地球発見 まだまだ知らない「ちきゅう」がある。

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「ちきゅう」の最大の目的は、マントルに到達してコアを採取することだが、温度250℃、圧力1000 気圧以上にもなるため、現状の技術では困難である。また、マントルは非常に硬く掘削に時間がかかると予想されるため、掘削スピードも同時に上げていかなければならない。高温のコアを熱いまま、できるだけ状態を変えずに採取することも、大きな課題の一つだ。
 そこで現在、「大深度コアビット」「タービン駆動コアリングシステム」「コア採取同時計測検層ツール」という技術開発が進められている。
 大深度用コアビットは、コアビット成形の際にダイヤモンドの粒を均等にボディに混ぜ込んである。掘削の際にブレードに装着したダイヤモンドは磨耗し取れてしまうが、このビットは磨耗してもまた新しいダイヤモンドが表面に現れるため、耐久性が高い。
 タービン駆動コアリングシステムは、泥水でタービンを回してコアを削り出す。タービンユニットの中を泥水が流れると動翼が最大1 分間に8000 回転し、それを減速機で回転動力(トルク)に転換。さらにその下にはピストンを設け、インナーチューブの先にある小さなコアビットを回転させつつ押し出していく。外側の筒には現在と同じく、トップドライブによる回転をかけ、コアを採取したあとを掘り進む仕組みだ。
 より深く掘り進めば進むほど、コアを採取した位置の確認が難しくなる。そこでコア採取同時計測検層ツールによって掘削している傾斜と方位を計測し、無線で船上に送る仕組みを開発中だ。現在は古地磁気からの推測しかない採取時のコア自体の方向も、正確に計測できるようになる。さらに穴の中のコアビットの加重や回転数、温度や圧力も計測。コアが採取できない際にも、地層の電気抵抗や密度、ガンマ線量を計測することができるシステムも、5 年以内をめどに開発中である。

海洋底掘削の基礎と応用

『海洋底掘削の基礎と応用』が住田正一海事技術奨励賞を受賞
海洋研究開発機構(JAMSTEC)地球深部探査センターの研究者ほか、JAMSTEC 職員5 名が執筆に協力し、海洋底の掘削技術について網羅した本、『海洋底掘削の基礎と応用』(成山堂書店)が、2010 年度「住田正一海事技術奨励賞」を受賞しました。

コアリングシステム詳細

コアリングシステム