RNAはDNAを基にタンパク質を作り出す際に遺伝情報を伝える分子ですが、最初の生命ではDNAとタンパク質の両方の役割を果たし生命誕生に不可欠な分子であったと考えられています。しかし、RNAの材料分子からRNAを構築する化学反応がどこでどのように起こったのかは明らかになっていませんでした。
東北大学大学院理学研究科の平川祐太 大学院生(研究当時、現・海洋研究開発機構ポストドクトラル研究員)、米国応用分子財団のSteven A. Benner博士、東北大学大学院理学研究科の古川善博 准教授らは、RNAの構成要素であるリボースと核酸塩基をホウ酸、アミドリン酸、火山ガラスの存在下で反応させると、リボースリン酸、リボヌクレオチドを経てオリゴヌクレオチドが生成する反応が効率よく進行することを明らかにしました(図)。この結果は、RNAへの化学進化につながる一連の反応はホウ酸が豊富な蒸発環境で進行したことを示唆するもので、生命誕生に不可欠とされるRNA生成の謎を解く糸口となる可能性があります。
本成果は、2025年12月16日公開の科学誌米国アカデミー紀要に掲載されました。
図. 本研究で明らかにしたRNAを構築する化学反応経路
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