25N / 160E SBD
00:00 ORIネット
02:00-08:00 ビームトロール
08:00 気温25.4度、気圧1006.2hPa、風速0.5m/sec、天候晴れ
朝食時、今日はマイクロレイヤーできそう、ということで皆ニコニコ。今のうちに、一刻も早く、と気がアセる。
漂流系が約10マイル離れた場所を漂流中。あまり離れると回収に時間がかかる、ということでビームトロール終了後に漂流系地点に向かい、適当な時間になったら作業艇を降下しマイクロレイヤー採取を行う、その後に漂流系回収に着手する、という方針に決定。
(サメの歯化石)
08:00 ビームトロールondeck。しかしいつもと様子が違う。網の中には石ころ”ごろごろ”。加えてフレームが曲がっていた。どうも”がれき”海底をドレッジした模様。堆積物のベントス(底棲生物)ねらいだったので担当者一同落胆している模様。成果と言えば全長50cmぐらいのタコ、石でおしつぶされたであろう10cmのエビが入っているぐらい。ところが.....「わー!何だこれ」T野くんの叫び声。見ると大きなサメの歯の化石。三角形の矢じり型の歯が石ころから突き出していた。「あっ!こっちも」「ここにもあるぞ」次から次へ発見の報。大きなもので手のひらサイズ、小さいものは小指第一関節大。メガドロンの歯?その場合200〜500万年前のもの。そんなウンチクをS家くんが披露するものだから、それからはベントスなどどうでも良く(一部の担当者以外は)皆よってたかって化石探し。ちなみに石ころはまんまるい。しかもぼろぼろ割れやすい。いわゆるサメの歯が核となったノジュール(*)なのである。息子のお土産に、研究室のお土産に、石ころの山に群がる化石ハンター達。何を隠そう、おしゃべりしないで一番長い時間うずくまっていたのはN田教授であった。
(*)鉱物や今回のサメの歯のようなものが核となりその回りに堆積物が付着し成長していく鉱物。ちょうど泥(砂)だんごをつくっていくような感じ。マンガン団塊が知られる。かつて海底資源の代表格として世界中が躍起になって探索・採掘していた。何故マンガン団塊は堆積物に埋もれることなく海底面にあるのか?何故キレイな球状なのか?その成因に未解明なことも多い。
09:38 マイクロレイヤー観測
と、いうことですっかり主役の座を明け渡した感があったが、いよいよ皆さんお待ちかね、本日のメインイベントが開始される。朝よりも海面はフラット。作業艇にマイクロレイヤー装置および機材が搭載され、乗組員2名、研究者のH崎教授とマレーシアからの留学生Shuさんが乗船。意外にうねりがあり、海面で上下動する作業艇への乗船が難しいのでは、と思われたが、H崎教授もShuさんもスムーズに乗船。大勢のギャラリーに見守られる中、作業艇は”もやい”策をはずしスタート。本船より約500m離れたところで観測開始。ブリッジの双眼鏡でみても観測内容は良くわからない。最初は双眼鏡越しの撮影を試みたが固定式双眼鏡がなかったので断念。
11:45 帰鑑。昼食時間だったので出迎えは少ない。「Shuさんどうだった?」と聞くと、ニカっと笑って、Two Thumb Up!(二本の親指を突き立てる。Very Goodの意味)。外国人だなあ。
=本日は本航海で最高の陽気。トロール後の発掘調査、マイクロレイヤー観測の見学、係留系ガラス玉の片付け 計2時間程度の甲板滞在で汗だくとなる=
船上ではもう一つの目玉であるウミアメンボウの耐性実験が始まる。28度に設定された恒温層にウミアメンボウが入れられ実験スタート。恒温水槽内はかなりの水流。しかしウミアメンボウは水流に逆らってスイスイ方向転換。これから15分毎に温度が低下していく。あ〜合掌。
11:50 漂流系回収
貧栄養な海域で1日の漂流しかしなかったのでサンプルは非常に少ない。甲板は炎天下、迅速に捕集カップをとりはずして研究室へ。その後は漂流系索バラシ、漂流トラップ分解など撤収作業。とりあえず”離れ技”終了。再び汗だくとなる。居室で本日2回目の着替え。
14:30 採水(ルーチン)
海中深くまで採水器が船上から確認できるほどの透明度。昔、白色セッキー板で透明度を良く測定しました。ここでは50mはありそう。
-18:00 採水器ondeck
代表に招集され先発出場。
T森「うへ〜本多さんが採水するの初めて見た!」
ワッキー「そんなことないよ。時々お願いしてるよ」
本多「まあ確かにサプライズ招集に変りはないよね」
N口「でも往年の技術は落ちないものでしょう」
本多「まるで代表に選ばれたゴン、て感じだよな」
N口「いやいやベッカムでしょう」
.................N口っていい奴だな。
監督(採水班長)はH崎さん。采配(ボトル分担の指示)も板についてきた。
甲板ではビームトロール再構築。昼間、曲がったフレームはキャプスタンをつかって整形し(すごい力!)、現在は網の取り付け。缶ビールにサメの歯化石。今度は何が獲れるだろう。
19:45 採水(DNA測定用)
20:45 ニューストンネット
研究室では現場ろ過器にフィルター装着、プログラム再入力(スタート時間の変更に伴う)、流量計読み。全ての作業にほぼフル出場のKくんとIくん。疲れがピークに近く、かなりハイな状態。
22:00 現場ろ過
ポンプスタート24:00
回収開始04:00
=クルーズレポート表紙コンテスト 作品投稿を締め切る。投票は明日から=