プレスリリース


2011年 11月 11日
独立行政法人海洋研究開発機構

統合国際深海掘削計画(IODP)第339次研究航海の開始について
〜地中海流出水の変動を知り、その地球環境変動への影響を解明する航海〜

この度、統合国際深海掘削計画(IODP: Integrated Ocean Drilling Program)()の一環として、「地中海流出水と地球環境変動の関連性の解明」(別紙参照)を実施するため、米国が提供するジョイデス・レゾリューション号の研究航海が11月17日から開始されます。

本研究航海では、地中海の出口で掘削・堆積物コアの採取を行い、新第三紀の鮮新世以降(過去約530万年間)の地中海流出水の変動史を明らかにするとともに、流出水の変動が北大西洋の海洋循環や地球規模の古気候変動に与えた影響を解明することを目的としています。日本から6名が乗船するほか、米国、欧州、中国、韓国、オーストラリア、インドからも含め、計27名が乗船研究者として参加する予定です。

※統合国際深海掘削計画(IODP: Integrated Ocean Drilling Program)

日・米が主導国となり、平成15年(2003年)10月から始動した多国間国際協力プロジェクト。現在、欧州、中国、韓国、豪州、インド、ニュージーランド の24ヶ国が参加。日本が建造・運航する地球深部探査船「ちきゅう」と、米国が運航する掘削船ジョイデス・レゾリューション号を主力掘削船とし、欧州が提供する特定任務掘削船を加えた複数の掘削船を用いて深海底を掘削することにより、地球環境変動、地球内部構造、地殻内生命圏等の解明を目的とした研究を行う。

別紙

地中海流出水の変動を知り、その地球環境変動への影響を解明する航海

1.日程(現地時間)

平成23年11月17日
ポンタ・デルガダ(ポルトガル領アゾレス諸島)より出港
カディス湾およびイベリア半島西方沖にて掘削を実施
平成24年1月17日
リスボン(ポルトガル)に入港
(掘削航海終了)

なお、準備状況や調査の進捗状況等によって変更の場合があります。

2.日本から参加する研究者

氏名 所属/役職 乗船中の役割
(担当分野)
黒田潤一郎 海洋研究開発機構/研究員 堆積学
高清水康博 新潟大学/准教授 堆積学
七山 太 産業技術総合研究所/主任研究員 堆積学
西田尚央 産業技術総合研究所/ポスドク研究員 堆積学
風呂田郷史 北海道大学/大学院生(修士課程) 堆積学
Francisco J. Jimenez-Espejo 海洋研究開発機構/ポスドク研究員 物理特性

3.研究の概要

本研究航海では、地中海の出口にあたるカディス湾とイベリア半島西方沖の合計7サイトで掘削を行います。カディス湾での5サイトとイベリア半島西方沖での1サイトでは、新第三紀の鮮新世以降(過去530万年間)の堆積物コアを回収し、これらの堆積物コア試料から地中海流出水の始まりと発達過程、および変動史を明らかにし、地中海流出水の汎世界的気候変動への影響等を解明することを目指します。また、本研究航海では、イベリア半島西方沖のもう1サイトにおいて、前期更新世(約150万年前)以降の北大西洋の海洋環境変動を記録した堆積物を採取し、その変動を1,000年単位という高解像度で明らかにすることも目的としています。

4.掘削の概要

本研究航海では、カディス湾のジブラルタル海峡に近い場所(GC04B)から西方向に5サイト(水深約570〜980 m)で約430〜1550m、およびイベリア半島西方沖2サイト(水深約150〜1100m)、で約150〜700mの掘削をおこないます。

図1 本航海での掘削海域(白い囲み)と乗下船地の位置。

図1 本航海での掘削海域(白い囲み)と乗下船地の位置。

図2 図1の白い囲み部分の拡大図(赤丸が掘削地点)

図2 図1の白い囲み部分の拡大図(赤丸が掘削地点)

お問い合わせ先:

独立行政法人海洋研究開発機構
(IODPおよび本航海について)
地球深部探査センターIODP推進・科学支援室 科学計画グループ
グループリーダー 菊田 宏之 TEL:045-778-5644
(報道担当)
経営企画室
報道室 奥津 光 TEL:046-867-9198