過去の津波堆積物の研究から、千島海溝南西部(北海道太平洋沖)では、約400年に一度、海溝軸まで断層破壊が及ぶ超巨大地震が発生してきた可能性が示されていました。しかし、陸域の測地観測網(GNSS)では海溝から遠すぎるため、海溝付近のプレート境界が現在どのような状態にあるのかを正確に把握することは困難でした。
東北大学災害科学国際研究所、東北大学理学研究科、北海道大学、海洋研究開発機構(JAMSTEC)の共同研究チームは、2019年から5年間にわたり、根室沖の海底3地点でGNSS測位と音響測距技術を組み合わせた海底地殻変動観測(GNSS-A観測)を実施しました。その結果、海溝付近のプレート境界が現在は強く固着している直接的な証拠を得ることに成功しました 。
仮に前回の超巨大地震(17世紀)から約400年に渡って、現在と同じ速度でひずみ蓄積していた場合、前回の地震で解放されたすべり量(約25m)とほぼ同等のすべりを起こすだけのエネルギーが既に蓄積されていることが判明しました。もし、このエネルギーが巨大地震として解放された場合、海溝近傍での大きなすべりとそれに伴って巨大な津波が励起されると考えられます。
本研究は、科学雑誌「Communications Earth & Environment」(2026年2月14日付)に掲載されました。
図. [SM1.1] 北海道沖での過去の地震活動,および現在の地表面変位速度
沖合の黒色ベクトルは、GNSS-A観測点において得られた水平変位速度およびその2σ誤差楕円を示す。陸上の黒色ベクトルは、国土地理院F5解を用いて求めた陸上のGNSS観測点における水平変位速度を表す。黄色の星は、変位速度の基準点(猿払,950101)を示す。黄色のベクトルは太平洋プレートの運動方向・速度を示す。青色の破線の長方形は、17世紀の超巨大地震の断層モデル(Ioki & Tanioka, 2016)を表す。緑色の等値線は、過去のM7–8クラスの地震におけるすべり分布を示す。実線および破線の緑色の長方形は、それぞれ1969年および1975年の千島海溝沿いの地震の大すべり域を示す。紫色および橙色の円は、それぞれ観測期間である2019年7月から2024年4月まで(Mj ≥ 4.0)および観測期間以前の1997年10月から2019年6月まで(Mj ≥ 5.0)に発生した地震の震央を示す。マゼンタの×印は微動(Nishikawa et al., 2019)の分布を示す。
詳細は 東北大学のサイトをご覧ください。