JAMSTEC

日本パラオ親善
ヨットレースにおける
多様なセクターとの
協働による
海洋プラスチック調査の実施第2弾

海洋プラスチック汚染は地球規模の環境問題であり、生態系や人類の健康への影響や社会/経済的インパクトが懸念されています。昨今、多くの国が産学官民をあげての対策を取りつつあり、先のG20大阪サミットにおいても、2050年までに海洋への新たなプラスチック流出ゼロを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が表明されました。

プラスチックごみは広大な海洋に拡散し、その集積する過程は不明な点が多く、特にマイクロプラスチックに関するデータは不足しています。海洋プラスチック汚染の迅速な解決のために、専門の研究機関による調査に加え、競技ヨットやプレジャーボート、フェリーなどの民間船による市民参加型の調査が注目を集めています。当機構としても、様々なセクターとの協働を進め、2019-2020年に開催された「日本 – パラオ親善ヨットレース」において、海洋プラスチック汚染に関わる科学的調査を実施しました。

この度、2024年3月に再び開催される「日本-パラオ親善ヨットレース」、および新たに開催される「パラオー沖縄ヨットレース」において、再び調査に協力いたします。

日本 – パラオ親善ヨットレース
2024

針路、南へ──
日本とパラオ、2つの国を繋ぐ国際外洋ヨットレースが誕生しました。
日本とは縁の深いパラオ共和国が独立25周年を迎えた2019年の年末。
横浜をスタートした艇団は、年をまたいで走り続け、全艇無事パラオに到着。
記念すべき第1回大会は無事終了しました。

針路、パラオへ ──再び
第1回大会から3年。日本 – パラオ親善ヨットレースが再び開催されます。
横浜から1,726海里、南洋の楽園パラオ共和国を目指し長い旅路の始まりです。

そして沖縄へ
次に目指すは、パラオ共和国と有効関係にある沖縄県。
南洋の楽園から日本の南国へ、パラオ – 沖縄ヨットレースが初開催。
旅は続きます。

イベントページはこちら

ヨットレース2024
公式掲示板はこちら

ABOUT

ヨットレースに参加する競技艇および伴走船(帆船「みらいへ」)に新たに開発したマイクロプラスチック採取装置を持ち込み、レース中に海表面からマイクロプラスチックを採取します。また「みらいへ」ではプランクトンネットによるプラスチック採取も実施します。レース終了後は、表彰式などで調査結果を速報で紹介する予定です。この活動は、海洋プラスチック汚染問題に高い関心を抱く多様なセクター間での協働のもとで実施します。

マイクロプラスチック採集方法

×
横浜からパラオのルート

2019-2020年と同様の場所で最終を予定
(詳細は以下表を参照)。

図の番号 緯度 (N) 経度 (E)
1 35°10' 139°32'
2 35°10' 139°30.5'
3 29°59' 140°32'
4 27°20' 139°20'
5 25°29' 138°43'
6 22°51' 137°35'
7 21°22' 135°37'
8 20°27' 136°2'
9 18°32' 135°28'
10 16°6' 135°33'
11 13°56' 135°8'
12 10°29' 134°46'
13 8°31' 134°15'
14 7°48' 134°24'
×
パラオから沖縄のルート

5か所目は沖縄入港前、できるだけ陸地に近い場所での採集は最優先で実施

図の番号 緯度 (N) 経度 (E)
1 10°00' 134°00'
2 15°00' 132°00'
3 20°00' 130°00'
4 25°00' 128°00'
5 沖縄本島周辺、
できるだけ広い地域に広い場所

「みらいへ」による曳網採集

曳航方法

船速約2ノットで30分間、ネット開口部の上半分程度が
空中に出るように調整しながら曳網します

サンプル処理とデータ記録

コッドエンドにたまったサンプルを、真水で洗浄しながら100μmのフルイで捕集、真水での洗浄を経てガラス容器にいれる。ガラス容器は遮光ビニール袋に入れ、冷蔵庫で保管。

ヨット用マイクロプラスチックサンプラーによる採集

曳航方法

船速約2ノットで60分間曳航、可能な限りネット開口部の上半分程度が空中に出るように調整しながら曳網

サンプル処理とデータ記録

メッシュ筒を取り外しフタをする。メッシュ筒をそのまま遮光ビニール袋に入れ、冷蔵庫で保管。メッシュ筒は採集場所ごとに新しいものを装着する。

ヨット用マイクロプラスチックサンプラーによる採集

曳航方法
  • 船速はできるだけ6ノット以下で約20分間曳航する。破損しそうと判断した場合は、より短い時間でもよい
  • 可能な限りサンプラー開口部の上半分程度が空中に出るように調整しながら曳網
サンプル処理とデータ記録

メッシュ筒を取り外しフタをする。メッシュ筒をそのまま遮光ビニール袋に入れ、冷蔵庫で保管。メッシュ筒は採集場所ごとに新しいものを装着する。