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プレスリリース

2019年 6月21日
東京工業大学
国立研究開発法人海洋研究開発機構

生命誕生のカギの一つは深海底のメタルが握っている
―深海熱水噴出孔で有機物が生成する新たなメカニズムを提案―

東京工業大学 地球生命研究所(以下ELSI)の北台紀夫アフィリエイトサイエンティスト(兼 国立研究開発法人 海洋研究開発機構(以下JAMSTEC) 研究員)、中村龍平教授(兼 理化学研究所 環境資源科学研究センター チームリーダー)、物質理工学院 応用化学系の吉田尚弘教授(ELSI主任研究者)、JAMSTECの山本正浩研究員、高井研分野長(兼 ELSIフェロー)、イリノイ大学の大野克嗣教授からなる研究グループは、初期海洋底の噴出孔から吹き出る熱水の化学エネルギーを生体分子の合成に活かす、有効なメカニズムを提案しました。

深海熱水噴出孔環境は、地球生命が誕生した可能性が最も高い場所として注目されています。しかし、このような環境で生命の原材料である有機化合物が作り出されるメカニズムはまだよく分かっていません。今回、研究グループは、初期海洋底の熱水噴出孔環境で生じていたと推測される電気化学反応場を室内実験で再現し、噴出孔の代表的な構成鉱物である硫化金属(鉄・銅・鉛・銀の硫化物)が電気還元によってメタルに変化することを実証しました。さらに途上で生じる硫化鉄と金属鉄の複合体が還元剤及び触媒となって、生命発生に不可欠な複数の有機化学反応を促進することも発見しました。

なお、本研究成果は日本時間2019年6月20日午前3時公開のScience Advances誌の電子版に掲載されました。

詳細は東京工業大学のサイトをご覧下さい。

国立研究開発法人海洋研究開発機構
海洋科学技術戦略部 広報課
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