サンゴなどの同位体分析を学ぶ―コアスクールの濃密な3日間
同位体分析の基礎からクリーンルーム実験までを一気に体験。緊張と発見の初日。
同位体分析ってなに?
掘削コア試料にはサンゴや有孔虫などの殻(おもに炭酸カルシウムでできている)が含まれていることがある。殻はいろいろな元素を含んでいるが、同じ元素にも重さが違うもの(同位体)がある。それらの比率(同位体比)を測ると、殻ができた時の海水の温度や塩分、酸性度、さらには年代などがわかるのだ。
「コア同位体分析コース」では、サンゴなどの殻の同位体比を測ることで、何千年、何万年、何百万年も前の地球環境やその変動を研究するための基礎的な手法を学ぶ。少人数での2泊3日の実習プログラムだ。高知コア研究所創立の2005年度から始まり、これまでに17回の開催実績を誇る。過去の受講者からは、7名の学会賞受賞者など多くの若手研究者・技術者が巣立っている。
対象は、全国の大学院生や学部生、若手研究員など。酸素・炭素同位体と、ストロンチウム同位体の2つのコースがある。今回はストロンチウム同位体コースの3日間を迫った。
1日目:開校式と講義
午前9時。緊張の面持ちでコアセンターにやってきた受講者たち。開校式でお互いの自己紹介をしたら、すぐに講義が始まる。講義内容は、同位体比を測るための質量分析計のしくみから、データの取り扱い方、試料の処理法、同位体比の特徴や測定法、地球科学での応用例など盛りだくさん。
よく聞いておかないと実習で何をやっているのか分からなくなるので、受講者はみな真剣。テキストには、スクールが終わった後でも見返して役立てられるようにたくさんの情報が詰め込まれている。
午後:クリーンルームで実験開始
昼食を終えたら、いよいよ実験開始。オーバーオールの実験着に身を包み、クリーンルームでの作業を初体験。今回分析するのは、ごくごく小量の有孔虫とサンゴの殻。取り扱うストロンチウムが微量なので、ほこりなど、周りからの汚染を防ぐためにクリーンルームでの作業が必要なのだ。実験中に汚染を起こさないためのルールもしっかり学ぶ。
ストロンチウム同位体比を測るためには、殻からストロンチウムだけを取り出さないといけない。それにはイオン交換法という手法を使う。イオン交換を担う樹脂の体積は、わずか0.2ミリリットル!酸で溶かした殻の溶液を、マイクロピペットを使って慎重にイオン交換カラムに通してゆく。とても細かい作業で、思わず手が震える。だが講師がすぐそばでしっかりとサポートしてくれるので安心だ。
緊張の数時間が過ぎて、午後6時頃にはストロンチウムの分離・回収作業を全員が完了。忙しかった1日目はこれで終了。疲れたな。今晩は高知の美味しいものが食べられるかな。