地球発見 まだまだ知らない「ちきゅう」がある。

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ヘリコプターの離着船にも目を配る

 「ちきゅう」の安全に関する鉄則の一つが「危険を感じたら誰でも作業を中断させることができる」である。そして、対策に納得してから作業が再開される。たとえば、作業中に聞き慣れない音がしたら、作業員が自分の判断で作業を止めて、原因を突き止めてから再開となる。
 HSEオフィサーのアドバイスのもと「ちきゅう」では安全対策がとられつづけている。必要に応じて船内の段差にスロープがつけられたり、高所作業用のゴンドラがつけられたりする。JFAST2では水中カメラのワイヤーが万が一切れた時の対策として、人と資材を守るための鉄の防壁が用意されたりもした。

 源HSEオフィサーはHLOの仕事も兼務している。「HLO」とは「ヘリコプター(Helicopter)」、「着陸(Landing)」、「オフィサー(Officer)」である。
 「ちきゅう」には船首にヘリポートが一つある。ヘリコプターが到着するときHLOは30分前からスタンバイする。スタッフは合計6名。万が一、ヘリコプターが事故を起こしたとき即応できるような体制で待ち受ける。源HSEオフィサーは、HLOとして5名のスタッフとヘリコプターのパイロットのすべての様子がわかる場所にスタンバイする。「パイロットと密接なコンタクトをとりながら常にあらゆるシチュエーションを考えています」と源HSEオフィサーは話す。
 「ちきゅう」は巨大な研究船だ。その乗員数はおよそ200人と少なくない。それでも,「ちきゅう」の無災害期間は1500日以上におよんでいる。その記録の背景には安全管理に眼を配るプロの姿がある。

ヘリコプターの離着船に対応する源オフィサー