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平成15年度海洋科学技術センター委託 |
2.水中音の種類と特性2−1.水中音の種類水中音は「自然音」と「人工音」の二種類に大別でき、その主なものは次のようである。 (1)自然音自然音の種類およびその音源としてあげられるのは次のようなものである。
(2)人工音人工音の種類とその音源としてあげられるのは次のようなものである。
こうした海洋における人工音の区分、種類分けについては次のようなものもある。 表2-1. 主な海底鉱物資源の概要
(General types of man-made sounds in the oceans)
(出典:W.John Richardson, et al. Marine Mammals and Noise、1995、p.102)
2−2.水中音の大きさと特性(1)水中音の概括海中音響学(Ocean Acoustics)は、海中での音とその挙動を研究する学問分野である。海中の物体が振動すると音圧の波が発生し、海中を伝播していく。海中の音は、図2-1に示すように、次のもので構成される。
図2−1で示されている海中音は、1回の音の波のサイクルの時間幅は0.5秒であり、周波数は1秒間当たり2サイクル(または2Hz)である。 人間は、一般に20Hzから20,000Hzの間の音を聞いている。20Hz以下をinfrasonic といい、20,000Hz以上をultrasonicと呼ぶ。ちなみにピアノの中間“C”の周波数は246Hzである。 ![]() 図2−1.海中音の構成 振幅(amplitude)は、音圧の並みの高さを表し、その音の“大きさ(loudness)”を表し、通常、dB単位で表される。次の二つの図は、周波数の高いものと振幅の大きいものとを示している。 ![]() 図2−2.同一の周波数の図 ![]() 図2−3.同一の振幅の図 (2)大気中の音と水中の音との比較ところで、大切なことは、dBで音の振幅(大きさ)を論じる時に、それが大気中でのものか海中でのものかをはっきり区別することである。海中の150dBの音は、大気中の150dbの音と同じではない。 大気中の音と水中の音との比較を表2−2に示す。
注)ハイドロフォンでは音圧を通常、マイクロパスカル(μPa)で表す。大気中では1dB は20μPaであるが、水中では1μPaであることに注意しなければならない。たと えば、スーパータンカーが発生する音は、水中では190dBであるが、大気中では 164dBで、ジェットエンジンの音よりも大きい。ただし、この表に示した数値は概 数値であって、その振幅(大きさ)はしばしば周波数によって変わってくる。
(この部分の内容は、次のwebsiteによる。 (3)水中音の調査事例上記のような水中音は、さまざまなレベルがあり、その大きさ(一般的にはdBで表示)については、ここ10年前後で急速な研究が進められてきている。その理由は、第一には、冷戦の終結により潜水艦戦の戦略・戦術のもつ軍事上の重要性が低下し、そのことによって水中音響技術の学術・産業用への応用が活発に行われるようになったという背景がある。第二に、海洋の開発・利用もさることながらその前提となる調査観測、あるいは海洋環境の保護・保全のため、海洋科学研究のための調査観測活動も、海洋環境に対しての働きかけといった意味では同類であって、その影響についても把握・評価すべきであるという意見が浸透してきたことがあげられる。 このことは、特にエコ−・ロケーションなど水中音を基礎とした生態を有するクジラ等の海産哺乳動物等の海洋生物に対する人工音の影響に注目する動きがでてきたことから、研究が促進されてきたという時代の趨勢に表れてきた。 そこで、こまでの知見から、上記の水中音の大きさや特性について述べている文献・資料のなかから参考になると思われるものを抜粋して、以下に掲げることとした。 表2−3は、後述するATOC調査資料の中に含まれているもので、自然音=3、海産哺乳動物の音=6、人工音=6、一般外洋域の音=1、の計16種類の水中音の大きさについて、根拠となる出典を明示して総括表としてまとめられたものである。人工音について、エアガンといった機器によるものと海洋石油掘削や沿岸浚渫などのような活動分野を一くくりにしたものが同列に並べられている点に留意しなければならないが、他方で、6種類のクジラの鳴き声について簡潔に表示されているのが分かりやすい。 表2−4も、同様に各種の海中音響のスケールを示しているが、右欄に海産哺乳動物の受容限界等についても付記されているので興味深い。 こうした音源種類別の水中音の概要については、ビジュアルにグラフ化されたものがあり、理解を深めるのに役立つ。図2−4に示したものがそれで、地震や爆発によるものから船舶航行によるものなどの相互比較が目で見て分かりやすく、スペクトラムによって表現されている。 次いで、図2−5だが、これは付属資料に全体を収録したもののなかの一部であるが、これも水中音のスペクトラムを図示している点で分かりやすい。 さらに、図2−6に、代表的な水中音の個々のスペクトラムをビジュアル化した有益かつ貴重な資料を示す。これは、自然音=海底地震・海底火山の爆発の2種+クジラ4種類の泣き声、人工音=大型船・小型船+エアガン、さらに最後に不明音、をそれぞれ示したものである。NOAAのoceanexplorerというホームページの中に掲載されているものだが、現在、NOAAにはOffice of Ocean Explorationという部署が設置されていて、こうした海洋研究に大いに力を入れている。
表2−4 海中音響の多様なスケールと相互関係 ![]() (出典:W. John Richardson, et al, Marine Mammals and Noise, Academic Press, 1995) ![]() Generalized ambient noise spectra attributable to various sources, Compiled by Wenz(1962) from many references and replotted in presently used units 図2−4.各種の水中音源の概観 (出典:W. John Richardson, et al, Marine Mammals and Noise, Academic Press, 1995) ![]() 図2−5.各種の水中音源の概観(2) ![]() 図2−6.NOAA Ocean Explorer: Sound in the Sea ![]() ![]() |
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