知ろう!記者に発表した最新研究

2009年6月4日発表
地球シミュレータは、ものすっごく速く計算できる!


写真1:地球シミュレータ

たくさんのすぐれた研究に役立てられている地球シミュレータ。その性能を測るリンパックという計算を行った結果、1秒間になんと122兆4千億回もの計算ができるおどろきの速さを達成しました(写真1)。この速さは世界のスーパーコンピュータランキング(2008年11月)にあてはめると、なんと世界では16位、日本では1位です!


地球シミュレータってなに? 160台のコンピュータをつないだスーパーコンピュータで、計算によって地球のなぞを解き明かします

今回の地球シミュレータは今年(2009年)3月から横浜研究所で動き始めた新しいスーパーコンピュータで、160台のコンピュータからできています。

地球シミュレータは計算によってコンピュータの中で「地球」を作りだし、将来の気候、空気や海の流れ、地震じしんの伝わり方などを予測します。自然現象だけではなく、自動車のぶつかった時のこわれ方や新幹線の大きな音をどうしたら減らせるのかなども計算できます。

どうして地球シミュレータが必要なの? むずかしい計算を速く計算できるからです

自然現象はたくさんのことがむずかしくからみ合って発生するので、色々な計算が必要です。地球シミュレータはそれらの計算をとても速く行い、実際に起きてみないと分からないなぞを解き明かせるのです。

これからはどうするの? 研究を続けます

このすばらしい地球シミュレータを活かして、温暖化の対策たいさくはどうするべきなのか、また地震の被害ひがいを少なくするにはどうしたらよいのかなどを明らかにしていきます。

まめ知識【地球シミュレータを守る建物のひみつ】

図:地球シミュレータの建物
広さ:たて65メートル横50メートル。テニスコート4面分くらい。


写真2:免震ゴム

(1)免震めんしん:建物の下には「免震ゴム」が置かれ、地震が起きても建物の中はあまりゆれないしくみになっています。(写真2



写真3:避雷塔

(2)避雷塔ひらいとう:建物は8本の避雷塔でかこまれ、カミナリが直接地球シミュレータに落ちないしくみになっています。(写真3



(3)照明:マシンルームには、「光るもと(光源こうげんのライト)」と「光るところ」が別のへやにある変わった照明が使われています。実は光るもとから出た光は、別のへやからマシンルームに運ばれてから、特別な照明チューブ(写真5)の中で光ってマシンルームを照らすのです。(写真4

光るもとが別のへやにあるので、地球シミュレータは照明からの熱・紫外線しがいせん電磁波でんじは影響えいきょうを受けずに計算できます。また、マシンルームに入らなくても照明のこうかんや修理ができて便利です。


写真4:マシンルーム天井にはりめぐらされた照明チューブ


写真5:照明チューブ 拡大かくだい


(4)空調機:1階には大きな空調機があり、冷たい風をマシンルームに送りこんで地球シミュレータの熱を冷まします。この風の量は、なんと東京ドームの天井エアドームをふくらませる風の量以上です。(写真6


写真6:空調機の四角い面から、いきおいよく冷たい風が出ます。

地球シミュレータもすごいけど、それを守る建物にも工夫がいっぱいあるのです!

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