1. TOP
  2. プレスリリース
  3. 日本の天候を揺さぶる熱帯の巨大雲群 マッデン・ジュリアン振動の移動を左右する鍵を解明 数週間先の天候予測の精度向上に資する着眼点を提示

日本の天候を揺さぶる熱帯の巨大雲群
マッデン・ジュリアン振動の移動を左右する鍵を解明
数週間先の天候予測の精度向上に資する着眼点を提示

2026.02.19
国立大学法人東北大学
国立研究開発法人理化学研究所
国立大学法人東京大学
国立研究開発法人海洋研究開発機構

熱帯域には、東西数千kmにも及ぶ巨大な積乱雲群がインド洋から太平洋に移動するマッデン・ジュリアン振動(MJO)※1 という顕著な気象現象があります。MJOは世界各地に異常天候を導くテレコネクション※2 の源であり、その移動がいつどのように起きるかの解明は、熱帯気象学の最重要課題の1つでした。

東北大学大学院理学研究科の髙須賀大輔助教(研究開始当時:JAMSTEC)はJAMSTECの中野満寿男副主任研究員らとともに、全球の雲の動態を精緻に計算する気象モデル(NICAM※3)を用いて、2つのMJOを対象に計4,000個の膨大な「パラレルワールド」を生成し、外的条件が同じ中でのMJOの移動の決まり方を解明しました。冬への季節進行後の12月はMJOの移動シナリオが複数存在して予測が混沌とする一方、シナリオ選択の鍵は、MJO発生時の風の強さに端を発する熱帯−中緯度相互作用の些細な違いにあることを突き止めました。この結果とアプローチは季節予報やAI天気予報の精度向上に繋がります。

本成果は米国科学誌Science Advancesに日本時間2026年2月19日付で掲載されました。

図1

図. 12月のMJOを対象とした膨大なアンサンブル実験が明らかにした、同一の背景状態の中で生じた2つのMJOの移動シナリオのメカニズムの模式図

用語解説
※1

マッデン・ジュリアン振動(Madden–Julian Oscillation: MJO)
主に熱帯のインド洋で東西数千kmにも及ぶ巨大な積乱雲の群れが発生し、太平洋へ移動する現象として観測される。1972年にこの現象を発見したアメリカの気象学者、マッデンとジュリアンの名にちなんで名付けられた。

※2

テレコネクション
ある地域で大気循環が揺らぐことで、その地域からは遠く離れた地域でも気圧パターンが変わり、異常天候がもたらされること。例えば、MJOに伴う雲活動がインドネシアから太平洋西部に移動した際に、東北地方の日本海側や北陸地方で大雪となる傾向があることを示した研究もある。

※3

NICAM
日本で開発されてきた、地球全体で雲の生成・消滅を直接計算することで精緻なシミュレーションを実現した高解像度の全球大気モデル。従来の全球モデルは、雲を直接計算できるほど細かい解像度を持たないため、特に雲や雨が関わる気象現象の表現に対して不確実性をもたらしていた。主に水平解像度220 m から 14 kmの範囲で運用されている。Nonhydrostatic ICosahedral Atmospheric Modelの略称。

詳細は 東北大学のサイトをご覧ください。

国立研究開発法人海洋研究開発機構
海洋科学技術戦略部 報道室