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海底通信ケーブルを使ってトカラ群発地震活動の把握に成功

2026.04.17
国立研究開発法人海洋研究開発機構

1. 発表のポイント

  • トカラ列島で活発化した群発地震活動域に敷設された海底光通信ケーブルでDAS観測※1 を行った。
  • 陸上観測網での観測に比べ10倍以上の数の地震を観測。
  • 従前観測出来ていなかった、海底下の非常に浅い場所で発生していると考えられる活動の観測に成功。
用語解説
※1

DAS(Distributed Acoustic Sensing)
分布型音響センシング、光ファイバの振動を歪分布として観測できる光ファイバセンシング技術の一つ。海底光ファイバケーブルで地震・津波等の観測を行うことができる。

2. 概要

国立研究開発法人海洋研究開発機構(理事長 河村 知彦、以下「JAMSTEC」という。)地震火山研究部門の荒木 英一郎上席研究員らは、NTTアクセスサービスシステム研究所と共同で、2025年6月から群発地震活動が活発化したトカラ列島域に敷設されている海底通信光ファイバケーブルを用いてDAS(分布型音響センシング)等の光ファイバセンシング観測を2025年9月から2026年1月にかけて実施し、活発な地震活動が継続していることなどを明らかにしました。

本成果は、米国カリフォルニア州パサデナで開催される米国地震学会SSA 2026 Annual Meetingにおいて4月18日(日本時間)に発表される予定です。

また、本研究の実施にあたり、JAMSTECは科学研究費助成事業(特別研究推進費)「トカラ列島近海において継続する地震活動に関する総合調査(25K24462)」の支援を受けています。

発表情報
タイトル

Observation of Submarine Earthquake Swarm Activity in the Tokara Islands Region Using Distributed Fiber-optic Sensing on a Submarine Telecommunication Cable

著者
荒木 英一郎1、 横引 貴史1、 脇坂 佳史2、 戸毛 邦弘2、 飯田 大輔2、 森 彩花2、 高橋 央2、 鬼頭 千尋2
所属
  1. 海洋研究開発機構
  2. NTTアクセスサービスシステム研究所
図1

図1 海底通信ケーブルを用いたDAS観測に基づくトカラ列島域の地震震源分布
◯の大きさでマグニチュード、色で深さを表す。使用した海底通信ケーブルを赤線で示した。図6に示された極めて浅い活動の発生域を黄色◯にて示した。

3. 背景

トカラ列島域においては、2025年6月から群発地震活動が活発化し、7月2日にはMw5.7の地震が発生、近隣の島の住民が一定期間、島外避難をするという影響がありました。しかし、群発地震活動の震源域は海域にあり、観測網が島に限られるために、その活動の原因や推移の把握が困難であるという課題がありました。そこで、島間の通信のために敷設されている海底光ファイバケーブルに分布型光ファイバセンシングを適用することで、海底下の活動の詳細な把握を試みました。

4. 成果

悪石島―宝島間の海底通信用光ファイバケーブルにDAS等の分布型光ファイバセンシング観測装置を接続し2025年9月16日から2026年1月13日の期間、観測を実施しました。観測開始時には、おおよそ1分に1イベント程度の、非常に頻繁な地震活動が見られました(図2)。観測期間に得られたDASデータから地震の震源を決定したところ、15000個以上の地震が決定され、その多くは地殻内の浅い地震でした(図1)。観測期間中は、諏訪之瀬島・宝島近傍の活動も捉えられていますが、多くの地震が悪石島南西側で発生しており(図3)、時折活動が活発化しながら継続的に発生しています(図4)。DASで観測された地震のマグニチュードから、本観測ではマグニチュード0.25以上の地震が網羅的に観測できています(図5)。これら観測された地震のうち、島しょの観測網によって気象庁で決定された地震は434個でしたので、海底ケーブルを使ったDAS観測によって非常に感度の高い地震観測が行えたといえます。

また、観測された活動の中には、限られた地域、かつ海底下の非常に浅い場所で発生していると考えられる活動が見られました(図6, 図1黄色◯で概略位置を示します)。これらの活動は他の多数の地震活動とは異なった過程で発生している可能性があり、海底火山活動や海底下の熱水活動等との関連について今後検討することが必要と考えています。

5. 今後の展望

この観測の結果から、海底通信用光ケーブルを用いたDAS等の分布型光ファイバセンシングは、トカラ列島域をはじめとした島しょ域での海底地震・火山活動のモニタリングに非常に有効であるといえます。将来、連続的な活動モニタリングを行うことによって、島しょ域各地域の地震活動の詳細な把握ができ、地域の安全のために役立てることもできるのではないかと考えています。

図2

図2 2025/9/17 07:01-07:43(JST) 42分間のDAS観測記録 (2-10Hz バンドパスフィルター) ケーブル全区間を示す。

図3

図3 DAS観測で得られた地震活動の時系列分布(南北方向に投影)

図4

図4 DAS観測で観測された地震頻度の時間変化

図5

図5 DAS観測で観測された地震のマグニチュードと地震数の関係

図6

図6 観測中に見られた極めて浅い活動記録の例(図1 黄色◯に活動の位置を示す)

お問い合わせ先

国立研究開発法人海洋研究開発機構

(本研究について)

地震火山研究部門 荒木 英一郎(上席研究員)

(報道担当)

企画部門 事業推進部 報道室