北極

ポッチャマと一緒に「北極」を冒険しよう!

ポッチャマが北極にやってきたよ。

寒いところが得意なポッチャマはとっても元気。
北極ってどんなイメージかな。

氷がたくさん、オーロラがきれい、
とっても寒い…。

え、実は氷がとけている…!?

JAMSTECは北極の環境を調査しているんだって。
一緒に教えてもらおう!

  • 北極ってどんなところ?
  • どうやって北極海を調べるの?
  • 北極の最新の研究は?

深海ってどんなところ?

北緯(ほくい)66度よりも北の地域のことを
北極圏(ほっきょくけん)とよびます。
凍る(こおる)海、夜空のオーロラ、太陽が沈まない白夜(びゃくや)・・・
普段は見られない現象がたくさん起こっているよ。
まずは冒険に向かう前に、
北極のことを知りましょう!

  • 大陸に
    囲まれた海

    北極圏(ほっきょくけん)の中央には、北アメリカ大陸とユーラシア大陸に囲まれた北極海があります。この海は太平洋や大西洋とつながっています。

    アメリカのアラスカ州にある北極圏の入口だよ!北極域のもっと細かい地図が見たい人はこちらをクリック

  • 冬は1日中暗く、
    夏は1日中明るい

    北極の冬は太陽が一日中出ません。これを極夜(きょくや)と呼びます。逆に夏は太陽がずっと沈まない白夜(びゃくや)という現象が見られます。
    日照時間の季節変化がとても大きいエリアです。

    北極圏(アラスカ州)の極夜(きょくや)に出現したオーロラ。
    オーロラは夏にも発生するけれど、白夜で見ることができないよ。

  • 冬はとても寒く、
    夏は暑い

    とっても寒い冬には、海上の気温はマイナス40℃まで下がります。陸上ではマイナス80℃まで下がることもあるので、まつ毛も一瞬で凍っちゃうんですよ!
    逆に夏の陸上の気温は、日本並みに30℃まで上がるんですよ。夏には山火事が起こってしまうこともあるんです。

    アラスカ州にある研究拠点で撮影した冬と夏の写真だよ。冬と夏では様子が違うね。

  • 2種類の氷

    北極圏にある氷には、陸の氷と海の氷の2種類があります。陸に降り積もった雪は固まって「氷床(ひょうしょう)」になります。海水が凍ってできた海に浮かぶ氷は「海氷(かいひょう)」とよばれます。もし、北極圏にあるグリーンランド島の「氷床」が全部とけてしまったら、地球全体の海面が7メートル上昇します。

    海水が凍った「海氷」。もともと海に浮いている氷だから、とけても海面の高さは変わらないんだって。

  • 大きな川がいっぱい

    北極圏には大きな川がたくさんあります。
    川の水は塩を含まないので、海水よりも軽いです。軽い川の水はフタのような役割をして海水を上下に混ざりにくくします。地球全体の海に流れこむ川の水のうち10分の1もの量が、せまい北極海に流れこんで、海面に広がっています。あたたかい川の水が海氷を直接とかすこともあるよ。

    北極海に流入するレナ川の中流部(ロシア)。凍りつく冬には道路(アイスロード)として利用されることもあるよ。

みんなのおうちにある冷凍庫が
マイナス18℃ぐらいだから、
北極の冬はそれよりもうんと寒いんだね。
冬の間は、北極海のほとんどが凍っていて
船で行けないらしいよ。
北極海をどうやって冒険するのかな?

どうやって北極海に行くの?

JAMSTECの海洋地球研究船「みらい」は
氷があると進めないから、
北極海には夏の海氷が少ない時期に行くんだ。

「みらい」で北極海に行ってみよう!

日本と北極の距離は、実は日本とアメリカやヨーロッパとの間の距離よりも近いのです。

船だと日本から2週間ほどで、北極海の入り口のベーリング海峡に到着します。

ポッチャマを乗せた「みらい」が北極海で観測をしながら進んだ航路(道すじ)だよ
ポッチャマを乗せた「みらい」が
北極海で観測をしながら進んだ航路(道すじ)だよ

北極に一緒に行ってみよう ~みらいver~

  • 海氷の近くを航行する「みらい」

    「みらい」は全長約 130m!

    観測のプロ集団を乗せ、日本を離れて世界の海をめぐります。

    氷を砕きながら進むことはできないけれど、少しの氷がある海なら進める耐氷船(たいひょうせん)なんだ。だから、海氷で海面がおおわれたエリアに近づいて観測できるんだって。

    海洋地球観測船「みらい」。奥に海氷があるよ。
    海洋地球研究船「みらい」
    奥に海氷があるよ
  • 観測の準備をしよう!

    大型トラック 5~6台分の大量の観測や実験に必要な装置(そうち)などを清水港で待っている「みらい」に積みこみます。食料も2ヶ月分ほど積みこんで準備万端。これから北極に向かうと思うとワクワクするね。

    • トラックへの積みこみを見守っているの、だ~れだ?
      トラックへの積みこみを見守っているの、
      だ~れだ?
    • トラックから降ろした荷物をふ頭で船に積みこみます
      トラックから降ろした荷物を
      ふ頭で船に積みこみます
  • いざ出航

    研究者40名、乗組員40名、全部で80名で北極海に向けて出航します!

    北極にむけて進むから、毎日ちょっとずつ寒くなるんだって。約2ヶ月の長い長い調査になるよ。

    乗り切れるかな?


    今回の航海は、日本の北極研究者が集まったArCS IIプロジェクトの活動の一つだよ。

    • 港から出発!奥には他の船も
      港から出発!奥には他の船も
    • ブリッジ(船を運転するための部屋)で一緒に海図を広げて確認
      ブリッジ(船を運転するための部屋)で
      一緒に海図を広げて確認
  • 北極に入る前に、避難訓練(ひなんくんれん)!

    これから「操練(そうれん)」と呼ばれる避難訓練をするよ!サイレンを合図に、ヘルメットや救命胴衣(きゅうめいどうい)をすばやく身に着けて、避難場所(ひなんばしょ)に集まります。いざという時のために、とても大切な訓練です。

    陸にいるときの避難訓練よりも大変!
    陸にいるときの避難訓練よりも大変!
  • 北極の入り口に到着!

    北極の入口「ベーリング海峡」に到着したよ。

    ここまでの直線距離はなんと約4,800㎞!泳ぎが得意なポッチャマでも、この距離は大変かな?


    いよいよ北極海に入ります。さあ、ここからいろいろな方法でいろいろな対象を観測していきます。今回は海水、海氷、プラスチックのゴミの観測を見てみよう!

    去年(2020年)の景色

  • 2つの方法で海水を
    調べてみよう!

    さぁ、まずは船上から海水を調べてみましょう。海水を採取する装置(そうち)を海に投入し、いろいろな深さの海水をくみます。

    つぎは、海中に計測機器(けいそくきき)を設置するよ!季節で変わる海の状態を、1年かけて毎日の水温や塩分などのデータを集めて調べます。

    このような観測を何年も続けることで、北極海も温暖化していることがだんだん分かってきました。

  • 海氷を調べてみよう!

    氷の塊が流れてきました。

    北極海ではよくみられる海氷(かいひょう)です。とてもきれいな海氷ですが、実はその中には様々なものが閉じ込められています。海氷を採って、中の物質を調べてみましょう!


    海氷の下に潜り込んで、下から氷の厚さを計測したり、周辺の海水のデータを自動で取得する水中ロボットも開発しているよ。

  • プラスチックを採取しよう!

    おや?海にプラスチックが浮かんでいる…?

    実は、北極にもプラスチックのゴミが流れ着いてしまっていることが問題になっています。

    どんなゴミがどうやってここまで運ばれてきたのか、網で採取して調べているんだ。

    海に網を下ろして、プラスチックを集めます
    海に網を下ろして、プラスチックを集めます
  • 北極を背に日本に向けて

    2ヶ月の長~い北極海での観測を終え、これから日本に戻ります。

    帰り道では、北極海で得られたデータを整理したりサンプルを陸に降ろすための準備をするよ。

    帰り道は海がこんなに荒れることも!ポッチャマでも泳ぐのは大変だね。


    北極海でのいそがしい毎日が終わって、一安心のみんなと集合写真!

    長い観測航海は、船を運転する航海士さんや食事を用意するコックさん、船のエンジンを管理する機関士さんなどみんなの力が合わさるからできるんだ。

    ぶじ、航海が終わってみんな笑顔!
    無事、航海が終わってみんな笑顔!!

進化した船を
作っているよ!
北極域研究船ほっきょくいきけんきゅうせん

「みらい」は海氷を砕いて進んでいく砕氷(さいひょう)機能を持たないため、観測できる範囲が限定されていました。そこでJAMSTECは2021年春から、砕氷機能を持った日本初となる「北極域研究船」をつくり始めているよ。

「北極域研究船」は「みらい」のさまざまな観測機能に加え、新たな観測機能も備えています。

詳しくはの動画を見てね。

ポッチャマとの調査はどうだったかな?

北極は気候変動の影響が
はっきりと出やすいため、
ここでの研究は地球全体のことを
知るためにとても重要なんだ。

だからさまざまな分野の研究者が
ひとつの船に集結して、
たくさんの調査観測をするんだね。

第3弾 北極の最新の研究は?

JAMSTECでは長い間、
北極での観測をつづけて、
北極で起きている現象と地球全体の謎を解き明かしているよ。
それでもまだまだ分からないことがたくさん。


今回は、研究の結果、新しく分かったことを3つ紹介するよ!

ポッチャマとの冒険で、北極に興味を持ってくれたキミは、ぜひ読んでみてね。

急激に減少している海氷

北極では、近年急激に海氷が減っています。

その原因として、次の3つのことが分かってきました。


  1. 北極海上の気温が高くなっている

  2. 風向きが変わることで、北極海の海氷が北大西洋により多く流されることがある

  3. 北極海に流れ込むあたたかい海水が増えているため、海水が凍りにくくなったり、海氷がとけやすくなっている


人工衛星や海に入れた観測機器から得られるデータが増えたことで、海氷がどれくらい海をおおっているのかだけでなく、海氷の厚さや流れ、周辺の気温や水温が分かってきました。


その結果、海氷が減る原因を詳しく探れるようになりました。

夏に海氷がとけてゆく様子(カナダ漁業海洋省DFOとの共同観測で撮影)
夏に海氷がとけてゆく様子
(カナダ漁業海洋省DFOとの共同観測で撮影)

北極の海氷の様子についてはこちらをチェック!

床暖房の役割を担う海

北極海では、海面から30~100m下の深さのところに太平洋側からあたたかい海水が流れ込んでいて、海面に浮かんでいる海氷を下側から床暖房のようにあたため、とかしていることが分かってきました。


このあたたかい海水が、いつ・どこに・どれくらいの量で流れ込んでいるのかを、観測機器やコンピュータシミュレーションから得られるデータをつかって研究しています。

あたたかい海水が下から海氷をとかしている仕組み

この研究を進めているグループについてはこちらをチェック!

大気の二酸化炭素を吸収する海

北極海は海面の水温が低いので、他の海に比べて大気(たいき)中の二酸化炭素が海のなかにとけこみやすいのが特徴です。※


海面に浮かぶ海氷は、フタのような役割をして大気と海面の間をさえぎります。近年、海面を覆う海氷の面積が減ったことで、大気中の二酸化炭素がより多く北極海にとけこむようになりました。


このことで、二酸化炭素に代表される大気中の温室効果(おんしつこうか)気体の濃度が増えにくくなり、地球の温暖化するスピードが少し遅くなります。でも、海にとけこんだ二酸化炭素の分だけ、海水の状態は酸性の方向に傾きます。酸性に近づくと、海のなかのいろいろな生き物にも影響が出てくるのではないかと心配されています。


※酸素や二酸化炭素などの気体は、水温が低いほど水にたくさんとけこみ、反対に水温が高くなるととけこめる量が減る傾向にあります。

大気から海に吸収される二酸化炭素

もっと詳しい内容についてはこちらをチェック!

今回ポッチャマが参加した調査のほかにも、
北極で様々な調査を行っているんだ。
JAMSTECは地球の最北端で
日々研究を続けているんだね。

ポッチャマと深海に行く!
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