地球発見 まだまだ知らない「ちきゅう」がある。

CDEX
Face:「ちきゅう」の運航を根幹から支える

掘削は常に大きな危険がともなう苦労の多い作業だ。その危険な掘削作業を無事終了させるために、ちきゅうの運航を根幹から支えるのがOSI(船上代表)の仕事だ。船上代表を務める猿橋具和さんに、その役割や苦労についてうかがった。
(2012年3月 掲載)

猿橋具和「ちきゅう」OSI(船上代表) 取材協力
猿橋具和
「ちきゅう」OSI
(船上代表)
地球深部探査
センター
(CDEX)
運用室
掘削管理グループ
サブリーダー

安全に掘削作業を進めるために

 船上代表の最大の役割は、掘削に関わるすべての人の意見を聞いて「安全に」掘削作業を進めることだ。ちきゅうに乗り込む約200人は、CDEX(地球深部探査センター)に所属する掘削や地質技術者、IODP加盟国の研究機関に所属する研究員、日本マントルクエスト株式会社(ちきゅうの運航を委託された会社)に所属する船舶や掘削の技術者と大きく3つに分けられる。この3つのグループを船上代表が束ねている。役割や立場により、乗組員の考え方もさまざまだが、そのすべての意見をきいて、安全に作業が進むように調整する。船に乗り込めば、作業のプランニングから人員の調整、オペレーションの管理と朝から晩まで休むことなく仕事が続く。ほんのすこしの調整ミスが大きな事故にもつながりかねないので、あらゆるところに気を配りながら、作業の進行を管理する。船上でおこるさまざまな状況を判断し、何かあれば即座に対応しなければならないという非常に責任の重い仕事だ。「何が起こっても回復できるように、できる限りの準備をしていますが、それでも予期しないことが起こります。常に緊張の連続です」と猿橋具和船上代表は話す。

  猿橋船上代表は、今まで世界の現場で石油資源掘削や海底光ケーブルの開発に関わってきた掘削のベテラン。この豊富な経験が、掘削の現場で重い責任を背負う力を身に付けさせたと言える。

「ちきゅう」で作業、打ち合わせする猿橋代表

 

猿橋具和「ちきゅう」OSI(船上代表)