プログラム・講演要旨

13:00-13:05 開会挨拶
小平 秀一
海域地震火山部門
部門長
13:05-13:35 トルコ・マルマラ海域における地震観測
山本 揚二朗
地震津波予測研究開発センター
地震津波モニタリング研究グループ
副主任研究員

トルコは、日本と同様に、世界有数の地震頻発国です。長大な北アナトリア断層に沿って、これまで大地震が繰り返し発生しています。そして現在、イスタンブールに隣接するマルマラ海域は地震空白域となっており、地震や津波のリスクが高いと考えられています。JAMSTECは、地震発生時のリスク評価の高精度化に貢献するために、トルコの研究機関と協力し、マルマラ海域において地震観測を実施し、断層モデルの構築を進めています。本講演では、これまでの取り組みや、今後の展望についてご紹介します。

13:35-14:05 オントンジャワ海台 ―その形成と地球ダイナミクスへの影響―
大林 政行
火山・地球内部研究センター
地球物理観測研究グループ
主任研究員

オントンジャワ海台(OJP)はソロモン諸島北側にある地球最大の海台です。この海台は約1億2000万年前、南太平洋での激しい火山活動によってできたと考えられています。OJPを詳しく調べるために2014年末から2017年始めにかけ、OJP直上およびその周辺海域での地震観測を世界で初めて実施しました。明らかになった地震波速度構造から、OJP下のプレートは周囲に比べて厚く、OJP形成は太平洋にあるマントルの大規模な上昇流が原因であると分かりました。その後太平洋プレートの運動に伴い西へ移動しますが、講演ではその間にOJPが地球のダイナミクスに与えた影響について明らかになった結果と共に紹介します。

14:05-14:15 休憩
14:15-14:45 トンガ噴火によって発生した海面変動はなぜ遅れて到達したのか?
利根川 貴志
地震発生帯研究センター
プレート活動研究グループ
主任研究員

2022年1月15日にトンガ共和国のフンガ・トンガ ー フンガ・ハアパイで大規模な海底火山噴火が発生しました。この噴火によって発生した気圧変動は世界中で観測され、また、その気圧変動によって引き起こされた海面変動(気象津波)も太平洋の沿岸域で観測されました。この気象津波は気圧変動と一緒に進むのですが、実際に日本の沿岸部の観測データを見ると、気象津波は気圧変動よりも30分程度遅く到達していました。講演では、なぜ気象津波が遅れたのかについてご説明いたします。

14:45-15:15 歴史巨大地震を知りたい ー超深海「日本海溝」海底堆積物から探る過去の地震履歴ー
Kan-Hsi Hsiung
地震発生帯研究センター
海底地質・地球物理研究グループ
副主任研究員

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震は、甚大な被害をもたらしました。このような巨大地震がどのような頻度・規模で起こりうるのかなど、過去に起きた地震の記録を詳細に調べることが重要です。2021年4–6月に、欧州海洋研究掘削コンソーシアム(ECORD)との共同で、国際深海科学掘削計画(IODP)第386次研究航海「日本海溝地震履歴研究」が実施されました。日本海溝の15地点から総延長830mにも上る海洋コア(海底堆積物)試料が採取され、2021年2–3月には、これらのコアの半裁・記載・各種解析が実施されました。2022年11月には、更なる詳細研究をするための「サンプリングパーティー」の実施が予定されています。

15:15-15:25 質疑応答
15:25-15:30 閉会挨拶
小平 秀一
海域地震火山部門
部門長
進行:山口 珠美
箱根ジオミュージアム 学芸員