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29 Oct. 2011: Mirai
10月29日(土)
「今、この瞬間のデータを」
「みらい」はスリランカのEEZ(排他的経済水域)を抜け、観測可能な公海へと進んだ。すかさず起動したドップラーレーダーが捉えたのは、数百kmの観測範囲一杯に広がる雨雲の群れ。
この近くには、プロジェクトCINDYの仲間である米国船 Roger Revelle(ロジャー・レビル)がいる。いや、つい先程まで、いた。しかし、コロンボで人員交替や補給を行った「みらい」と同じく、彼らにも寄港は必要だ。そして、その彼らがこの海域を出発したのは昨日。今、ひょっとしたらMJOを捉えているのかもしれないこの瞬間に、この海域にいるのは我々だけ。
レーダーで捉えた雨雲の広がる空に、3時間毎にラジオゾンデを放ち続ける。「みらい」観測は初めてという乗船者も、アテンド付きですぐに実観測に従事。しかし、厚い雨雲の中付着する氷や雪が重しとなり、バルーンが上空まで上がらない。なんてことだ、今、この瞬間のデータを取得できるのは、我々のこの観測だけなのに!
止むを得ず選択したのは、残数が少ないが、より浮力を稼げるバルーンをここで使うこと。無事に雨雲を突破したゾンデは、上空までの完璧なデータを届けてくれた。
定点観測開始まで、あと2日。
「みらい」は本来の担当海域へと向かう。
(写真) 左上から時計回りに; ・観測開始直後の空、・本日レーダーで捉えられた半径300kmの雨雲の分布、・雨雲に向けたラジオゾンデ放球、・初乗船者による初回のゾンデ作業担当シーン(熟練者のアテンドつき)