走。タンカー、漁船、コンテナ船、並走する様々な船。
    海の色が茶色い。帰って来たのだ、ということを実感。
    天候 曇り。雨が心配。15時頃までは降らないで欲しい。
    研究室では最後の片付け。3研に集められた山のようなゴミ。晴海で陸揚げするとのこと(本船は大井水産埠頭で艤装解除した後、本日中に晴海へ移動)。

  • 09:20 「入港用意。配置につけ」いよいよファイナルアプローチ。右手には羽田空港。曇り、かすかに霧が発生している。今のところ雨は降っていない。

  • 10:00 着岸。艤装解除。
    20日ぶりの陸。クレーン、人海戦術で次々と資機材が陸揚げ。一方では次期航海の観測機器搭載も行われる。
    羽田空港を離陸した飛行機が頭上を飛ぶ中、時折小雨がパラつく中での作業。
    気温24.0℃。最近東京は涼しいらしい。我々にとっては幸い。

  • 12時 さあ飯だ。昼食は、遂にカレーライス!!!本日はサロンではなく、皆といっしょのMess room。自由な盛りつけではなく、「お願いします」といって一皿いただく。お代わりできるの?と回りの学生に聞くがわかりません、とのこと。お代わりしてみてよ、とお願いしたがしてくれなかった。あきらめる。

    さあ後2時間、頑張ろう。

  • 以上、これをもちましてKH14-02航海報告を終了します。
    ごきげんよう、さようなら。

  • (次は「かいよう」(6/19 - 7/1)から)


2014年6月10日 回航。片付け。入港前日

  • 06:30
    32-41N / 144-25E
    気温22.4度、水温21.4、気圧1012hPa、風速3m/sec。
    船速14.6knot。
    着岸地(大井水産埠頭)めざし航走中。

  • 午前中、環境研、I本さん他一部の実験継続中の場所を除いて、片付け進行中。ただし働いている人の数は少なくいつもより閑散としている(やっぱりね)。

  • =昼休み、ウオーキング。今回は第4甲板への階段昇降もコースに加える。=

  • 13:00 艤装解除準備(甲板、倉庫)
    甲板にボックスパレットを展開。むつ行、かいよう行に分けて集荷。終了後セジメントトラップの梱包、現場ろ過器のラッシング。
    研究室では、国立環境研を除いて、急ピッチで撤収作業が始まる。

  • 16:00 艤装解除準備(研究室)
    グループ毎に荷物をまとめる。

  • 19:00 (KH-14-02公認)打ち上げ:本航海の成功を祝して、また努力をねぎらっての会が催された。昨日、「打ち上げ前夜祭=深酒を楽しむ会=」が開催されたせいか全体的に静かな打ち上げであった............のは最初だけで次第に、昨日は昨日、今日は今日、という雰囲気になったのは言うまでもない。

  • (クルレポ表紙コンテスト)今回は28名の有権者(乗船者)に対して10件の応募があった。観測に飲み会に忙しい中、多数の応募に感謝。作品受理については以下の点について考慮した。(1) ゴーストライターはいないか?過去のクルレポ表紙で使用された写真をコピペしていないか?(2)重大な記述ミスはないか?今回はCruiseという基本的な単語のスペルが間違っている作品がありMajor Revisionで突き返したが5分後にReviseされたものが投稿されたのでそれを受理、(3) 品格はあるか?応募作品のうちの複数点が学術研究船のクルレポ表紙としては品格に疑問があったが、 HPに掲載するわけではなく、自分は首席ではないのでまあいいか、ということで受理。投票は激戦。最後の一人まで決定しなかった。激戦を制したのは国立環境研究所のK岡特別研究員。本航海の様々な観測風景の写真と航跡を組み合わせた作風が秀逸。首席から賞品目録が贈呈された。僅差で破れた2位(AORI S野特別研究員)、3位(AORI H崎准教授)にはJAMSTEC賞が贈られた。

  • 22:00 一次会終了


2014年6月9日 回航。片付け

  • 08:00
    30-06N / 149-47E
    気温22.3度、水温20.9、気圧1011hPa、風速6m/sec。
    船速14.0knot。
    多少うねりはあるが快調に航走中。
    昨夜は雨が降ったようである。せっかく天日干ししたネットがズブ濡れ。「まあ塩抜きが出来て良いか」超ポジティブN田教授。各種プランクトンネットに加え漂流系の準備・観測・試料処理・片付け、全てのことに(核となって)携わられたN田教授。御年60歳代半ば。頭が下がります。

  • 現場ろ過器ポンプヘッド装着。倉庫での作業。汗だく。またまた気分が悪くなる。「倉庫」「前夜の深酒」。この組み合わせがマズイようだ。結果、昼食の親子丼を半分残す。

  • =調子は悪いが、あまりにも運動不足なので、昼休みウオーキングを決行。S家くん他船員さんがジョグしている第3甲板"コの字型"回廊に、階段昇降し第2甲板を回る全長約100mの周回コース。音楽を聞きながら約30分。軽く汗ばむぐらいの運動量。リハビリにはちょうど良い=

  • 18:30 31-18N / 147-19E(緯度的には鹿児島県)
    気温22.3度、水温21.8℃、気圧1011hPa、風速7m/sec。

  • 19:00 Yママ プレゼンツ「打ち上げ前夜祭」。明日の打ち上げは入港前日なので深酒できないので、本日深酒しましょう、というのが主旨(理解できるようで、まるでできない)。お酒を持って3人以上集まらないように、と船長に釘をさしてもらうべきであった(刑法では「凶器準備集合罪」に相当)。二日酔いの自分はパス(Yママそして誘いに来てくれた人、ゴメンネゴメンネ)。早く引き揚げて来たH崎准教授。しかし無理矢理連れ戻そうとされている。恐ろしい。今夜は早めにドアを閉めよう。


2014年6月8日 回航。片付け

  • 06:30
    26-59N / 156-5E
    気温23.5度、水温24.3、気圧1008hPa、風速6m/sec。
    船速14.9knot。
    帰港地(大井埠頭)をめざし航走中。

  • まだ試料処理、分析中の人もいるが、あちらこちらで片付けが始まる。「いいないいな、片付けられる人は」とI本さん。彼女は”12時間観測”を継続中。申し訳ないのでコソコソ後片付けする。
    甲板ではネット班が後片付け。「多様性」航海らしく様々な生物採集用ネットが登場。自分の荷物は「横須賀本部行」「むつ研究所行」に加え、次の航海のため「かいよう(船)行」がある。関係者と今後の片付け手順、集荷場所について確認する。ボックスパレットの組み立て、荷物収納等本格的な片付けは明日以降になりそう。

  • =クルレポ投票終了。史上まれにみる大接戦。=

  • 午後、現場ろ過器の片付け。電池取り出し、ポンプヘッド清掃。慣れない装置であったがほぼ順調に作動、深海の懸濁粒子まで採集することができた。これまでは試料量が少ないため懸濁粒子の微生物研究はあまり行われてこなかったらしい。成果が期待される。何より、借り物なので亡失しなくて良かった。

  • 18:30
    28-29N / 153-5E
    気温23.1度、水温22.9度、気圧1009hPa、風速8.3m/sec。
    船速15knot。快調。

  • =夕食時、サロンの窓の外を船員さんがジョギングして通過。第三甲板は”コの字”型の木甲板。スピードは出せそうもないが、本船では良いエクササイズの場。自分も試してみたかった=

  • 19:00 洋上ほろ酔いセミナー
    AORI北橋倫特任研究員「小型定生生物から見た深海の生物多様性」
    ビームトロールとマルチプルコアラ観測で切り込み隊長的な役割をした彼が、メイオベントス(ミジンコ等の小さい生物)の地域的多様性の話をする。多様性の水深分布について興味深く拝聴する。本航海は学生が少なく特任研究員(いわゆるポスドク)が多い航海であった。学位を取得しても任期付ポジションしかない現状を象徴するかのようであった。

  • 20:00 H大S学部同窓会
    船上にいる同窓生(4人だが1人はワッチ)でブチ同窓会。大学のこと、仕事のこと、家族のことが話題に。H大らしい”都ぞ弥生”も”ストーム”も無く静かな会。

  • =航海終盤。いつものように作業ズボンがきつくなる。乾燥機のせい?それとも...........=


2014年6月7日 SBD観測。ビームトロール、現場ろ過他。観測終了

  • 25N / 160E SBD
    04:00 現場ろ過揚収
    既に陽が高い中での作業。Aフレーム操作は二等航海士ナナちゃん。サングラス姿がかっこいい。

  • =研究室ではビームトロール(船上では”ビートロ”、と呼ばれている)班(マルチプルコア作業もするので”トロマル班”と呼ばれている)がスタンバイ。「コンコンコン」音がする。昨日のノジュールを割ってお宝を探している模様=

  • 05:00 作業終了
    フィルターホルダー回収、水洗い。慣れない装置での観測であったが装置をなくすこともなく、また作動も良好だったのでメデタシメデタシ。

  • 06:00 ビームトロール
    本日は何が獲れるか?

  • 研究室では分析・解析の最後の追い込み。
    採水室ではShuさんがマイクロレイヤー装置の準備。もしかしたらもう一回できるかも。多少風があり(09:30現在5m/sec)、ベタ凪の昨日に比べると海面には凹凸が見える。昨日との比較が面白いかも。問題は作業艇の着水・揚収。
    甲板は適度な日射しと風があって心地よい。実験が一段落し外の空気を吸いに来たI本さんとオシャベリ。彼女もマラソンランナーということで過去の大会や練習方法について情報交換。

  • =クルーズレポート表紙コンテスト投票開始。応募作品何と10点。芸術性の高いものからHP上で公開するのが憚(はばから)れるものまでいろいろ。有権者数の数に対して候補作品が多いため票が割れ激戦。投票結果は明日の夕刻に判明。場合によっては決戦投票?=

  • 10:30 ビームトロールondeck
    本日は底質は泥。海水で泥を除きながら底棲生物を探す。本日もサメの歯の化石が多く産出される。

  • 12:30 採水(粒子)1000m
    船上で海底堆積物試料処理をすると泥水が船外に排出。その結果真っ青な海面が”ココリスブルーム"や”赤潮”が発生したような色となる。従って採水に影響があるということで、配水孔を全て栓で塞ぎ、かつベントス作業は一時中断。さらに船を少し離れた場所に移動して採水を行う。

  • -13:25 採水器ondeck
    -14:00 マイクロレイヤー観測から作業艇が帰艦。

  • 14:00 これにてSBDの観測が終了。本船は陸へ向けて航走開始。


2014年6月6日 SBD観測。ビームトロール、マイクロレイヤー、現場ろ過他

  • 25N / 160E SBD
    00:00 ORIネット
    02:00-08:00 ビームトロール

  • 08:00 気温25.4度、気圧1006.2hPa、風速0.5m/sec、天候晴れ
    朝食時、今日はマイクロレイヤーできそう、ということで皆ニコニコ。今のうちに、一刻も早く、と気がアセる。
    漂流系が約10マイル離れた場所を漂流中。あまり離れると回収に時間がかかる、ということでビームトロール終了後に漂流系地点に向かい、適当な時間になったら作業艇を降下しマイクロレイヤー採取を行う、その後に漂流系回収に着手する、という方針に決定。

  • (サメの歯化石)
    08:00 ビームトロールondeck。しかしいつもと様子が違う。網の中には石ころ”ごろごろ”。加えてフレームが曲がっていた。どうも”がれき”海底をドレッジした模様。堆積物のベントス(底棲生物)ねらいだったので担当者一同落胆している模様。成果と言えば全長50cmぐらいのタコ、石でおしつぶされたであろう10cmのエビが入っているぐらい。ところが.....「わー!何だこれ」T野くんの叫び声。見ると大きなサメの歯の化石。三角形の矢じり型の歯が石ころから突き出していた。「あっ!こっちも」「ここにもあるぞ」次から次へ発見の報。大きなもので手のひらサイズ、小さいものは小指第一関節大。メガドロンの歯?その場合200〜500万年前のもの。そんなウンチクをS家くんが披露するものだから、それからはベントスなどどうでも良く(一部の担当者以外は)皆よってたかって化石探し。ちなみに石ころはまんまるい。しかもぼろぼろ割れやすい。いわゆるサメの歯が核となったノジュール(*)なのである。息子のお土産に、研究室のお土産に、石ころの山に群がる化石ハンター達。何を隠そう、おしゃべりしないで一番長い時間うずくまっていたのはN田教授であった。

    (*)鉱物や今回のサメの歯のようなものが核となりその回りに堆積物が付着し成長していく鉱物。ちょうど泥(砂)だんごをつくっていくような感じ。マンガン団塊が知られる。かつて海底資源の代表格として世界中が躍起になって探索・採掘していた。何故マンガン団塊は堆積物に埋もれることなく海底面にあるのか?何故キレイな球状なのか?その成因に未解明なことも多い。
  • 09:38 マイクロレイヤー観測
    と、いうことですっかり主役の座を明け渡した感があったが、いよいよ皆さんお待ちかね、本日のメインイベントが開始される。朝よりも海面はフラット。作業艇にマイクロレイヤー装置および機材が搭載され、乗組員2名、研究者のH崎教授とマレーシアからの留学生Shuさんが乗船。意外にうねりがあり、海面で上下動する作業艇への乗船が難しいのでは、と思われたが、H崎教授もShuさんもスムーズに乗船。大勢のギャラリーに見守られる中、作業艇は”もやい”策をはずしスタート。本船より約500m離れたところで観測開始。ブリッジの双眼鏡でみても観測内容は良くわからない。最初は双眼鏡越しの撮影を試みたが固定式双眼鏡がなかったので断念。
    11:45 帰鑑。昼食時間だったので出迎えは少ない。「Shuさんどうだった?」と聞くと、ニカっと笑って、Two Thumb Up!(二本の親指を突き立てる。Very Goodの意味)。外国人だなあ。

  • =本日は本航海で最高の陽気。トロール後の発掘調査、マイクロレイヤー観測の見学、係留系ガラス玉の片付け 計2時間程度の甲板滞在で汗だくとなる=

  • 船上ではもう一つの目玉であるウミアメンボウの耐性実験が始まる。28度に設定された恒温層にウミアメンボウが入れられ実験スタート。恒温水槽内はかなりの水流。しかしウミアメンボウは水流に逆らってスイスイ方向転換。これから15分毎に温度が低下していく。あ〜合掌。

  • 11:50 漂流系回収
    貧栄養な海域で1日の漂流しかしなかったのでサンプルは非常に少ない。甲板は炎天下、迅速に捕集カップをとりはずして研究室へ。その後は漂流系索バラシ、漂流トラップ分解など撤収作業。とりあえず”離れ技”終了。再び汗だくとなる。居室で本日2回目の着替え。

  • 14:30 採水(ルーチン)
    海中深くまで採水器が船上から確認できるほどの透明度。昔、白色セッキー板で透明度を良く測定しました。ここでは50mはありそう。
    -18:00 採水器ondeck
    代表に招集され先発出場。
    T森「うへ〜本多さんが採水するの初めて見た!」
    ワッキー「そんなことないよ。時々お願いしてるよ」
    本多「まあ確かにサプライズ招集に変りはないよね」
    N口「でも往年の技術は落ちないものでしょう」
    本多「まるで代表に選ばれたゴン、て感じだよな」
    N口「いやいやベッカムでしょう」
    .................N口っていい奴だな。
    監督(採水班長)はH崎さん。采配(ボトル分担の指示)も板についてきた。

  • 甲板ではビームトロール再構築。昼間、曲がったフレームはキャプスタンをつかって整形し(すごい力!)、現在は網の取り付け。缶ビールにサメの歯化石。今度は何が獲れるだろう。

  • 19:45 採水(DNA測定用)
    20:45 ニューストンネット

  • 研究室では現場ろ過器にフィルター装着、プログラム再入力(スタート時間の変更に伴う)、流量計読み。全ての作業にほぼフル出場のKくんとIくん。疲れがピークに近く、かなりハイな状態。
    22:00 現場ろ過
    ポンプスタート24:00
    回収開始04:00

  • =クルーズレポート表紙コンテスト 作品投稿を締め切る。投票は明日から=


2014年6月5日 SBD観測。採水、ネット、コアリング他

  • 25N / 160E SBD
    00:00 MTDネット
    04:00 採水(時系列)
    05:00 マルチ

  • 07:00
    気温24.9度、水温25.6度 気圧1008hPa 風速10.1m/sec。晴れ。
    水深5773m。ケーブル長5700m。マルチプルコアもうすぐ着底。
    風が強い。海面には白波が。マイクロレイヤー観測は可能か?

  • ウミアメンボウは?
    朝食後、ウミアメンボウ実験が行われる暗室へ。ところがウミアメンボウがいない。昨日採取されたウミアメンボウは元気がなく実験は中止。現在はアルコール漬になっているとのこと。やはり雨が原因だったようである。残念。今晩に期待。

  • 10:00 採水(時系列)
    11:30 漂流トラップ投入
    準備の手伝い。トラップの洗浄。内部溶液装填。薄曇り、時折小雨だったが久しぶりの日光浴。
    約30分で投入完了。

  • (13:00 マイクロレイヤー観測(*)の予定であったが、またも海況不良。よって採水に変更)
    (*)作業艇で船から離れた場所に行き、表層数mm層のみを採水。水面に浮かべた装置の電動ドラムを回して表面についた海水を集める。風速が強い場合は作業艇降下が困難であり、風がおさまっても海面が穏やかでなければマイクロレイヤーが形成されない。果たしてこの海域、この季節で”鏡のような”海面は現れるのか?残されたチャンスは明日と明後日。

  • 13:00 採水(粒子測定用1000m)

  • =手伝いの無いときは居室でメール対応および論文作成のための関連論文読み。7月終わり、遅くとも夏が終わる前には昨年度までのプロジェクト(K2S1プロジェクト)に関するJO特集号原稿を投稿しなければならない。そろそろ真剣に考えなくては。=

  • 16:00 時系列+アーカイバ
    17:00 マルチブルコアリング
    連戦連勝。全てきれいなコア採取に成功。

  • 21:00 ニューストンネット
    やはり昨日は雨のせいだったよう。本日は大量!かつ大きめのウミアメンボウが多いらしい。15分で3回。それぞれの回毎にウミアメンボウをピックアップするのだが追いつかないぐらい。一心不乱に作業するウミアメンボウ先生。昨日のように声をかけるのがはばかられる。
    22:00 採水(時系列)
    採水組とウミアメンボウ組が重なり右舷はニギヤカ。
    23:00 ニューストンネット
    アメンボウ祭り、まだまだ続く


2014年6月4日 SBD観測。採水、ネット、コアリング他

  • (03:30頃 SBD到着。予定表では採水(時系列)+DNAアーカイバが実施されたはず)

  • 06:00 25N / 160E SBD
    気温27.0度、水温26.5度 気圧1010hPa 風速8.7m/sec。晴れ。
    MTDネット観測中
    終了後、表層ネットにウミアメンボウの幼生がいっぱい入っていたとの情報。夜が楽しみ。

  • 「ワーッ、キャッ!」研究室で顕微鏡観察中のNIES Yママ。珍しいプランクトン(南洋でしか見られない円石藻:学名:ハローパパス?)が居たということで大興奮。近くにいたH崎准教授にいかにすごいかを熱弁。早朝4時、水深125mクロロフィル最大層から採取した海水。「早寝!早起き!朝ご飯!」本航海乗船中の睡眠学者(ウミアメンボウ先生は睡眠学者でもある)が強調する通り、早起きは三文の得。ただし彼女、観測がなくとも早寝はしない。「どこかで宴会してねえか?宴会やれねえか?」、「悪い子はいね~が?」のナマハゲ風に夜な夜な徘徊。最近、ドアを閉めて寝る人が多いのは彼女が怖いから????

  • 08:30 MWJ T森・F畑両氏、JAMSTEC K多村研究員とガラスフロートばらし・組み立て。来たる「かいよう」航海で投入するKEOセジメントトラップ係留系用。いつもはMWJに任せている仕事だが人数が少ないのでお手伝い。チェーンで接続されたガラスフロートをはずし、ハードハットを開けて中のガラス玉の状況を確認。問題がなければ再び組み立て。そしてチェーンに接続。一個30kg超のガラスフロートの上げ下げ。10~20kgのチェーンの運搬。背筋、腰が悲鳴をあげる。曇り空とはいえ気温27度。ヘルメットからしたたり落ちる汗。ズボンはサビだらけとなり足に張り付く。かなりの重労働。運動不足にはよかったものの後が心配。(消費カロリー: 500~1000kcal程度?)

  • 10:00 採水(時系列)
    簡単なロンテナ採水者、ポリタンク運搬係として貢献(評価 5.5(10点満点)。日本vsコスタリカ戦の本田と同評価)(消費カロリー: 100kcal)

  • 研究室で顕微鏡観察中のAORI S野くんに今朝のMTDネットで表層付近にて採取されたプランクトンを見せてもらう。いました!ウミアメンボウ。確かにカメムシのような形をしている。死んでいるのか動かない。他に”海の宝石”サフィリナ。ダイヤモンドのように七色の光を発している。N田教授が一般に紹介してからは、ダイバーの間で評判になっているそうだ。さらに多くのプランクトン(カイアシ類、クラゲ)がきれいなブルー。先日のN田教授のセミナー通り。いやー実に感動的。

  • (13:00 マイクロレイヤー採取。自分の中では本日のメインイベントであったが海況不良のため今回は中止。明日の部に期待)
    ―代わりにー
    13:30 VMPSネット
    14:30-14:50 ORIネット
    研究室内。ORIネットで獲れたサンプルに張り紙「ご自由にどうぞ:テイクアウト可」。

  • 16:00 採水(時系列)
    同じくロンテナ採水、運搬。(消費カロリー: 100kcal)
    17:00 マルチプルコアラ
    夕焼けの中、深海底へむかってLet it go。
    -20:40 マルチondeck。大成功。

  • 21:00 ニューストンネット
    お待ちかねアメンボウ捕獲大作戦。北の測点NBDでは”深夜番組”(23~24時観測開始)。視聴率を見込んでか、南の測点SBDでは”ゴールデンタイム”に作業時間シフト。
    小雨の中、1回目の作業。15分の曳網の後透明水槽に入ったサンプルが暗室へ。それを覗き込んだアメンボウ先生、ピンセットで一匹一匹を”ささっ”と捕獲しペーパータオルの上に。その早わざ、宮本武蔵が箸で蠅を捕まえるがごとし。ペーパータオルの上でアメンボウは動かない。そして十数匹全てをピックアップした後、動かないアメンボウの表面からヌルっとしたもの(粘液やクラゲとのこと)を取り去るとウミアメンボウが”蘇生”しピンピン跳ね回り始める。それを水の入った水槽に入れて行く。再びウミアメンボウはウミアメンボウらしくスイスイ泳ぎ回る。ナルホド。ウミアメンボウは米粒半分ぐらいの大きさ。自分の大嫌いなヤブカ(マダラエイカ)にちょっと似ており、ジっと見ていると体がかゆくなってくる。2回目の曳網はスコールの中。雨がふるとウミアメンボウはいなくなるとのこと。従って今回は非常に少ないらしい(初めての自分にとっては充分だが)。とりあえず3回の曳網でそれなりの数がとれたとのこと。明日から船上で”生体”実験開始。

  • 22:00 採水(時系列)
    同じくロンテナ採水、運搬。(消費カロリー: 100kcal)
    23:00 ORIネット

    この後はMTDネット。そしてマルチ。観測はまだまだ続く

  • 本日の消費カロリー:800~1300kcal
    熱量の栄養素等標示基準値(1日の目安):2100kcal
    ...........................ふ~



2014年6月3日 SBDに向けて航走中

  • 06:30 29-58N / 160-0.0E
    気温23.5度、水温22.4度 気圧1013hPa 風速9.1m/sec。薄曇り。
    船速14knot。SBD (25N / 160E)に向けて航走中。

  • 朝食後甲板へ。長袖では暑く感じる気候(場所)になってきた。
    午前中クルレポ作成開始。

  • 午後、現場ろ過器電池交換。研究用倉庫はかなりの湿度。汗だくになりながら6台分の電池交換と初期設定。しかし前回の経験値があるのでスムーズに作業が行えた。観測点NBDでうまくいっただけに観測点SBDでもぜひ成功させたい。
    =それにしても運動不足。盆も、正月も、外国出張時も、乗船時も、そしてインフルエンザの時でも一週間以上運動しなかったことは、少なくともこの5年間ではなかったこと。6月下旬から「かいよう」航海、何か対策考えよう。縄跳び?ビリー?=

  • 14:15 28-10N / 160-0.0E
    気温24.9度、水温24.1度 気圧1013hPa 風速8.8m/sec。薄曇り。
    船速15knot。SBD (25N / 160E)に向けて航走中。

  • 14:30 集合写真撮影
    久しぶりの甲板。薄曇りだが心地よい。写真撮影後、散歩する者、縄跳びに興じる者、ロープ遊びする者。短い時間だが皆外の空気を満喫した。

  • 15:00 採水訓練。 ワッキーの指導の下、ルーチン採水方法についての講習会が開催される。今後若者達が航海をした時に役立つよう教育目的。
    高知大学部生Fくんを、にいさん、ねえさん、おっさんが取り囲んで居残り特訓。
    =船上で「皆の食べたいものランキング」1位はカレー、2位はラーメン。明晩の献立にラーメンを見つけ、Yママ大喜び=

  • SBD到着は明朝03:00~4:00頃。もしも03:00なら、SBD航路の途中でニューストンネット(ウミアンボウ捕獲大作戦)を実施予定。

  • 19:30 SBD到着は03:20。04:00 採水(時系列)から開始との連絡。ウミアメンボウは明晩のお楽しみ。
    いよいよSBD。眠れない日々が続く若者よ。頑張れ!頑張れ!日本代表(陸から日本vsコスタリカ 3-1の試合速報が届く)。


2014年6月2日 SBDに向けて航走中。サンプル処理、セミナー

  • 06:30 35-59N / 160-0.0E
    気温18.1度、水温15.9度 気圧1010hPa 風速8.9m/sec。薄曇り。
    船速15knot。SBD (25N / 160E)に向けて航走中。

  • =昨夜のセミナー後もK暮首席部屋では2時まで”ウエット”討論会が行われていたようである。観測だけでなく、討論会にもフル参加のK暮首席、本当にタフ。大学の先生は胃腸も丈夫でなければ勤まらないようである=

  • 朝食後、無線室でコーヒーをごちそうになる。電子長、電子士とオシャベリ。本船のシステムに加え、歴代の乗船研究者・学生の話、寄港地、の話。懐かしい人名とエピソードが次々に飛び出し楽しい一時を過ごす。さりげなくカレーライスが食べたいとアピール。

  • 第6研究室ではF村さんが酸素、ワッキーが全炭酸を黙々と測定中。隣の5研では”ペヤング”Iくんがサンプル処理中。3研ではN田教授がフローサイトメトリー、I本さんは分子間力顕微鏡によりサンプル解析中。

  • MWJからK2係留系設置地点の計算結果が報告される。目標設置地点から約40m。過去の設置地点と比べるとニアピン賞かもしれない。早速、ブリッジでワッチ中のチョッサーに報告。初めての係留系作業、うまく設置できたか不安がっていただけに非常に喜んでいた。
    =彼は大学サッカー部の後輩でもあった。本航海で下船、サッカーW杯観戦を楽しみにしているということで、各国の選手名鑑と戦力分析に関する雑誌を貸す=

  • (ウミアメンボウの呪い)
    南の測点SBD到着は6月4日未明になりそう。北では見つからなかったウミアメンボウと遂にご対面?昼食時、ウミアメンボウ採取後の実験について話題となる。ウミアメンボウを入れた水槽の海水温を変化させその耐性を見るとのこと。つまり何度で絶命するかを検証するのである。絶命はお腹に貼りつけた微小温度計の変化で知る。体液が体からでて潜熱が少しあがるのだそうだ。ちょっと残酷ですね、というとウミアメンボウ先生、恐い話を始めた。ある時期、高知大学でウミアメンボウを研究していた学生達があいついで、病気になったり、交通事故にあったりしたそうだ。それでウミアメンボウ先生が実家の神社数カ所をお参りし安全祈願のお札を集めて複数の研究室に貼った、その後、学生達に不幸が訪れることはなかった。ところがお札を貼らなかった(間にはさまった)研究室の教員が階段から落ちて大けがをした.................(京都大学の昆虫学研究室では昆虫供養をするそうだ。ご祈祷もやってもらっているとのこと。神主さんが「...カミキリムシ、クワガタムシ、カブトムシ....」というように名前を読み上げるのだそうだが、皆ジっと絶えられるのであろうか????)。

  • 14:20 33-55N / 160-0.0E
    気温20.8度、水温19.4度 気圧1013hPa 風速4.7m/sec。薄曇り。
    船速15knot。

  • 19時 洋上セミナー
    AORI清家弘司助教「深海平原の泥に潜む大型生物達ー巣穴からその多様性を探るー」
    マりンスノー、ニューストン(ウミアメンボウ)、表層・中深層プランクトンときて本日はベントス。結果的には流れのあるシリーズとなった。
    沿岸から外洋の海底見られる巣穴、生痕からベントスの行動パターンを推定する研究。世の中にはいろいろなものに興味を持つ人間がいるもんだ。
    *何を隠そう、彼こそが夜食用に”巨大にぎりメシ”を作って、司厨部に叱られ、そんな事をしてはいけないと我々に知らしめてくれたヒーローなのである。
    セミナーの後の飲み会。彼はドンブリ一杯にごはんを入れて”大人のふりかけ”をかけて食べてました(本日は「ご自由にお食べて下さい」のごはん)。


2014年6月1日 SBDに向けて航走中

  • 08:35 41-31.7N / 160-0.2E
    気温10.1度、水温7.6度 気圧1010hPa 風速9.1m/sec。薄曇り。
    船速15knot。本船はSBD (25N / 160E)に向けて順調に航走中。

  • 朝食時、昨日ビームトロールで深海底から回収されたビール缶が話題に。誰かが調べた結果、1965~1972年に販売されていたものと判明。約45年前のものが腐食することなく保存されていたことに驚く。輸送経路は?材質は?深海の酸化還元環境は?堆積速度は?その後は同じく回収された深海ナマコの話に。体内から共生甲殻類が見つかった、という話から、その体内への侵入方法、ナマコの摂餌方法、生殖機能、種の保存など生物学的話題に。自分にとってはover my head(チンプンカンプン)の単語が多かったが、イキイキと話をする生物学者達の様子が面白かった。

  • 午前中、後方散乱計データの処理(ダウンロード)。水深200mセジメントトラップに装着していたもので昨年の7/24から回収まで2時間おきの後方散乱、蛍光光度を記録。セジメントトラップデータとの比較が楽しみ。その後、後方散乱計はメンテナンス、電池をはずして保管。

  • 13:10 40-17.3N / 159-59.9E
    気温12.1度、水温10.0度 気圧1010hPa 風速9.3m/sec。雨。
    午後、水温、深度計データの処理、グラフ作成。2013年11月に水深200mトラップが300mまで沈んでいたことが判明。しかしその時のフラックスは逆に多い。何故?

  • 19:30 38-41N / 160-00E
    気温15.3度、水温12.8度 気圧1012hPa 風速9.2m/sec
    船速15.1knot。快調に航行中。

  • 20:00 洋上セミナー
    AORI西田周平先生、佐野雅美特別研究員「小さな大宇宙ー動物プランクトンの多様性」
    表層~中層までの動物プランクトンの種類、機能、植生について判りやすく紹介して下さった。極表層に住むプランクトンをニューストンと言い、ウミアメンボウやカツオノカンムリ、カツオノエボシ等がいる。これらが皆青いのは、紫外線を反射および保護色、の意味がある、オスのカイアシ類の触角が前方に突き出しているのはメスを”ハグ”するため、等飲み屋で披露するウンチクが得られた。

  • セミナー後も、実験室では酸素測定、全炭酸測定が続いていた。自分は、昔JAMSTECでご一緒したI本さんと昔話に花が咲いた。


2014年5月31日 ビームトロール、マルチ。K2離脱。

  • K2 (47N/160E)
    05:00 起床
    気温5.5度、水温4.8度 気圧1015hPa 風速6.8m/sec
    濃霧。テレビ画面とスケジュール表から現在はビームトロール (ベントス採取用海底面曳網)を実施中の模様。
    研究室では今朝未明に行われたのであろうマルチプルコアラの泥きり。今回も大成功でしたと助教のS家くん。他にK橋くんとクスクスK野さん。

  • 06:20 ケーブル長 7193m。7303m。7586m。まだ巻きだし中?それとも海底面を”ゴリゴリ”トロール中?
    (3研に行って確認。04:00からワイヤー巻きだし開始。今まさに海底面に到達したかどうか見極め中。准教K納くんを中心にペンレコーダーの張力から判断しようとしているが、これだけワイヤー巻き出し長が大きいとその重み張力で海底の抵抗力が良く見えない)
    06:35 ケーブル長 7880m
    06:45 水深5193m。ケーブル長8500m。ワイヤー張力3.06トン。船速1knot。とりあえずこれで様子見か?
    07:10 ワイヤー長 8478m。巻き上げ速度0.3m/sec。徐々に巻き上げを開始した模様。

  • =朝食後、洗濯、ゴミ捨て、室内掃除。船で自分で掃除機をかけるなんて久しぶり=

  • 08:30 ワイヤー長 4588m。巻き上げ速度1.0m/sec。10時頃には回収されそう。
    10:00 ビームトロールondeck。大量の泥のサンプリングに成功。早くもヒトデやエビが見え隠れしている。まずはシャベル(大型スコップ)隊がバットに海底泥を小分けしていく。海水試料から海底堆積物試料、ウミアメンボウからベントス、形態観察からDNA解析、生物の研究でも本当に様々な観測・分析があるものである。

  • 昼食前、7研をのぞく。ビームトロールの”釣果”がバットに並んでいる。深海魚、ナマコ、ヒトデ、貝、ミミズみたいなもの。ユニークなものとしてサッポロビールの缶。なじみのラベルではなく、いつの時代のものか皆興味津々。関係者がジップロックを持ってバットを覗き込む。「私はこれとこれを下さい」「同位体分析ならヒトデもあった方が良いんじゃない?」「じゃ、それも」「俺はこの魚とこの貝」「オッケー。はい、一匹オマケ。」。まるで朝市。

  • 10:00 K2の観測終了。本船は南の測定SBD(北緯25度/東経160度)に向けて航走開始。SBDまでの距離:1320マイル(緯度1度=60マイル)。到着は、船速14ノットで走れれば94時間後、船速15ノットで88時間後。6月4日午前の見込み。
    (K2とはしばしのお別れ)

  • =昼食後、新しいシーツの配布。ベッドメーキングする。船で自分でシーツを変えるなんて久しぶり。長い間、首席をやってきたので”ダメダメ人間”になってしまった。=

  • 自分は研究室ドラフトを使用してセジメントトラップ試料の整理。写真撮影に続き定規で高さを測定した後、シールをして袋詰め。冷蔵保管。午後はこの結果の簡単なグラフ・所見を作成。その他の時間は使用したものの洗浄、片付け。

  • =7研での研究員の会話「しまった、今晩の夜食はペヤング(ソース焼きそば)だった!」「頼んでないの?」「観測がないと頼んだらおこられるし」「頭脳労働って言えばいいじゃない」「でも酒飲んだ後の”しめ”で焼きそば食いたい、ってバレバレじゃん」「あ~どうして船ってカップヌードル食べたくなるんだろな」そこを我慢しないと、引き締まった体は手に入らないよ、Iくん= (と思ってたら夕食に、もれなくペヤングついてました!よかったね!Iくん)

  • 夜、JAMSTEC/MWJ係留系チームでささやかな打ち上げ。


2014年5月30日 K2:観測再開

  • K2 (47N/160E)
    03:00 起床
    (昨夜、作戦通りベッドで論文を読もうとしたのですぐに眠れた)。
    気温3.8度、水温3.6度 気圧10142hPa 風速5.4m/sec 天候晴れ。
    既に陽は昇り、周囲は明るい。多少うねりはあるが作業には支障がなさそう。甘いものを食べて、コーヒー飲んで覚醒。

    ~休んでいる間に以下の作業~
    21:00~ POM200より観測再開
    22:00- CTD-時系列8
    23:00- CTD-POM200
    23:30- ニューストンネット
    24:30- CTD-DNA shallow

  • 03:25 5分前集合で研究室へ
    海洋科学技術センター深海研究部時代にご一緒したI本さんと挨拶「おはようございます」「お休みなさい」。
    一方、超ハイテンションのAORIグループ。目が血走っている(あまり近づかないようにしよう)。
    03:30  ガラス玉接続作業
     ラッキーにもクレーンで4連ガラス玉をボックスパレットから吊り出してもらえそう。
     平行して甲板で接続を始める。"より"防止ホース挿入、シャックルーリングーシャックル。シャックルピン、インシュロック、ビニテ。一カ所につき5〜6分。これを手分けして行う。10組ぐらい接続した頃、突然クレーン作業中断。採水と平行してのクレーン作業は不可能とのこと(油圧システムと人員体制の問題)。それで4連ガラス玉を人力でパレット外へ引きずりだそうとしたが、これがハンパない(とんでもない)作業。それでクレーンが使えるまで中断(05:00)。

  • 4:00- CTD-時系列9
    5:00- CTD-AFM-DNA

    06:30- クレーン作業再開。船長のアシストもある中、ガラス玉を甲板へ展開。接続。30分で終了。

  • =ところで、先日、S野船長はH大学S学部の2年後輩(入学年度)、そしてK日チョッサーは9年後輩であることが判明。お互い共通の知人、恩師の話題で大いに盛り上がった。=

  • 07:30- 採水器ondeck。昨晩予定されていた採水。25時頃の予定だったので、Yママに取水をお願いしていたもの。結局自分で取水。これでお土産(実験用海水)もゲット。

    08:00- 係留系最終確認。一部やり直しの箇所もあり事前確認の必要性を痛感。その後、係留作業中の作業体制確認。
    監督はT森(記録、全体チェック)、F畑、ワッキーが2トップ(最前線で最後の接続等)、K多村はセンターバック(ドラムからでてきた接続部のチェック)、トップ下はモチロンHONDA(セジメントトラップの運搬)。なおガラス球の移動はパワープレイ(全員参加)。最後に”ミニゼロ災”(*)をやってひとまず解散。
    (*)災害ゼロで作業しましょう、という儀式。

  • 9:00- 漂流系回収
    クレーンでシンカーを回収した後、作業開始。久しぶりのリフター操作、ガラス玉運搬。最初の10分間は緊張したが、その後はスンナリ”ゲーム”に入れた。
    甲板作業は、チョッサー、甲板長、甲板次長、甲板員2名、ウインチマン1名。そして我々の係留系チーム4名。Aフレームが甲板上に大きく倒れてくるので注意が必要。
    9:35 トップブイ水面
    9:50 1000mセジメントトラップ水面
    風もなく、日射しもあるので、デッキにいるのが苦ではない。
    11:25 4810mセジメントトラップ水面。
     約40分ほど曳航した後
    12:55 シンカーレッコ(*)
     係留系投入無事終了。お疲れさまでした。
    レッコ(*)海中へものを投入する時に使用する言葉。語源はLet it go. んっ? ♪ Let it go ♪ レリゴー ♪ ありのままに ♪ 世界的大ヒットのあの曲を聴く度に笑ってしまうのは私だけ?
    13:30 ポジショニング
     これが難産。最初の1時間半は切り離し装置からの反応がなく、バタバタアセアセ。デッキユニットを交換したり、トランスデューサーを交換したり。何度も何度もトランスデューサーを上下させたり。しかし場所を変えた途端、通信状況が良好となりスムーズに3点測量が行えた。結局終了は16:00。貴重な観測時間を与えてくれた首席ほか皆さんに感謝。
    16:00 漂流系探索に向かう。レーダー、GPSブイでそのポジションは把握できているが霧が濃い。40分後には漂流系発見。
    17:00 漂流系回収。
     多少うねりがある中でナウアー型セジメントトラップの取り外し。上背が無いと厳しい仕事だが、観測長、乗船者2トップのポスドクK子くんとS野くん皆180cm以上(目視)の長身トリオ、比較的スムーズに作業が行われる。回収したトラップには珪藻、そして生きたカイアシ類や尾虫類が捕集されていた。教授陣が熱心に観察、写真撮影に興じていた。17:30 回収作業終了。
     これで難易度の高い離れ技(係留系、漂流系)と着地(係留系の着底とポジショニング)が成功。
    17:30- 約3時間遅れでCTD-DNA採水
     テレビ画面ではワイヤーワッチする女性2等航海士が延々と映し出される。ずっと手帳に何か書き込んだり、何かを読んだり。何のメモだろう?
     誰か来た。観測長だ。続いて、チョッサー(8-0ワッチなので2等航海士と交替)。皆様、お疲れさまです。
    21:35 採水器ondeck
     採水は甲板上。採水室に入れるためにはアーマードケーブルを外す必要があるため。雨がふらない限り問題はないだろう。
    21:45- MTDネット

  •  画面切り替わり、船尾甲板。生物ネット班がMTDネットとともに待機。北大名誉教授 元田(MoToDa)茂先生(故人)が開発された水平曳多層式プランクトンネットシステム。今回参加のN田教授・S野研究員の最重要観測。
     それにしてもK多村研究員はタフである。係留系作業のみならずネット観測、おまけに採水もお手伝い。自分は既に風呂に入ってビールを飲んでいるというのに。。。
    21:50 MTDネットスタート

  • 体力勝負の長い一日。自分にとって本航海のミッションがほぼ終了。筋肉痛が心地よい。
     しかし今晩も不夜船「白鳳丸」


2014年5月29日 K2: 荒天待機

  • 0600 K2 (47N/160E)
    気温5.4度、水温3.6度 気圧1014hPa 風速14.2m/sec 天候小雨。
    風が強くなっている。海面には白波が。船長の予想通り、少し海況が悪い。

  • テレビではAフレーム。現在はマルチプルコアラ投入中。。。と、思ったがケーブル長0m。むむっ?
    ブリッジで確認したところ、時間が押して後の時系列採水に支障がでる+悪天候、なので、今回は中止になった、とのこと。

    寝ている間にORIネット、VMPSネット、時系列採水は予定通り実施したようである。

    漂流トラップは南東方向約1.8mileを漂流中。現在、レーダーでは追尾不可能。しかしGPSブイ電波状況良好、順調にトラッキングできている。

    7研前から外の状況確認。結構、風が強い(漂流系の回収が心配)。しかも強い雨(セジメントトラップのセッティング、冗談で言ってきたが、ブルーシートをかぶってやらなければいけないかも。。。。)。

    朝食後、セジメントトラップ捕集カップにフォルマリン海水装填  通常はセジメントトラップに捕集カップを装着する時に行う作業だが、外は雨なので研究室内であらかじめ行う。キャップを開けたり、洗浄したり、2度手間だがやむなし。

  • =昨夜は居室で投稿論文の著者校正。従来のように加筆修正箇所を紙の上に記入しFAXしたり、添付ファイルで送ったり、ではなく、インターネットのオンライン上で実施せよ、とのこと。しかし船上からインターネットにアクセスはできないので共同研究者にお願いする。現在、JAMSTEC研究船では「ちきゅう」だけがインターネットアクセス可能。=

  • 1000 採水(時系列)の予定であったが海況が悪いため中止。あわせて漂流系の回収も午後まで待機。
    急遽、明日投入する係留系のロープ接続・ドラム巻き込み作業を行う。「本多さん、あのロープを持って来て下さい。」「本多さん、ここをシャックルとリングで接続お願いします。最後はシャックルピンで”きめて”下さい」「本多さん、このロープを展開して下さい」。MWJ T森くんの指示の下、JAMSTECワッキーとともに慣れない手つきでの作業。シャックルピンが一回で曲げれない、ビニールテープを迅速に巻けない、ロープの”より”をとることができない。くーっ!自分が歯がゆい。

  • 1300 セジメントトラップ投入準備
     K多村研究員の補助でセジメントトラップに捕集カップ取り付け、作動スケジュール設定。MWJ F畑技術員はセジメントトラップに水深計を装着。心配していた降雨もなく90分程度で作業終了。
     風は弱まったが霧が発生。白波のかわりにうねりが大きい。

  • 1600 採水(時系列)の予定であったが海況が悪いため再び中止。K暮首席、番頭役のH崎准教授は、居室・研究室をわたり歩き、各担当者と相談、スケジュール調整に忙しい。

  • 1800 マルチプル中止
    風速10m/sec。昼に比べると小さくなった。海面から白波は消えた。しかしうねりが大きい。
    後は2200の採水、2400のORIネット、2600の採水のタイミングで作業可能かどうか判断。いずれにせよ自分は明朝0400から係留系設置作業の準備。ボックスパレットからガラス玉約60個を甲板に並べて接続する重労働があるので早めに就寝(したいな)。

  • と思ったら作業前倒しの連絡。
    2100から採水(時系列)。この後、ニューストン、ORIネット
    結局明日は0330から作業開始。2200には就寝したい。早く風呂に入ってナイトキャップしましょう。


2014年5月28日 K2 マルチプルコアラ他

  • 0600 K2 (47N/160E)
    気温2.3度、水温3.7度 気圧1022hPa 風速4.2m/sec 天候曇り。
    白波もなく海面は穏やか

  • =手にはマメ、背中は筋肉痛。昨日のガラス玉運び、シャックルはずし、現場ろ過器装着・脱着・運搬がこたえたようだ=

  • 0400 採水(時系列)2日間で200m以浅を6時間おきに採水。
    JASMSTEC N口研究員開発の遺伝子現場観測・自動採水装置の試験投入も同時に実施
    0600前 マルチプルコアラ(MPC)投入
    0900 ピンガーを取り付けたMPC ondeck。成層化された海底表層堆積物+直上水が見事に採取されていた。ちなみにJAMSTECのコアより直径が太いとのことである。

  • =ウミアメンボウ先生に連れられ高知大学から参加している学部生Fくん(ボクシング亀田3兄弟の長男にそっくりの風貌でカメダ君と呼ばれている)。様々な海洋観測風景をまじかで見て、参加して、非常に良い実習になっているようである。=

  • 1000 採水(時系列)  取水のお手伝い。世界標準のルーチン採水・分析を行う「みらい」航海、その首席経験者なので取水のエキスパート、と多くのポスドクに思われているのがつらい。久しぶりの”招集”(最大のサプライズ)。戦術を理解できるか?回りの人と強調できるか?(誰の話?)。採水班長は。。。特に居ない。隣のJAMSTECワッキーに「やらないの?」「アウエイ(away)ですから」。最初の簡単な採水のみで交替。出場時間わずか10分。

  • 1100 漂流トラップ投入
     今回は担当者ではないので気楽に見学。いちおう同海域での漂流系漂流パターンを、過去のクルーズレポートからコピーして担当者にわたす。
     舷が低いのでGPSブイもレーダリフレクターもクレーンを使わずどんどん投入。流儀の違いを比較するのも面白い。
    1150 投入終了
     今のところスケジュール通り、順調に観測は進む。
    1230 MTDネット
     多層プランクトンネット水平曳き。メッセンジャーで各層ネットを閉じる。少し疲れたので部屋から応援(テレビ観戦)。それにしてもK暮教授、N田教授、本航海の2トップは元気元気。
    (訂正)今回乗船されているN田周平教授は元海洋研所長ではありませんでした。筆者の勘違いでした。
    1600 採水(時系列)
    1700 VMPSネット
     多層鉛直引きネット。小型IONESSネットの鉛直引き版、というもの。ニューストン、MTD, ORI, NORPAC, VMPS, ビームトロール。本航海では様々な生物採取ネットが登場。まさに”生物多様性”。

  • 1830 マルチプルコアラ投入 本日2回目
    (投入時に昨日回収したセジメントトラップを高圧洗浄器で洗う。ネット、採水が多いので、やるなら「今でしょ」。)
    2200 採水(時系列)
    2300 ニューストンネット
     ウミアメンボ先生再登場。

  • 観測はまだまだ続く。。。。

  • =本航海でもクルーズレポート表紙コンテストの開催が決定。公募開始。=


2014年5月27日 K2 係留系回収、現場ろ過他

  • 0630 K2 (47N/160E)
    気温2.1度、水温3.8度 気圧1016hPa 風速6.5m/sec 天候曇り。
    船上ではビームトロール巻き上げ中。ケーブル長5074m。
    途中、張力計に問題があり必要以上にワイヤーを巻きだしたが40分以上は海底を曳網できた、とのこと。スケジュールは1時間押しか?

  • =朝食時、電子長から「勝手にオニギリ作ったり、残り物を食べたりしている人がいるようなんですが、あれ止めて欲しいんですよね」。共犯者にならなくて良かった。。。=

  • 0800 ビームトロールondeck
    ネットに入った泥泥泥。それをスコップでバットに入れていく様はセメントを捏ねている土木作業員のよう。甲板は泥だらけ。しかし泥を洗い流してみると、ヒトデ、エビ、なまこ、貝のオンパレード。北の深海底にこれほどのバイオマスがあるとは!!担当者 東大K納准教授(ほぼ徹夜)は興奮気味。彼は貝がお目当てのよう。中には超貴重なものもあるらしい。また近底層プランクトンねらいのN田先生とポスドクS野さんもいいサンプルが獲れたようでご満悦。

  • 係留系回収作業
    0850 ENABLEコマンド送信。応答無し。
    0920 係留系のほぼ真上に移動して再びENABLEコマンド送信。
    応答あり。距離測定。順調。そこでRELEASEコマンド送信。"頼りない"応答あり。
    しかし10分たっても発見の報せがない。
    0932 再びENABLEコマンド送信・距離測定・そしてRELEASEコマンド送信。
    。。。。。。。。。。。応答なし。。。。。。。。。。。。。。。
    0950 再び距離測定。すると4880m - 4860m - 4840 m - 4820 m。切り離し装置は上昇中のようである。しかしブリッジから発見の報せなし。
    0954 「もう浮上してんじゃないの」とつぶやきながら後部甲板から周囲を見渡す。すると。。。。7時方向500mの距離にオレンジのものが。「あった!!」。栄誉ある第一発見者となる。(ほとんどの人は、ブリッジの予想を信じて、右舷前方を監視していた模様。)
    ここから回収作業開始。
    1020 スマル投入。
    1035 トップブイondeck
    1050 自動採水装置RAS(100m)ondeck。サンプルバックはほぼ完全に膨らんでいることが確認できる。成功
    1108 200mセジメントトラップondeck。成功
    1126 500mセジメントトラップondeck。成功
    1130 550mRAS ondeck。成功。同装置で現場培養実験を指揮した東大大気海洋研(AORI)N田教授も大喜び。
    1252 4810mセジメントトラップondeck。成功
    1310 切り離し装置 ondeck
    本船にとっては初めての係留系の回収作業だったが、船長の操船・チョッサー、ボースン他船員さんの迅速で的確なデッキ作業のおかげで回収作業時間は、同作業に精通した「みらい」と同様ほぼ3時間であった。また今回はシャックルピンの切断、シャックルのとりはずし、ガラス玉ばらし等、サビだらけになりながら久しぶりに”最前線のお仕事”をした。結果、観測充実感・満足感が倍増した。なお昨年、4810mセジメントトラップに装着した缶ビールは、プルトップが腐食、室内に持ち込んだら底から泡が漏れだした。昨年までの係留系担当者で本ビールの所有者のK上さんにお土産で持って帰れなかったのは残念。
      1400 CTD採水(ルーチン)
    平行して回収ワイヤーのドラム巻き付け作業。
    1800 採水器ondeck。取水開始。
    1830 現場ろ過
    1800から作業開始の予定が連絡不十分で30分遅れ。ポンピングは20時開始。水深2000m。現場ろ過器6台。間に合うか?
    船長も初めての作業なので船尾で見物。ウインチ操作は女性二等航海士。作業前、取り付け方法を船員さんに説明。ところが、、、
    船員さんは安全策の操作のみ。取り付け作業は「えっ?俺?」。ポスドク2名といきなり最前線。クランプの取り付け、インシュロックによる固定。万が一を考えると緊張する。本当に長い間、人様に頼ってきたことを痛感。それでも6台の現場ろ過器の取り付け・予定水深への設置は1930に終了。間に合った。
    夕食後、セジメントトラップ再設置のために電池交換、作動確認。
    実験室では本格的に分析作業・解析作業スタート。
    2400 現場ろ過器揚収回収
    K暮首席研究員が見守る中、慎重に取り外し作業。
    2500 現場ろ過器を無事回収。流量は少なかったものの全ての現場ろ過器が作動しているのを確認。
    機器の塩抜き(洗浄)は若い人にまかせて居室へ。ビールで慰労。
    とりあえず自分の本航海ミッション半分が終了。


2014年5月26日 K2到着。観測開始

  • 0630 起床
    44-44N/156-19E 気温4.2度、水温4.0度 気圧1010hPa 風速6.7m/sec 天候曇り。
    かつての時系列観測定点KNOTを少し通過したところ。K2までの距離204mile。船速13knotなので到着は約16時間後。
    船体動揺若干大きい。船窓からは白波。時折、波が船窓にブチあたる(海面から高さ3m程度?)。海の色は鉛色。いよいよ北の海にやってきた感あり。今晩からいよいよK2。

  • 午前中、セジメントトラップ試料保存液作成。捕集カップ準備。”テプラ”がなかったので、ビニテを巻いてラベリング。こんな作業何年ぶりだろう。

  • =それ以外の時間は論文読んだり、読書。今読んでる本はマイケル・マン著「地球温暖化論争」(化学同人)。ホッケースティック曲線生みの親が「地球温暖化懐疑論者」へ贈るリベンジ本。IPCC第三次報告書に採用された地球温暖化の象徴的グラフ「ホッケースティック曲線」。これがデータの改ざん・加工、都合良く統計処理された”バッタ物”ということで地球温暖化懐疑論者のやり玉に。加えてクライメートゲート事件(IPCC関係者の”悪意があるように見える”メールの流出とIPCCレポートの”多くのものがそうであるとされる”誤記、誤引用)が発生、石油業界とその支持を受ける政界、シンクタンク、マスメディアから執拗なバッシングを受ける。著者達がこれにどのように対応し、どのように科学的に正しい事を証明したのか?当時の風刺漫画も挿入された約360ページの本文、約120ページの注釈と参考文献、は圧巻。以前読んだブラッドレー(ホッケースティック曲線論文共著者)著「地球温暖化バッシングー懐疑論を焚き付ける正体」(化学同人)では、議会(裁判所?)命令で過去十数年間にわたる全てのデータ、研究費のバランスシート、著者が関わる論文リストとその内容(そして多分”日付の入った実験ノート”)等等の提出が求められたとのことである。研究活動どころではなく、その対応により肉体的にも精神的にも追いつめられていく様子が赤裸々に綴られていた。ホッケースティック曲線著者達の壮絶な戦いぶりを知ることができる。=

  • 午後、現場ろ過器準備。流量計取り付け、フィルターホルダー取りはずし・洗浄。
    倉庫ではノルパックネット、漂流系ロープの準備。研究室でも様々な準備が行われている。

  • 1500 45-53N/158-11E 気温3.6度、水温3.2度 気圧1012hPa 風速10m/sec  船速13knot。K2までの距離99マイル。後6時間。

    =夕方、待機中に本日放映中の映画「真夏の方程式」を鑑賞。海底資源探査、資源掘削と深海環境調査。まさにJAMSTECが実施している事業。JAMSTEC AUV「うらしま」登場。「きぼう」という船は「かいれい」?「よこすか」?海の風景はCG合成、陸の風景はJAMSTEC整備場。朝ドラでおなじみの、杏、吉高由里子、塩見三省(あまちゃん、のベンさん)がキャスティング。主演福山雅治。「実に面白い」=

  • 2200 K2到着。
    気温2.6度、水温5.4度 気圧1013hPa 風速6.0m/sec
    霧雨。風がないためか、思ったほど寒くない。
    K2観測スタート
    2200 ニューストンネット
    トップバッターはウミアメンボウ採集。多くのギャラリーに見守られ右舷に投入され15分間曳網×3回。カイアシ類、ヤムシ、小魚、多数。さすが北の海。しかしウミアメンボウはいない。いたら新発見、Natureもの。滞在中に後2回。

  • 2400 採水(2000m)  この採水でセジメントトラップ用海水を収集。いきなり時間"おしてます"。
    =ポスドク連中がうまそうにオニギリを作って食べている。「ビーフシチューもありました。ハヤシライスとして食べれますよ。」うー。ガマンガマン。=
    2530 採水器ondeck。中性フォルマリン海水40L作成。

  • 2630 ビームトロール
     定棲生物の採取が目的。海底表面をガリガリ削るドレッジとは異なり、海底面をソリのように滑るプランクトンネット状。幅3m・高さ1m。ネットは5m。着底はピンガーで確認。”地球を釣った場合”に備えてヒューズワイヤーで接続。「みらい」で作成してきた海底地形図、過去のシンカー位置の履歴がここで大変役立つ。これから朝までトローリング。お疲れさまです。

  • 明日(今日)はいよいよ係留系回収。


2014年5月24日 K2へ向けて航走中

  • 0630 起床
    37-34N/146-23E 気温11.6度、水温10.4度 気圧1019hPa 風速6.2m/sec 天候晴れ
    船速12.0knot。多少”ガブられるが”K2へ向けて順調に航走中

  • 0900 チャートルーム(ブリッジ後ろの部屋)にて係留系作業について打合せ。係留系回収から再投入まで理想は中3日。しかし今回のように遅れている場合は中2日で何とか準備しなくてはならないかも(”なでしこ”は中1日で3試合。どちらが過酷か?)。「みらい」と異なり甲板が狭い。準備作業の場所(ガラス球の展開場所等)で頭を悩ませる。

  • 1000 首席部屋で今後のスケジュールについて打合せ。早くも貯金を使い果たしている。観測作業の優先順位、観測作業時間の短縮可能時間について確認。どうやら中2日での係留系再投入を覚悟しなくてはならないようだ。中日の長さよりも、甲板で作業ができるか否かが問題。サイドを使った観測、船尾・甲板作業の組み合わせが重要。

  • 甲板ではORIネット組み立て作業。研究室では昨日のサンプル処理をする人も。
    =1100 38-08N/147-10E。BSテレビも映りが悪くなり始める。自然と気持ちは観測モードへ=

  • 午後、小一時間ほど係留系の準備。MWJのT森くんとF畑くんの指示の下、甲板でシャックルの”増絞(ましじめ)”とシャックルピン挿入。最近は若い人にまかせっきりだったので、このような作業は何年ぶりだろうか。非常に気持ち良くやりがいのある労働。日射しは弱いがうっすら汗ばむ。

    その他の時間は、たまっている論文読み。手元にあるセジメントトラップデータをどのように料理するか(どのような論文に仕上げるか)を検討するため。

  • 夕食後、ビール片手に洋上セミナー。演者は自分。共同研究者とまとめたK2S1プロジェクトの結果を紹介。今回の航海も亜寒帯・亜熱帯比較研究航海なので参考になれば幸い。余興として自分の略歴も紹介。大学の恩師T皆先生、ウッズホール時代にお世話になったH庄先生、お二人にゆかりのある東大海洋研の教授N崎先生にどのように関わったかも披露。本航海の長老お二人(AORIのK暮・N田教授)にとっては特になじみのある話題のようだった。

  • =本船には、いわゆる公衆電話がないので、私用電話は無線室から。電子長の横で”愛のささやき”は難しい。ママさん研究者はインマルサット携帯電話をレンタルしてきた模様。レンタル料1日1500円、通話料1分300円。小さい子どもさんがいるだけに背に腹はかえられぬ?!=

  • (1230 首席部屋。まだまだ意見交換会は続く)


2014年5月23日 黒潮流軸採水

  • 0630 起床
    37-42N/143-16E 気温11.6度、水温16.8度 気圧1013hPa 風速10m/sec 天候曇り
    気圧はあがり風速も大分低下、でも海面には大きなうねり。

    朝食時、首席と船長を中心に今後の方針について相談。結果、北の測点(K2)へ向かうのは低気圧の影響で困難(向かってもスピードがでない)。よって黒潮流軸測定点にまず向かう、そしてその後は南の測点(SBD)を目指すこととなった。

  • 0830 離脱前に表面採水。水中ポンプをつりおろし約500Lの表面海水を採取。本番前の練習用に使用される。初めての観測作業なのでほぼ全員がお手伝い。久しぶりに外の空気が吸え皆リフレッシュした様子。

  • 1200 37-13N/143-29E 気温13度、水温16.7度 気圧1015hPa 風速7.9m/sec 天候曇り
    本船は黒潮流軸観測点に向けて航走中。船速14knot。うねりはあるが海況は良くなりつつある。

  • 1530 黒潮流軸観測点(36-30N/144-00E)到着
    うねりはあるが採水決定。「やるぞ、やるぞ」首席のK暮先生。ウレシそうに研究室を小走り。
    1600 CTD採水器投入。流速4.9knot。対水速度0knot、対値速度4.9knot。つまり流れにのりながらの採水。水深の変化が気になる。
    ママさん研究者Y口さん。昼食時に「今晩は飲み会ですかね?」。アナタの採水、仕事になっちゃいましたね。

    右舷甲板では海アメンボウ先生、N田先生、JAMSTEC K村研究員を中心にプランクトンネットの準備が始まる。本日はアメンボウを採取するニューストンネットの組み立て。
    ようやく航海が始まった感じ。

  • 1820 ワイヤアウト7500m。CTD水深2200m???要するに採水器が流され(船が流され?)傾角がついているため。さすが黒潮、恐るべし黒潮。ウインチには8000mしかワイヤーを巻き込んでいない、ということでここでワイヤアウト終了。2000m以浅の採水を行うこととなる。こうなるとどこの地点で採水したのか良くわからなくなってくる。経験値が一つ増える。

  • 2030 採水器ondeck。数本の採水器が固定金具からはずれていたがロープにより脱落することもなく採水は無事終了。台車にのせて採水室へ移動した後、若者達により採水開始。リークチェック、採水分担など適当なところが新鮮。

  • さて本船であるが、予想に反して海況が良いこと、もしかしたら平均13knotぐらいで走れるかもしれない、ということで北の測点(K2)へ向かうことに方針変更。予定だとK2着予定は5月26日。(♪北へ行くのね、ここも北なのに♪寒さこらえて、波止場で待~つわ♪ 「潮騒のメモリー」より)


2014年5月22日 黒潮流軸そばで荒天待機

  • 0630 起床 36-56N/143-39E 気温14.7度、水温18度 気圧993hPa 風速23m/sec 波高は目視で約4m。この海況だと観測はむずかしいのでは?

    =少しハラが減った。体調は回復傾向か?=

    0730 朝食。首席研究員から、今日も観測は無理そう、明日の朝までこの場で待機、明朝に方針を決定するとの連絡。

    =朝食完食。体調は良くなった模様。しかし油断は禁物=

    午前中は急遽行う事になった船上セミナーの準備。 少しは読み書きできるようになった英語メールの対応。

  • 1120 昼食。本船ではこの時間がランチタイム。ちなみに朝食は0720、夕食は1720。何故20分かそのうちに確認。

  • 午後 現場ろ過器のクランプ交換再開。電池交換。
    昨日は研究員倉庫で作業を行っていたが、ネジが折れたり、加えてこの場所が油の臭いが充満した船尾で、良く揺れるところなので全員が船酔いになったりして、作業を中断していた。本日は比較的サクサク進む(といっても複数名は船酔いで離脱)。
    その後は居室でメール対応。

  • 1700
    37-10N/143-22E 気温14.7度、水温13度 気圧1003hPa 風速17m/sec
    まだまだ観測できる状態ではない。明日の昼が待機の限界か?
    なお船内情報は「白鳳丸船内ホームページ」から確認可能。航海・気象・海象情報、共同ニュースから食事の献立表、ビデオ放映スケジュールまで知る事ができる。

  • 1900 荒天待機のおかげでAFC女子アジアカップ準決勝観戦。なでしこ劇的勝利で決勝へ。120分間良く走れるものです。
    決勝は25日。その時はoutside of Japan BS area。北の測点に向かっている途中か?それとも南?明日方針決定。


2014年5月21日 黒潮流軸での観測、荒天待機

  • 0730 36-28N/144-06E
    流速4.5knot。黒潮流軸上。風速20m/sec。波高(推定)3m
    採水点に到着するも風が強く待機。

  • 0850 風速13m/sec 風が少し弱まったので採水器投入。ただし海面は白波多し。甲板から水面までは3m程度であるが着水まで採水器は大きく動揺。ダイナコン、スエルコンペンセーターのような減揺システムがないので心配。採水器を降下し始めたがやはり”しゃくり”が激しい。数分後、船長判断で採水は中止、しばらくこの地点で待機することになる。

  • =昼食時の話題は海アメンボウ。世界で10本の指に入る海アメンボ研究の大家H田先生から、沿岸域には65種類・外洋では5種類の記載がある、雑食性で蚊や魚の死骸等も食べる、川アメンボウは飛ぶ、英語ではSea Skaterという、田んぼでの個体数調査は虫網で50回水をすくいとる等々ありがたく拝聴。今の悩みはアメンボウ学会を作りたいが日本では10人ぐらいしか集まらないこと(そうでしょうね)=

  • 13時 操練(避難訓練)。海況が悪いので研究室に集合。
    14時 36-58N/143-38E 気圧991hPa、風速20m。時化。船体動揺が大きい。
    東大グループがポンプによる表面採水を希望するがこの海況では無理。再び待機。

  • 15時 関係者で現場ろ過器のクランプ交換作業を行う。しかしネジがさびついており作業は難航。ついに何本かネジを折ってしまう。
    機関部にお願いして新しいネジ、ネジ穴を空けてもらい対処。


  • =それより何より調子が悪い。作業中2回もトイレに駆け込む。昼食、夕食、ほとんど箸をつけれない状態。英語のメールなんて頭に入らない。昨夜の深酒?それとも食あたり?まさかまさか船酔い?「船酔いで死ぬ事はないよ」「ダイエットにちょうど良いじゃない?」とこれまで船酔いしてきた人達に冗談を言ってきた自分が、まさか!とりあえずトラベルミンを飲んで様子見。皆こんな状態だったのにちゃんと観測してきたのね。尊敬しちゃう。=

  • 1900 気温19度 気圧985hPa 風速11m/sec。あいかわらずの時化。明日までこの場で荒天待機。
    あいかわらず寝ても座っても気分が悪い。何も手に付かないので早めに風呂。
    明日の海況、体調の回復を祈って早めに就寝。

2014年5月20日 出港

天気:曇り
  • 12時 早めの昼食を築地ですませ乗船。メール動作は良好。プリンターとの接続も完了。船内LANシステム確認。これでライフラインは確保。
    14時 出港。東京タワー(やっぱり昭和の人間 は感動します)を右手に、お台場のフジテレビ、サントリー(....行ってきます...)を左手に見ながら、レインボーブリッジをくぐって東京湾外へ。
    研究室では本格的に“開店準備“が始まる。「みらい」と異なり実験室、倉庫が小さいためかなりの混雑ぶり。海アメンボ先生こと高知大H田先生もようやく始動(この先生の持ち込まれたビールの量はハンパない)。甲板では学生さんによりビームトロールの組み立て、倉庫ではN田先生(元海洋研所長)自らORIネットの組み立て。

  • 17時30分 夕食。本船は「みらい」と異なり、食堂が3カ所に分かれる。士官+研究者代表用(サロン)、乗船者用、乗組員用。年功序列で自分はサロン。ワイワイガヤガヤ感がなく少し寂しい。何かにつけ「みらい」と比較してしまう。“ヤラしい”ので悔い改めるベシ。各船それぞれ“お作法”がある。早くそれに慣れなければ。
    18時15分 本船のセキュリティー(安全対策)に関するブリーフィング。

  • 18時30分 乗船者会議。乗組員代表、乗船者が一同に介してのミーティング。首席、および”番頭”役のH崎先生から観測スケジュールの紹介。早速、船側からスケジュール変更のリクエスト。海象については明日の午後からは低気圧の影響で波高が高くなるとのこと。
    引き続き。オリエンテーション。船内生活の説明。白鳳丸に乗船したのはまだ大学院生だった今から30年前。しかも旧白鳳丸(当時はセンターホールにピアノが置いてあった)。このご時世なので緊急時の対応について今まで以上に熱心に聞く。

  • 21時 K暮教授の招集で決起集会。

  • 明朝、黒潮流軸でのCTD予定。国立環境研究所Y口さんリクエストの採水。昨年は出産直後に「みらい」MR13-04航海に乗船。子どもさんはちょうど一歳かな?海アメンボウ万歳?


2014年5月19日 出港前日。出港準備。

  • 9時30分 晴海埠頭に停泊中の白鳳丸訪船。着替え、エッセン(食料)の詰まったスキーバック運搬のため車で行く。先日、運動のため、観光のため、晴海埠頭から、築地、歌舞伎座経由で、銀座・数寄屋橋まで歩いた(距離約4km)おかげで迷う事無く到着。
    船上では実験室の整理。居室の整理。その後は船内探検。現白鳳丸乗船は初めて。だいたいレイアウトを把握。
    12時、むつ研究所から忘れ物が届く。現場ろ過器をワイヤーに装着するクランプ。これがないと観測ができなかったので一安心。

  • =その後、仲間4人で月島へ。昼食はモチロンもんじゃ焼き=

  • 15時頃までメール立ち上げ+デスクワーク。昼食時「もち明太子チーズもんじ ゃ」を食べた時、”銀歯”が とれた。歯医者に行くため早々に退船。