国立研究開発法人海洋研究開発機構 東日本海洋生態系変動解析プロジェクトチーム 東北マリンサイエンス拠点形成事業 ‐海洋生態系調査研究‐

研究内容

海底地形を作成して、いまの海底の様子が見えるようにします。

皆さんが初めての場所に出かけるときに地図が必要なように、海の生物や環境について調べるのにも精密な海底の地図が必要です。三陸の沿岸域について十分な海底地形データがなく、しかも地震によって地形が変わってしまったところもあります。私たちはさまざまな機器を使って、三陸沖の地震後の詳細な海底地形図を作っています。

瓦礫の分布や分解される様子を調べ、
瓦礫が生態系や漁業に与える影響を明らかにします。

生物や瓦礫の分布や量を調査

津波によって陸上にあったさまざまなものが海へと運ばれ、その一部はいまだ海底に沈んでいます。それらの瓦礫は海の生態系、そして漁業に大きな影響を与えているに違いありません。私たちは、どのような瓦礫がどこにどのくらい分布しているのかを調べ、その情報を上手に利用して漁業の復興につなげたいと考えています。

海面から海底まで海洋環境を長期間観測し、
地震・津波の影響と回復過程を明らかにします。

ランダー

地震・津波によって沿岸域から土砂が流入したり、海底斜面が崩壊したり、海底の堆積物が巻き上げられたりした結果、海洋環境は大きく変動しました。私たちは、地震・津波が海洋環境にどのような影響を与え、どのように回復していくのかを明らかにしようとしています。

そのためには、海の表面から、海の中、海底のすぐ上、そして海底堆積物まで、海を丸ごと、そして物理・化学・生物環境を総合的に、しかも継続的に調べる必要があります。

このようにして得られたデータはすぐ漁業者に直接役立つことはないかもしれません。しかし、将来の漁業のやり方を議論するとき、海洋環境の基礎データは不可欠です。私たちの調査研究が漁業復興につながり、漁業者の皆さんに喜んでもらえる。こんなうれしいことはありません。

搭載したカメラで撮影されたキチジ

生物に含まれる化学物質を測り、海の安全を明らかにします。

津波によって、さまざまなものが陸から海に運ばれてしまいました。そのなかには、有害物質であるPCB(ポリ塩化ビフェニル)を含むものもあります。私たちは、海に暮らす生物や海底堆積物に含まれるPCBを計測して、海の安全を明らかにしようとしています。

また、PCB濃度の測定と同時に、栄養段階も調べています。栄養段階の高い生物は、生態系の全体を俯瞰するのに役に立ちます。つまり、栄養段階の高い生物ほど寿命が長い傾向にあり、食物連鎖を通して海の汚染状況を知るよいモニターになります。そのため、PCB濃度とともに栄養段階を調べることは、とても重要です。

PCB濃度について、堆積物、生物ともに、現在は全て基準値以下ですが、今後も定期的に観測を続け、監視していきます。

生物は化学物質を蓄積しているのかを調査

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