東京理科大学、四国総合研究所、海洋研究開発機構、横浜国立大学、東京大学、九州大学、テキサス大学の共同研究チームは、火星地殻岩石に含まれる微小な磁石に注目し、磁気測定・放射光測定・熱力学計算などの最新手法を組み合わせて、微小な磁石の量や性質を詳しく調べました。
その結果、火星の地殻にはこうした微小な磁石が高濃度で存在し、効率よく磁気を記録できることが分かりました。これに基づき、約40億年前(ノアキアン期)の火星の磁場は10~20μTと推定され、地球の現在の磁場の半分程度の強さだったと考えられます。また、この磁場強度から火星内部の熱の流れも推定され、ダイナモ作用で作られる磁場の形が双極子型(棒磁石と同じ形)であったことが明らかになりました。さらに、ノアキアン期の火星はこの十分な強さの磁場によって太陽風や有害な宇宙線から大気表層が保護されていた可能性も示唆されます。
これらの成果は、火星の磁場の歴史や内部構造を理解する手がかりとなり、将来の火星探査やサンプル回収計画の科学的基盤となる重要な知見です。
本研究結果の詳細については、2025年11月25日に神戸大学で行われる「地球電磁気・地球惑星圏学会 2025年秋季年会」で発表されます。
図. 過去の火星磁場と大気の保護
詳細は 地球電磁気・地球惑星圏学会のサイトをご覧ください。