地熱発電で用いられる蒸気タービンでは、蒸気流中の水滴が動翼に衝突し、湿り損失による発電効率の低下や翼損傷を引き起こします。しかし、タービン翼列はケーシングで覆われ、内部は高速・低圧であるため、水滴の衝突・飛散から翼面上での液体輸送、翼先端での微粒化までを観察することは困難でした。
東北大学 流体科学研究所の大島逸平助教、海洋研究開発機構 数理科学・先端技術研究開発センターの古市幹人上席研究員、富士電機株式会社の中島裕也博士、佐藤雅浩氏らの研究グループは、NEDO委託事業の一環として、タービン動翼先端の周速が最大430 m/sに達する条件で液滴挙動をハイスピードカメラにより可視化しました。その結果、実運転域を十分にカバーする1 kPaの低圧条件でも液滴の飛散が生じること、翼面に付着した液体が遠心力とコリオリ力により翼先端へ輸送されること、さらに翼先端で液糸となって微粒化することを明らかにしました。これは、従来の代表的な液滴衝突・飛散実験を大きく上回る速度域で、一連の液体挙動を捉えた成果です。
本成果は、高速回転する翼面上の液体挙動を実験と数値モデルの両面から明らかにした先駆的成果です。実運転域をカバーする高速回転・低圧条件において、地熱タービン動翼で生じる液滴衝突から液体輸送、翼先端での微粒化に至る一連の現象を捉えることに成功しました。地熱タービンの湿り損失や翼損傷の低減に向けた設計技術の高度化に貢献することが期待されます。
本研究成果は、2026年8月3日(現地時間)に流体実験専門誌「Experiments in Fluids」に掲載されました。
図1. 高速回転する地熱タービン動翼への液滴衝突・飛散の様子。浮遊する液滴が高速回転する動翼表面に衝突すると、衝突直後に薄い液膜が形成され、その縁から微小な液滴が飛散します。右側には白枠部の拡大画像を示しています。
詳細は 東北大学のサイトをご覧ください。