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プレスリリース

2021年 11月 16日
大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 国立極地研究所
国立研究開発法人海洋研究開発機構
国立大学法人北見工業大学

北極海の海氷減少で雲の性質が変化
~強風による波しぶきにより氷雲の割合が増加~

国立極地研究所の猪上淳准教授、當房豊助教、海洋研究開発機構の竹谷文一主任研究員、北見工業大学の佐藤和敏助教の研究チームは、海洋地球研究船「みらい」の北極海航海(首席研究者:猪上淳)で2018年11月に取得した観測データの解析を行い、雲の相状態(水雲(みずぐも)か氷雲(こおりぐも)か)が海上の風や波高で著しく変化することを明らかにしました。具体的には、しぶきが多量に形成される強風時には、氷晶の核となりうる粒子が海から大気中に多量に供給され、雲の下層部分で氷晶の割合が多くなることが確認されました。また、船上で採取したエアロゾルには有機物が多く含まれており、その時の海水は深さに関わらず濁度が著しく高かったことから、海底に堆積していた有機物が撹拌され海面まで浮上し、大気中で氷晶の核として働くことによって、雲内での氷晶の生成を促進していたことが、可能性の一つとして考えられました。

環境変化の激しい極域において、海氷の減少により海洋起源の氷晶核粒子の供給が増加するのであれば、気候モデルの雲計算過程を精緻化する上で考慮すべき過程であると言えます。この成果は、8月21日付のGeophysical Research Letters誌オンライン版に掲載されました。

詳細は国立極地研究所のサイトをご覧ください。

国立研究開発法人海洋研究開発機構
海洋科学技術戦略部 報道室
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