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海底広域研究船「かいめい」による鳥島周辺海域の緊急調査航海の実施について

2023.11.08
国立研究開発法人海洋研究開発機構

国立研究開発法人海洋研究開発機構(理事長 大和裕幸、以下「JAMSTEC」)は、海底広域研究船「かいめい」を用いて、鳥島周辺海域において緊急調査航海を行いますのでお知らせいたします。

本航海では、令和5年10月2日以降、鳥島近海を震源とした地震活動が活発化したこと、通常の地震と津波の関連性では説明できない大きな津波が伊豆諸島等で発生したこと、鳥島近海で軽石の漂流が確認されたことを受けて、周辺海域で海底地形調査などの航走観測と、海底地震計(OBS)の設置を主とする観測を実施いたします。

なお、本調査航海は、「かいめい」が予定していた西之島、福徳岡ノ場、三宅島周辺を対象とする調査航海(11月10日~28日)の日程変更及び調査海域の追加を行い、実施するものです。

○「かいめい」航海日程 令和5年11月9日(木)~11月28日(火)
東京港出港・JAMSTEC横須賀本部帰港
このうち、鳥島周辺海域調査は11月10日(金)~11月12日(日)を予定
注)なお、気象条件や調査の進捗状況によって予定変更の場合があります。
○調査海域 鳥島周辺海域(図1参照)

1. 航海の概要

令和5年10月2日以降、鳥島近海(鳥島から孀婦岩の間の鳥島リフト周辺)を震源とした地震活動が活発化し、10月9日までにマグニチュードM6.0以上の地震が4回発生しました(気象庁による)。また、そのうち10月5日に発生したM6.5の地震に伴って、八丈島に0.3mの津波が到達し、10月9日には八丈島に0.6mの津波が到達しました。

今回、地震規模から予想されるよりもはるかに大きな津波が発生したことから、海底における火山活動や地すべり等による津波励起の可能性も指摘されています。こうした状況を踏まえ、JAMSTECでは鳥島〜孀婦岩周辺海域においてマルチビーム音響測深観測※1を実施し、得られた詳細な海底地形データ及び海底面からの音響反射強度のデータから、地すべり地形の痕跡などの海底地形変動の有無を確認します。さらに、詳細な震源把握のため、広帯域海底地震計(BBOBS)及び短周期海底地震計(SPOBS)※2図2)の設置を行います。加えて、周辺海域で“軽石いかだ※3” が観測された際には、当該軽石の採取を試みます。

2. 今後の予定

令和5年度内に追加調査航海を予定しており、今回設置した地震計の一部を回収するとともに、地震計の追加設置を予定しています。一連の調査航海で得られた海底地形データ及び各種海底地震計データ等を詳細に解析することで、海底地形変動の確認及び震源把握を目指します。

用語解説
※1

マルチビーム音響測深観測
3次元的に海底地形や地質構造を調べるために、 船舶などから一度に広範囲の超音波を発信し、海底で音波が跳ね返った反射音から地形を測定するという方法。扇の形で左右方向に発信した超音波を分割して受信し、交点のデータを算出し計測を行う。

※2

広帯域海底地震計(BBOBS)及び短周期海底地震計(SPOBS)
今回の調査では、比較的大型で広い周波数範囲(360秒から50Hz)の地震波が観測可能な広帯域海底地震計(BBOBS)と、小型で取り扱いが簡便であるが観測可能な周波数が主として数Hz以上の高周波に限られる短周期海底地震計(SPOBS)の2種類のOBSを使用する。

※3

軽石いかだ
海底火山などからのマグマの噴出によって生じた軽石が海面で集まり、筏のように漂流するもの。

図1

図1 調査海域

図2

広帯域海底地震計(BBOBS)

図2

短周期海底地震計(SPOBS)

図2 設置する地震計

図3

【参考】海底広域研究船「かいめい」

本研究のお問い合わせ先

国立研究開発法人海洋研究開発機構
海洋科学技術戦略部 報道室