地球発見 まだまだ知らない「ちきゅう」がある。

CDEX

地球内部にある「宇宙」をめざし、私たちは掘り進んでいく

 私は、講演などで「ちきゅう」の研究を紹介するとき、必ず2枚のスライドを使います。1枚は小惑星探査機「はやぶさ」の写真です。「はやぶさ」は宇宙を64億kmも旅して、小惑星イトカワの表面の物質を持ち帰りました。そのサンプルとは、今から46億年前に地球が誕生したときに生まれた、かんらん岩なのです。
つまり、それと同じように地球や宇宙の成り立ちを物語るかんらん岩が私たちの足元の大深部に存在するのです。私は、マントルは地球内部に存在する宇宙だと思っています。マントル調査は、宇宙探査と同じように科学的に非常に大きな意義があります。ですから、私はもう1枚のスライドでは、宇宙空間に浮かぶ「ちきゅう」のイラストを紹介しているのです。
 「ちきゅう」は海底下の地層を深部へと掘削します。それはある意味、現在から過去に向けて掘っていくことです。けれども、私は同時に未来を掘っているのだと考えています。2015年には「ちきゅう」も完成10周年を迎え、これからさらに真価を発揮していくことになるでしょう。私たちは「ちきゅう」とともに、地球の未来を予測し、未来の社会を築き上げていくことに貢献していきたいと強く願っています。