地球発見 まだまだ知らない「ちきゅう」がある。

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Graphic Guide:マントルからのコア採取をめざして改良中 コアリングシステム

掘削深度が増すほど、高圧により、岩石はより硬く高温となる。
そのような状況下でも、より多く、より速く、質の高いコアを採取すべく、たゆみない技術開発が行われている。
(2011年2月 掲載)

 現在のコアリングシステムは、大きく2 タイプある。一つは、主に比較的浅くやわらかい堆積層に用いられる「水圧式ピストンコアシステム」で、ピストン作用を使ってコアバーレルを地面に突きさし、コアを採取する方式だ。もう一つは、主に硬い地盤に用いられる、「ロータリー式コアバーレル」で、コアバーレルを回転させてコアを削り出す。コアバーレルの先端には岩石を削る「コアビット」が装着されており、削り出されたコアは、ワイヤーを使ってコアが入っている内側の筒だけを回収することができるため、地層が変化するところでも連続的にかつ安定的にコアを採取できる。これを「ワイヤーラインコアリングシステム」と呼ぶ。

地球深部探査センター技術開発室 眞本悠一技術主任
日本地層評価シンポジウムの第15回最優秀論文賞を受賞

 このように掘削にはさまざまな技術が使われているが、それでも常に、質の高いきれいなコアを採取できるわけではない。コアに傷がついたり、コアリングツールからの泥水によって砂礫層の砂が流されて残ったのは砂利だけということもある。そこで地球深部探査センターでは、コアビットの改良を行った。まずコアがブレードに当たって傷がつくことのないよう、ブレードの数を減らした。またコアの洗い流し防止のために先端を尖らせ、コア側に泥水が当たらず、同時にコアのつまりも防ぐようにした。改良したコアビットを使用したところ、ブレードへのコアの引っかかりや泥水による洗い流しの問題が解消され、砂岩や泥岩でも良好な状態のコアが取れるようになった。それを論文にした地球深部探査センター技術開発室・眞本悠一技術主任は、日本地層評価シンポジウムの第15回最優秀論文賞を受賞している。