筑波大学生命環境系 浦山俊一教授と海洋研究開発機構生命地球科学研究部門 布浦拓郎上席研究員等の研究チームは、高温の温泉環境から、自己複製する未知の環状RNA※1 を発見しました。
生物の多くはDNAを遺伝情報として持ちますが、RNAを遺伝情報として自己複製する因子も知られており、ウイルスやウイロイド(ウイルスよりも小さい感染性RNA分子)などがその例です。これらは生命の起源や進化を考える上でも重要な存在とされていますが、どのような環境にどのような種類の自己複製RNAが存在するのか、その全体像はよく分かっていませんでした。
本研究チームはこれまでに、70-80℃の高温の温泉環境から極めて新奇な直鎖型ゲノムを持つRNAウイルスを発見しています。そこで今回、同様の高温環境において、異なるタイプの自己複製RNAを探索し、温泉中の微生物群集から、環状構造を持つ新しいタイプのRNA複製体を発見しました。この環状RNAは、既知の環状RNAとは塩基配列が大きく異なる一方で、高次構造上共通した特徴を持つ新たな系統の環状RNA複製体に属することが示されました。さらに公開データベース上のRNA配列を解析したところ、環状RNA複製体の多様性が従来の想定よりも大きく広がることも明らかになりました。
本研究は、高温極限環境においても多様な自己複製RNAが存在することを示し、RNAを基盤とする複製システムの広がりや進化を理解する上で重要な手がかりとなるものです。
本研究成果は、2026年4月20日(月)にNature Communications に掲載されました。
図 本研究の概念図
研究助成
本研究は、科研費による研究プロジェクト(R25K22486、23K18146、24K02083、20K20377、JPMJFR240T)の一環として実施されました。
環状RNA
直鎖RNAの分子の端同士がつながって輪のような構造を持つRNA。端が存在しないため、端からの分解に耐性があり、既知の環状RNAレプリコンはローリングサークルと呼ばれる、直鎖RNAとは異なる複製の仕組みを持っている。
詳細は筑波大学のサイトをご覧ください。