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プレスリリース

2022年 4月 6日
国立研究開発法人海洋研究開発機構

国際深海科学掘削計画(IODP)第390/393次研究航海の開始について
~南大西洋横断調査(I, Ⅱ)~

国際深海科学掘削計画(IODP: International Ocean Discovery Program)(※1)の一環として、米国が提供するジョイデス・レゾリューション号(※2)による「南大西洋横断調査」(別紙参照)が、2022年4月7日から開始される第390次研究航海と、同年6月7日から開始される第393次研究航海の2つの連続した航海にて行われます。

本調査では南大西洋の6地点の掘削を予定しており、海洋地殻の進化過程や古環境の復元についての理解が深まることが期待されます。

第390次研究航海には、イタリア、インド、英国、オーストリア、韓国、中国、ドイツ、日本、フランス、米国から計26名の研究者が参加し、うち日本からは3名が参加予定(乗船参加2名、陸上参加1名)です。また、第393次研究航海には、インド、英国、韓国、中国、ドイツ、日本、フランス、米国から計25名の研究者が参加し、うち日本からは1名が乗船参加予定です。

※1 国際深海科学掘削計画(IODP: International Ocean Discovery Program)

平成25年(2013年)10月から開始された多国間科学研究共同プログラム。日本(地球深部探査船「ちきゅう」)、米国(ジョイデス・レゾリューション号)、ヨーロッパ(特定任務掘削船)がそれぞれ提供する掘削船を用いて深海底を掘削することにより、地球環境変動、地球内部構造、地殻内生命圏等の解明を目的とした研究を推進する。


JOIDES Resolution ©IODP

※2 ジョイデス・レゾリューション号

IODPの科学掘削に米国が提供する掘削船。

別紙

南大西洋横断調査(I, II)
South Atlantic Transect(I, II)

1.日程(現地時間)

  第390/393次研究航海

2022年4月7日
第390次研究航海開始(出港地:南アフリカ ケープタウン)
2022年6月7日
第390次研究航海終了(入港地:南アフリカ ケープタウン)
2022年6月7日
第393次研究航海開始(出港地:南アフリカ ケープタウン)
2022年8月7日
第393次研究航海終了(入港地:南アフリカ ケープタウン)

※予定は、新型コロナウィルス感染症の状況、航海準備状況、気象条件や調査の進捗状況等によって変更となる場合があります。

2.日本から参加する研究者

航海番号 氏名 所属/役職 担当専門分野
390 相澤 正隆 琉球大学理工学研究科/博士研究員 無機地球化学
390 土井 信寛* 千葉大学融合理工学府地球環境科学専攻/博士課程 微化石古生物学
390 高田 真子 東京大学大学院新領域創成科学研究科/修士課程 微生物学・有機地球化学
393 桑野 太輔 千葉大学融合理工学府地球環境科学専攻/博士課程 微化石古生物学

*陸上研究メンバーとして参加

3.研究の背景・目的

IODP 第390/393次研究航海は、南大西洋を横断し、海洋地殻の進化過程や過去の気候変動等の古環境の復元を目的とした掘削航海です。地球初期の生命は海洋で誕生したと考えられており、地球史の中で、生物活動が地球の表層環境を大きく変えてきたことが知られています。近年、深海底の岩石を掘削して生物活動圏の限界を調べることで、生命の誕生や進化過程を明らかにしようとする研究が行われており、海洋地殻を構成している硬くて深い岩石中でも、生物活動の痕跡が発見されています。つまり、生命は従来考えられていたよりもはるかに広範囲に存在し、活動していたことが明らかとなりつつあります。一方で、生命活動を維持するためには栄養やエネルギーの供給が不可欠です。地球で発生しているマントル対流やプレートテクトニクスは、地球内部の熱を地球表層に移送しているだけではなく、地球深部と表層の物質循環も引き起こします。特に、上昇してきたマントルが融けてマグマが吹き出す中央海嶺では、マグマ活動に伴って熱水循環活動も発生し、海洋と地球内物質との元素交換が最も盛んな場の1つと言えます。

本研究航海では、大西洋を横切るように、約700万年前~6100万年前に形成された岩石・堆積物を掘削し、中央海嶺付近の熱水循環の解明や、マグマ生成に関する岩石学的な検討に加え、堆積物表層から下部の岩盤層の微生物細胞数を計測します。そのため、海底表層に堆積した堆積物に加え、250 m程度掘り進み、マグマが冷えて固まった玄武岩質の海洋地殻もあわせて採取する予定です。微生物細胞数の計測については、これまでに南大西洋での実測値はありません。海底堆積物中の微生物細胞数は海域および深度によって異なるため、新たな知見が得られることが期待されます。また、堆積物中における酸化的環境から還元的環境へのシフトに注目し、微生物群集がどのように変化するかを捉えるための、培養実験等も行われる予定です。さらに、急激な気候変動が大西洋の海流循環と気候システムにどのように影響していたのか調査することも目的となっています。このような当時の海洋環境、特に当時の気温の上昇下降は微化石から推測することが可能です。より効率的な掘削調査が実施できるように、第390次航海と第393次航海の合計2回の調査が予定されており、より多様な研究バックグラウンドを持った研究者が乗船します。

Coggon, R.M., Christeson, G.L., Sylvan, J.B., Teagle, D.A.H., Estes, E., Williams, T., and Alvarez Zarikian, C.A., 2020. Expedition 390/393 Scientific Prospectus: The South Atlantic Transect. International Ocean Discovery Program.
https://doi.org/10.14379/iodp.sp.390393.2020

図1
図 本研究航海の掘削地点 赤丸は予定掘削地点を示す。

表 本研究航海の掘削予定地点の一覧(作業予定日数は切り上げ)

サイト名 水深(m) 目標掘削深度(m) 作業予定日数
SATL-13A 3,047 215 7
SATL-25A 3,691 269 8
SATL-33B 4,193 303 9
SATL-43A 4,323 313 10
SATL-53B 4,985 345 11
SATL-54A 4,991 804 20

(航海準備状況、気象条件や調査の進捗状況等によって掘削サイトを変更する場合があります。)

*図はIODPウェブサイトより引用したものを改変

IODP JRSO・Expeditions・South Atlantic Transect
https://iodp.tamu.edu/scienceops/expeditions/south_atlantic_transect.html
https://doi.org/10.14379/iodp.sp.390393.2020
https://iodp.tamu.edu/scienceops/precruise/southatlantic/853-Full2_Coggon_FOR_WEB.pdf
https://iodp.tamu.edu/scienceops/precruise/southatlantic/853-Add_Coggon_FOR_WEB.pdf
【参考】IODP Copyright Statement
https://iodp.tamu.edu/about/copyright.html
国立研究開発法人海洋研究開発機構
(IODP及び本航海の科学計画について)
研究プラットフォーム運用開発部門 運用部 次長  斎藤 実篤
(報道担当)
海洋科学技術戦略部 報道室
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