掘削航海中の時間はとても貴重である。航海の間にできる限り多くのコアを採取し、研究成果につなげたいというのが研究者の願いだ。それを受けてツールプッシャーは、思わぬ事故や機材の不具合でタイムロスすることのないよう、細心の注意を払っている。「ちょっとした不注意や馴れが事故につながりやすい。毎日、注意喚起することが大切です」と川崎さん。
ツールプッシャーが気を配るのは、トラブルの芽を早めに摘むことだ。特に取り替えのきかない制御装置については、不具合が起きる前に先回りして手を打つ「プリベンティブ・メンテナンス」という方法をとっている。このような不断の取り組みが掘削航海には欠かせない。「『ちきゅう』で、世界有数の機械を使って仕事をしていることを誇りに思うし、気持ちもいいです。タイムロスすることなく仕事が進んでいけば、これほどやりがいのあることはないですね」と川崎さん。
研究のための掘削には新たなチャレンジを強いられる局面も多く、想定外の事態もつきものだ。そのために準備に準備を重ね、いざというときの代替案を考えておく。ツールプッシャーの誇りをかけたその積み重ねが、「ちきゅう」の掘削航海を支えている。
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