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JAMSTECに在籍した研究者の名前が海底地形名として国際的に承認・登録

2024.10.17
海域地震火山部門 地震発生帯研究センター
冨士原 敏也

世界の海底地形名を定める国際会議において、日本提案の海底地形名10件が承認・登録されました。その中の1つ「仲海山(Naka Seamount)」は、JAMSTECに在籍した研究者である故・仲二郎氏に因んだものです。JAMSTECに在籍した役職員の名前に因んだ海底地形名は、堀田海山、小林海盆・海嶺地形区、デシャン海山、服部海山、井村海山群に次いで6例目となります(※1)。

国際水路機関(International Hydrographic Organization: IHO)とユネスコ政府間海洋学委員会(Intergovernmental Oceanographic Commission: IOC)の傘下に、世界の海底地形名の標準化をはかる海底地形名小委員会(Sub-Committee on Undersea Feature Names: SCUFN)があります。2023年からは海上保安庁の小原泰彦海洋研究室長(JAMSTEC海域地震火山部門招聘上席研究員を兼務)が議長を務めています。

2024年6月に韓国(済州島)で開催された委員会では、各国から提案された海底地形名108件が承認されました(10月4日に審議の結果公表)。日本から提案し承認されたものは10件です(※2)。

承認された日本提案の海底地形名の中の「仲海山(Naka Seamount)」は、海洋地質学者仲二郎氏(元地球内部変動研究センター上級研究員)に因んだものです。仲氏はJAMSTEC在籍中、主に有人潜水調査船「しんかい2000」を用いた海底火山調査に従事し、伊豆・小笠原弧、沖縄トラフ、ハワイ海域の海底火山の火山特性の解明に貢献しました。

「仲海山(Naka Seamount)」の詳細は次のとおりです(図1,2)。
位置:伊豆・小笠原弧、青ヶ島の南南西約120 km
規模:南北約14 km、東西約12 km
最大水深:1,802 m
最小水深:495 m
比高:1,307 m

※1

堀田海山(Hotta Seamount)は、海洋底地震学者・エンジニア堀田宏氏(元JAMSTEC理事)に因んだもの、宮城沖東方約600 kmにある(2006年登録)。小林海盆・海嶺地形区(Kobayashi Basin and Ridge Province)は、海洋底地球物理学者小林和男氏(東京大学名誉教授・元JAMSTEC研究顧問)に因んだもの、沖ノ鳥島の南方約700〜900 kmに拡がる(2013年登録)。デシャン海山(Deschamps Seamount)は、海洋地質学者Anne Deschamps(アン・デシャン)氏(フランスCNRS・Marine European University・元JAMSTECポストドクトラル研究員)に因んだもの、沖ノ鳥島の南南西約600 kmにある(2015年登録)。服部海山(Hattori Seamount)は、海洋地質学者服部陸男氏(元深海研究部特別参事)に因んだもの、南鳥島の北北西約300 kmにある(2016年登録)。井村海山群(Imura Seamounts)は、井村齊船長(元日本海洋事業・海洋調査船「なつしま」の初代船長・深海研究部嘱託)に因んだもの、南鳥島の東北東約500 kmにある(2016年登録)。

※2

海上保安庁の2024年10月9日のプレスリリース
日本提案の海底地形名が国際会議で承認

図1

図1:伊豆・小笠原弧の海底地形図、星印が仲海山、赤丸は青ヶ島の位置を示す。

図2

図2:仲海山の海底地形図(図提供:海上保安庁海洋情報部)。