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海と地球を学んじゃうコラム

動くプレートと、
失われた7つ目の大陸「ジーランディア」

スプラトゥーン2は1万2000年後の世界だっていうけれど、現在とずいぶんようすが違っているな。一方で、長い地球の歴史をさかのぼってみると、世界地図すら違っていたんだって。今回は、地球内部の活動と大陸移動を学んじゃおう!(スプラトゥーン2の世界の世界地図、見てみたいな…)

今回は、地球の表面に目を向けてみましょう。仮に、地球の表面から海水をすべて取り去ってしまったとしましょう。すると、海底のでこぼこが見えてきます。海底地形です。よく見てみると、広い海底の中央部に山脈やしわのような線があったり、陸地の近くの海底に谷があったりすることに気づくでしょう。

海底地形。海底の、東西方向に伸びる線はプレートが横ずれをしている境界。南北方向に伸びる山脈は、プレートが作り出されている場所。日本列島の東側に見える深い谷は、プレートが沈み込んでいる場所。


ハワイが日本に近づいているのはプレートテクトニクスのせい

地球の表面は、ちょうどジグソーパズルのように何枚もの「プレート」という岩盤に覆われており、海底の山脈や谷はその境目にあたります。これらプレートはゆっくりとそれぞれに動いていることが分かっており、このことを「プレートテクトニクス」と呼びます。「それぞれに動いている」とは、別のプレートの下に沈み込んだり、プレート同士がすれ違ったり、地球内部から新たに作り出されているということです。

例えば、ハワイ諸島は1年に8センチメートルのスピードで日本に近づいています。これは、太平洋の大部分をおおう太平洋プレートがベルトコンベアに似た動きをしているからです。太平洋プレートは、南北アメリカ大陸の西側にある海底山脈で作り出され、西に向かって移動し、やがて日本列島の東側にある海底の谷、「日本海溝(にほんかいこう)」に沈み込んでいるのです。

くっついたり離れたりする大陸

世界地図


このプレートテクトニクスは、世界地図もダイナミックに変えてきました。
世界地図を見てみましょう。例えばアフリカ大陸の西岸の出っぱりと、北アメリカ・南アメリカ大陸の東岸のくぼみの形がパズルのようにはまりそうに見えませんか。1912年、ドイツの気象学者アルフレッド・ウェゲナーはこのことに気づき、「大陸移動説」を唱えました。最初は受け入れられなかった大陸移動説ですが、その後に研究が進むと、どうやら本当らしいことがわかってきました。
現在では、大陸はくっついたり分裂したりを繰り返してきたと考えられています。約6億年前には「ゴンドワナ」という巨大な大陸が北半球から南極にかけて広がっており、それが一度分裂し再び集合して、約3億年前にたったひとつの大陸である「パンゲア」ができたようです。そして約2億年前にパンゲアは再び分裂を初め、現在の形になったというのです。


約2億年前から現在までの大陸移動。パンゲアが分裂して現在の大陸の形となったと考えられている。


大陸が分裂したところには海が作られ、衝突したところには山脈が作られました。4500万年前、三角形のインド亜大陸がユーラシア大陸に衝突し、大陸の境界が押されてシワのように盛り上がって作られたのがヒマラヤ山脈です。
今も大陸は移動し続けています。最新の研究では、地球深くにある「マントル」のゆっくりとした動きが、大陸移動のカギをにぎることがわかってきました。数億年先の未来には、大陸はまた違った形で違った場所にあるはずです。

失われた7つ目の大陸「ジーランディア」

現在、世界の大陸はユーラシア大陸、アフリカ大陸、北アメリカ大陸、南アメリカ大陸、オーストラリア大陸、南極大陸の6つである、と学校で習ったと思います。しかし最近になって、7つ目の大陸「ジーランディア」が存在するのではないかと研究されています。その場所は、オーストラリアの東からニュージーランドを含む海域、つまりジーランディアは海に沈んだ、「失われた大陸」かもしれないのです。


7つ目の大陸「ジーランディア」がオーストラリアの東の海底に存在するという。


ジーランディアはなぜ水没してしまったのでしょうか。ゴンドワナ大陸が分裂する時に、まるで熱々のピザのチーズのように大陸が引き伸ばされ、薄くなって海に沈んでしまったと考えられていますが、まだ分かっていないことが多くあります。そこでジーランディアをJAMSTECの地球深部調査船「ちきゅう」で掘削し、調査しようというプロジェクトが準備されています。このプロジェクトによって、大陸分裂がどのように起き、ジーランディアがどのように沈んでいったのか、謎の大陸の正体が明らかになると期待されています。

文 田端萌子&JAMSTEC
(2018年5月16日掲載)

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