
2007年06月14日
独立行政法人海洋研究開発機構
「地球シミュレータ」の有償利用サービスの拡大について
独立行政法人海洋開発研究機構(理事長 加藤康宏)は、「地球シミュレータ」の産業利用促進及び「地球シミュレータ」を活用したイノベーションの創出支援に向けて、有償利用サービスの拡大を行います。
これまで、世界最高水準の計算性能を有する「地球シミュレータ」は、地球環境の変動を的確に予測、解明し人類の明るい未来を拓くとともに、高度なシミュレーション技術によって21世紀の科学技術の発展に寄与することを目的に、地球科学分野のみならず自動車、航空宇宙産業等など民間との共同研究等により産業分野での成果公開を前提とした利用を推進してきました。
一方で、産業界から成果非公開の要望を受け、成果専有型有償利用を試行してきましたが、我が国における経済成長や社会進歩の原動力としてのイノベーションの重要性に着目した「イノベーション25」等、国家的政策課題に関する方針が立ち上げられるなど、イノベーションの創出・促進に向けた新たな取り組みが開始されていることを背景に、「地球シミュレータ」の産業界への更なる利用拡大、ならびにシミュレーション研究の発展に資することを目的に、下記のとおり有償利用サービスを拡大いたします。
記
- 1.
- 利用開始年月日:平成19年6月15日(金)
- 2.
- 利用内容:
- (1)
- 事前評価利用(トライアルユース)(無償)
シミュレーションプログラムを「地球シミュレータ」で動作させる確認もしくは移植作業や、効率的に動作させるチューニング作業のための事前評価を実施していただけます。この事前評価で利用できる計算資源(ノード・時間※1)は、原則として予定している有償利用ノード・時間の10%を限度とし、その間の利用経費は無償といたします。なお、事前評価は海洋研究開発機構の技術支援の下、共同で実施していただきます。
- (2)
- 本格的利用(有償)
海洋研究開発機構が定める諸規定に従って、成果を100%利用者へ帰属
する形でご利用いただけます。なお、成果の非公開も可能といたします。
※利用料金:1,585円/1ノード×時間(成果の公開非公開問わず)
- (3)
- 汎用ソフトウエアの利用
「地球シミュレータ」向けにチューニングされているシミュレーションソフトウェアのうち、多数の利用が見込まれるFrontFlow/red(次世代流体解析ソフトウエア)※2とPHASE(第一原理シミュレータ)※3の2本をご利用いただけます。
- 3.
- 申込方法:以下URLに利用申し込み要領が掲載されています。
http://www.jamstec.go.jp/es/jp/senyu/index.html
- ※1
- ノード・時間:計算に使用したノード数と計算の処理時間の積で表わします。1ノード(8CPU)を用いて計算の処理時間が1時間を要した場合、1ノード・時間となります。
- ※2
- FrontFlow/red(次世代流体解析ソフトウエア):乱流、燃焼、混相などの複雑な現象が混在する流れ場を解析することができます。
- ※3
- PHASE(第一原理シミュレータ):物質中の電子状態を密度汎関数理論に基づき計算することができます。半導体や金属材料等の解析に応用できます。
<補足説明>
「地球シミュレータ」(http://www.jamstec.go.jp/esc/):
宇宙開発事業団、日本原子力研究所、海洋科学技術センター(名称、全て開発当時)が開発したスーパーコンピュータ。コンピュータ内に仮想地球を作り、大気や海水、地殻の状態を高速かつ高精度にシミュレーションでき、中長期的な環境変動や災害などの予測、解明を目的に開発、使用されている。また、バイオ、ナノ分野といった産業応用が可能な先進分野でも幅広く利用されている。