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コロラド高原の地下深部で「水を運ぶ鉱物」が融解 ―電子顕微鏡による解析で判明―

2026.11.04
東北大学
海洋研究開発機構
愛媛大学
バイロイト大学

東北大学、国立研究開発法人海洋研究開発機構(以下、JAMSTEC)物質地球科学研究部門 福島諒ポストドクトラル研究員、愛媛大学、バイロイト大学などによる国際共同研究チームは、米国コロラド高原のナバホ火山地域に産するエクロジャイト捕獲岩※1 を調べ、ローソン石※2 の分解に伴って岩石の一部が溶けたことを示す証拠を見いだしました(図1)。

地表で採取できる岩石の中には、地下深部で経験した圧力や温度の履歴を記録しているものがあります。ナバホ火山地域のエクロジャイト捕獲岩は、かつて北米大陸の下へ沈み込んだファラロンプレートに由来する高圧変成岩の断片で、これまでの研究では、地下深部の岩石を地表へ運んだ爆発的活動との関係が議論されてきましたが、それが何によって運ばれ、どの程度加熱されたのかは十分に分かっていませんでした。

研究チームは、通常の岩石記載や化学分析に加え、集束イオンビームで作製した極薄の試料を透過型電子顕微鏡(TEM)※3 で観察し、鉱物内部の微細な構造を調べました。様々な観察・分析の結果から、ローソン石仮像※4 の形成に、脱水融解※5、急冷、そして後の熱水による変質が関与したと解釈しました。ローソン石は結晶中に多くの水を含み、沈み込むプレートとともに地球深部へ水を運ぶ重要な鉱物です。本研究は、この鉱物が急激な加熱のもとで融解反応に関与し、メルト(岩石が溶けた液体)が生じ、その後に冷えて固まった履歴を、微小な鉱物の集合体から読み解いたものです。

用語解説
※1

エクロジャイト
主にざくろ石とオンファス輝石からなる高圧変成岩。地下深部の高い圧力のもとで形成される。

捕獲岩
周囲とは異なる岩石の断片が、マグマや噴出物などに取り込まれたもの。本研究では、地下深部の変成岩の断片を指す。

※2

ローソン石
結晶中に約11.5重量%の水を含む鉱物。沈み込み帯の低温・高圧環境で形成される。

※3

透過型電子顕微鏡(TEM)
極めて薄い試料に加速した電子を透過させて、拡大像や回折図形を観察し、微細な組織や結晶構造を調べる装置。光学顕微鏡では見えないナノスケールの特徴を解析できる。

※4

仮像
元の鉱物の外形を保ちながら、内部が別の鉱物などに置き換わったもの。元の鉱物が失われても、反応の履歴を読み取れる場合がある。

※5

脱水融解
水を含む鉱物の分解を伴ってメルトが生成する過程。本研究では、ローソン石とオンファス輝石が関与する反応として検討している。

この成果は、2026年10月29日(日本時間)に岩石学の国際学術誌「Journal of Petrology」に公開され、注目論文としてエディターズチョイス(Editor’s Choice)に選定されました。

図1

図1. コロラド高原産エクロジャイト捕獲岩から発見された、ローソン石の分解と岩石の融解を示した微細組織。TEM を使用した微小領域の観察により、ローソン石仮像(上段)およびオンファス輝石(下段)からメルトの急冷組織を発見した。

詳細は東北大学のサイトをご覧ください。

国立研究開発法人海洋研究開発機構
企画部門 事業推進部 報道室