国立研究開発法人 産業技術総合研究所 生物プロセス研究部門 微生物生態工学研究グループ、黒田恭平 主任研究員、中島芽梨 技術研修員、成廣隆 研究グループ長らと、国立研究開発法人海洋研究開発機構のMasaru K. Nobu(延優)主任研究員は、北海道大学、東北大学と共同で、メタン生成アーキアに寄生する超微小バクテリアの培養に成功し、新属新種として記載しました。
共同研究グループは、廃水処理システムの研究において中心的な役割を担う微生物(メタン生成アーキア)に寄生してその生理活性を低下させるバクテリアを、世界に先駆けて発見しており、今回その培養に成功しました。本研究は、約40億年前に進化的に分かれ、細胞膜脂質や遺伝子情報などが生物学的に大きく異なっているアーキアに寄生するバクテリアを培養した世界初の例です。「ミニシンコッカス アーカエイフィルス(Minisyncoccus archaeiphilus)」と命名したこのバクテリアは、寄生できる宿主の範囲が非常に狭く、宿主アーキア特有の部位にのみ感染することが観察されました。
さらに、「ミニシンコッカス アーカエイフィルス」が属する未知バクテリア巨大系統群である「Candidate phyla radiation(CPR)」を新門「ミニシンコッコータ(Minisyncoccota)」と命名しました。本研究において系統学的に整理し、分離株を公的菌株保存機関へ寄託することにより、CPRに関する研究が進み、これまで謎に包まれていたCPRに属するバクテリアの生理や生態学的役割の理解が進むことが期待されます。
なお、この成果の詳細は、2025年2月10日(グリニッジ標準時 )に科学雑誌「International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology」に掲載されました。
世界で初めて純粋二者培養に成功したアーキアに寄生する超微小CPRバクテリアPMX.108T株と新たな学名
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