プログラム・講演要旨

13:00-13:05 開会挨拶
小野 重明
海域地震火山部門
部門長
13:05-13:35 南海トラフの海底下500mから探る「ゆっくりすべり」研究の最前線
町田 祐弥
地震津波予測研究開発センター
副主任研究員

南海トラフ地震発生帯の熊野灘沖合で「ゆっくりすべり」が繰り返し発生していることが近年わかってきました。「ゆっくりすべり」とは地震波を出さないくらいゆっくりと断層が動くことでひずみエネルギーを解消する現象です。しかし「ゆっくりすべり」を捉えることは難しく、南海トラフ広域での実態を把握できていません。JAMSTECでは「ゆっくりすべり」をより広い範囲で捉えること、巨大地震との関連を明らかにすることを目的とし、2023年11月に地球深部探査船「ちきゅう」により紀伊水道沖の海底下500mに新観測システムを設置しました。本講演では、JAMSTECが実施する「ゆっくりすべり」研究の最前線を紹介します。

13:35-14:05 海の向こうの地震発生帯 -北米カスカディアでの国際共同観測-
尾鼻 浩一郎
地震発生帯研究センター
上席研究員

日本周辺の日本海溝や南海トラフでは、海洋プレートの沈み込みに伴って巨大地震が繰り返し発生しています。このような地震発生帯と呼ばれる場所は、日本に限ったものではありません。太平洋の向こう側、北アメリカ大陸太平洋岸のカスカディア地域では、約300年前にマグニチュード9の巨大地震が発生し、日本にも津波が押し寄せたことが知られています。ドイツとカナダの調査船で実施した、カスカディア地震発生帯での国際共同観測について紹介します。

14:05-14:15 休憩
14:15-14:45 火を噴く島 -アイスランドのマグマはどこから?-
羽生 毅
火山・地球内部研究センター
主任研究員

ここ数年大規模な噴火を繰り返しているアイスランド。どうしてそんなに大量のマグマが噴出するのでしょうか? 日本も火山大国ですが、大西洋の中央に位置する火山島では、日本の火山とはまったく異なるメカニズムでマグマが生み出されています。マグマの源は厚さ2900kmのマントルの底から?! 火山学的にも地球の進化を考える上でも注目されているアイスランドのマグマについて考えます。

14:45-15:15 世界の海底火山と軽石噴火の調査
Iona McIntosh
火山・地球内部研究センター
研究員

日本には多くの海底火山があり、水中で爆発的な噴火を起こしたり、それにより軽石が大量に浮遊したりすることもあります。しかし、これらの火山のほとんどは、直接噴火が観測されたことがなく、海面下に隠れています。 どの海底火山が若く、活発なのか、どうやって知ることができるでしょうか? 静かで穏やかな海底噴火もあれば、空中まで噴き上げる危険な海底噴火もあるのはなぜでしょうか?  日本や世界の海底火山を例に、研究者が海底火山から採取してきた貴重なサンプルを使って、過去の噴火の種類や噴火年代を調べるためのさまざまな方法を紹介します。

15:15-15:25 質疑応答
15:25-15:30 閉会挨拶
小野 重明
海域地震火山部門
部門長
進行:山口 珠美
おさんぽ星 代表
サイエンスコミュニケーター