黒潮大蛇行が7年以上も続くなど、近年、日本周辺の海は大きく変わりつつあります。海の変化が私たちの暮らしに与える影響が懸念されています。
東北大学大学院理学研究科、東北大学・海洋研究開発機構 変動海洋エコシステム高等研究所(WPI-AIMEC)兼務の杉本周作准教授は、高解像度の気候シミュレーションを行い、黒潮大蛇行が日本の夏季気候に与える影響を詳細に分析しました。その結果、黒潮が大蛇行している時期には、海から東海地方へ大量の水蒸気が供給されることにより、温室効果で夏が一層暑くなることに加え、大気が不安定になり、降水量が増加することが明らかになりました。
この成果は、近年東海地方を襲った豪雨の一因が黒潮大蛇行にあることを初めて示したものです。地球温暖化による大気中の水蒸気増加が報告される中、黒潮大蛇行が続くことで、今後も東海地方の太平洋側において豪雨災害のリスクが高まることが懸念されます。本研究は、防災・減災の取り組みに新たな知見を提供し、気象災害への対策に貢献する重要な成果です。
本研究成果は、日本海洋学会の英文国際誌Journal of Oceanographyオンライン版にて12月22日(日本時間)に早期公開されました。
東北大学とJAMSTECが共同運営する「変動海洋エコシステム高等研究所」(所長 須賀 利雄)は、海洋物理学、生態学、数理・データ科学を融合したアプローチにより、未だ謎の多い海洋生態系の環境応答・適応メカニズムの解明・予測に資する最先端の分野融合研究と国際的な高等教育を推進している。
詳細は WPI-AIMECのサイトをご覧ください。