知ろう!記者に発表した最新研究

2008年10月17日発表
深海には「アカチョウチンクラゲ」がいっぱい!
他の生き物の住み家にもなっている!


写真1: アカチョウチンクラゲ

深海クラゲの「アカチョウチンクラゲ」(写真1)は、今までめずらしい生き物と思われていましたが(解説1)、実は深海にはたくさんいることがわかりました。



写真2: ヨコエビがアカチョウチンクラゲにくっ付いています

また、このアカチョウチンクラゲの体にはウミグモ、ヨコエビ、クラゲの子どもなど小さな生き物がくっ付いて生きていて、アカチョウチンクラゲは他の生き物の住み家としての役わりがあることもわかりました(写真2)。


海の生き物たちは、おたがいに支えあってくらしています

写真3: 翼足類よくそくるいにくっ付いて大きくなるアカチョウチンクラゲの子ども

海に住むたくさんの生き物は、いっしょに生きたり、食べたり食べられたりとおたがいがいなければこまる関係にあります。小さな生き物がアカチョウチンクラゲにくっ付くように、アカチョウチンクラゲも子どもの時は「翼足類よくそくるい写真3)」というふわふわ泳ぐ貝に付いて成長します。もしこの翼足類が海からいなくなったら、アカチョウチンクラゲは生きていくことができません。するとアカチョウチンクラゲを住み家にしていたヨコエビなどもいなくなり、さらにはこれらを食べてきた生き物もいなくなるかもしれません。このように、1つの種の生き物がいなくなることは、他の生き物をもほろぼし、さらに他の生き物へと 影響えいきょうを広げていきます。


研究者は世界の海にもぐって、これからも研究を続けます

海の生き物たちは支えあっていますが、温暖化おんだんかや海の酸性化(解説2)によって海が変わると、影響えいきょうを受けてその関係がくずれてしまいます。あるものは増え、あるものは減るかもしれません。それによってまた他の生き物も増えたり減ったりするでしょう。どのようになるのかはまだ研究の途中とちゅうです。研究者はこれからも世界の海にもぐってこの目で確かめながら、生き物の様子や関係を明らかにしていきます。


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解説が入る

解説1:クラゲ

クラゲの体はとてももろく、あみなどで海からあげると形がくずれてしまいます。このため、深海に住むクラゲについてくわしくはわかっていませんでした。

しかし潜水せんすい船やロボットで深海を直接見ることができるようになって、深海にはたくさんのクラゲがいること、またその役わりや特ちょうなどがわかってきました。

解説2:海の酸性化

海は弱いアルカリ性ですが、これが酸性に近づくことを海の酸性化といいます。その原因は人間が生活の中で出す二酸化炭素です。二酸化炭素が海水にとけこむとアルカリ性が弱まり、酸性に近づくのです。

海は工場や自動車から出た二酸化炭素をたくさん吸収してくれますが、海に吸収される二酸化炭素の量が増えると海の酸性化がどんどん進んでしまいます。海の酸性化が進むとサンゴの骨格こっかくや貝のカラがとけやすくなり、海の生き物への影響が心配されます。