トップページ > プレスリリース > 詳細

プレスリリース

2019年 11月 20日
2019年 12月 12日訂正
国立研究開発法人海洋研究開発機構
国立大学法人東京大学
国立大学法人神戸大学
学校法人千葉工業大学
国立大学法人九州大学
国立大学法人東京工業大学
学校法人早稲田大学

天体衝突イベント由来の新たなエジェクタ層を中新世の深海堆積物から発見
―約1,160万年前の生物大量絶滅イベントの原因解明か―

1. 発表のポイント

北西太平洋南鳥島沖の深海堆積物から、中新世天体衝突イベント由来のエジェクタ層(放出物質の堆積層)を発見した。エジェクタ層にはオスミウム同位体比の負異常、白金族元素の異常濃集、ニッケルに富むスピネルを多数含む球状粒子(スフェルール)の産出などの天体衝突イベント由来の証拠が確認された。
エジェクタ層の堆積年代は約1,100万年前と推定され、陸上に大きなクレーターが存在しないことから、世界で2例目の海洋天体衝突イベントの発見である可能性が高い。
エジェクタ層の堆積年代は、約1,160万年前(中新世)に起こった最も年代の新しい生物大量絶滅イベントと誤差の範囲で重なることから、中新世生物大量絶滅イベントを引き起こした可能性がある。

2. 概要

国立研究開発法人海洋研究開発機構(理事長 松永 是)海洋機能利用部門海底資源センターの野崎達生グループリーダー代理らは、国立大学法人東京大学、国立大学法人神戸大学、学校法人千葉工業大学、国立大学法人九州大学、国立大学法人東京工業大学、学校法人早稲田大学と共同し、2014年10月に海洋地球研究船「みらい」を用いて南鳥島周辺で採取されたピストンコア試料(図12)(※1)を詳細に記載および分析した結果、中新世の深海堆積物に天体衝突イベント由来のエジェクタ層(※2)が含まれていることを明らかにしました。

このエジェクタ層は、オスミウム同位体比(187Os/188Os)(※3)が約0.2まで低下する明瞭な負異常を示します(図34)。また、オスミウム濃度やイリジウム濃度はそれぞれ最高で約2.2 ppbおよび約3.2 ppbに達し、上部大陸地殻の平均値の数十倍を示すことから白金族元素(※4)濃度の異常濃集を伴います(図34)。さらに、本堆積物には天体衝突によって生成された球状粒子(スフェルール)が多数含まれており、スフェルールはカンラン石の仮像(※5)と推定される粘土鉱物および最大でNiO濃度が23.3%に達するスピネル(※6)粒子から構成されています(図56)。これらはいずれも地球上への天体衝突イベントと、それに伴う隕石および被衝突物の溶融と冷却によって生成される物質に特有の記載学的・地球化学的特徴です。

今回発見されたエジェクタ層は、オスミウム同位体(187Os/188Os)層序(※7)からその堆積年代が約1,100万年前と推定されます(図3)。年代決定手法が持つ誤差を考えても、陸上に大きなクレーターが存在しない年代であることから、これまでに見つかっていない地球上への新たな天体衝突イベントの証拠と考えられます。また、陸上に同年代の証拠がないことから、約251万年前に南太平洋に衝突したEltanin天体衝突イベントに次ぐ、世界で2例目の海洋天体衝突イベントの可能性が高いと考えられます。さらに、約1,160万年前に起こったとされる最も年代の新しい生物大量絶滅イベント(※8)は長年その原因が謎とされてきましたが、本発見はその解明への糸口となる可能性があります。今後、他の海域の深海堆積物についても調査を行い、新たに発見された中新世天体衝突イベントの詳細を解明していく予定です。

本成果は、英国のNature Publishing Group(NPG)が発行する学術雑誌「Scientific Reports」に11月20日付け(日本時間)で掲載予定です。

タイトル:A Miocene impact ejecta layer in the pelagic Pacific Ocean
著者:野崎達生1、2、3、4、大田隼一郎4、2、5、6、野口高明7、佐藤峰南4、1、石川晃8、1、4、髙谷雄太郎9、1、4、木村純一6、常青6、島田和彦10、石橋純一郎10、安川和孝2、5、4、木元克典11、飯島耕一1、加藤泰浩2、5、4、1
1. 海洋研究開発機構 海洋機能利用部門 海底資源センター
2. 東京大学大学院工学系研究科 エネルギー・資源フロンティアセンター
3. 神戸大学大学院理学研究科 惑星学専攻
4. 千葉工業大学 次世代海洋資源研究センター
5. 東京大学大学院工学系研究科 システム創成学専攻
6. 海洋研究開発機構 海域地震火山部門 火山・地球内部研究センター
7. 九州大学基幹教育院 自然科学実験系部門
8. 東京工業大学理学院 地球惑星科学系
9. 早稲田大学大学院創造理工学研究科 地球・環境資源理工学専攻
10. 九州大学大学院理学研究院 地球惑星科学部門
11. 海洋研究開発機構 地球環境部門 地球表層システム研究センター

3. 背景

日本は世界第6位の広さの排他的経済水域(EEZ)を有し、その中にはマンガン団塊、海底熱水鉱床、マンガンクラスト、レアアース泥(※9)に分類される海底鉱物資源やメタンハイドレート、海底油田などのエネルギー資源が分布しています。2011年7月には、総レアアース濃度が400 ppmを超えるレアアース泥が、太平洋の広範囲に分布していることが発見されました。さらに、2013年3月には南鳥島のEEZ内から総レアアース濃度が6,500 ppmに達する超高濃度レアアース泥が発見されました(2013年3月21日既報)。その後、レアアース泥の分布・成因を解明するために、音波探査やピストンコアラーによる採泥航海が2013年から毎年実施されてきており、最近では超高濃度レアアース泥が広く分布する南鳥島南方約250 kmの海域について、ArcGISを用いたレアアース資源の3次元分布やレアアース濃度を高めるためのハイドロサイクロンの有用性が報告される(2018年4月10日既報)など、さまざまな成果が発表されています。このようにレアアース泥の特徴が次々と明らかにされつつありますが、レアアース泥の成因を考えるうえで重要な生成年代がいまだにわかっていません。

そこで、国立研究開発法人海洋研究開発機構および国立大学法人東京大学が中心となって、オスミウム同位体層序によるレアアース泥の生成年代決定を進めています。その過程において、2014年10月に海洋地球研究船「みらい」を用いて北西太平洋の南鳥島周辺で行われたMR14-E02航海で採取されたピストンコア試料から、オスミウム同位体比の負異常とオスミウムの異常濃集を伴う層が発見されました。オスミウム同位体比の負異常とオスミウムの異常濃集は、カンラン岩の混入あるいは宇宙起源物質の混入の2つの可能性でしか説明できないことから、本研究では高精度の全岩化学組成分析・同位体分析や顕微鏡観察および鉱物組成測定などの詳細な記載を行い、その由来の特定を試みました。

4. 成果

南鳥島周辺で採取されたピストンコア試料であるMR14-E02 PC11(図12)(水深5,647 m、コア長1,311.5 cm)について、詳細な記載、鉱物組成測定および全岩化学分析を行いました。その結果、320 – 360 cmbsf(cm below seafloor:海底面からのcm表記の深さ)の地層に、オスミウムの異常濃集およびオスミウム同位体比の明瞭な負異常を発見しました(図34)。約357 cmbsfをピークとしてオスミウム濃度は最高で約2.2 ppbに達し、オスミウム同位体比は約0.2まで低下します(図34)。このオスミウム濃度は上部大陸地殻平均値の約70倍に達し、約0.2という低いオスミウム同位体比を伴うことから、カンラン岩のような超苦鉄質岩の混入か、隕石などの宇宙起源物質の混入の2つの可能性でしか説明できません。ピストンコア試料の記載、主成分元素および微量元素組成の結果からは、カンラン岩のような超苦鉄質岩混入の可能性は見つかりませんでした。そこで、オスミウム濃度と同位体比異常のピークを中心にさらなる密な試料のサンプリング、白金族元素濃度の定量分析およびコア試料の62 μm以上の粗粒部をふるい分けし、研磨片の作成、反射顕微鏡観察、鉱物組成測定などを行いました。

白金族元素濃度の最大値はオスミウムが2.2 ppb、イリジウムが3.2 ppb、ルテニウムが3.1 ppb、白金(プラチナ)が13.4 ppb、パラジウムが4.3 ppbを示し、上部大陸地殻の平均値の数十倍に達します(図34)。特に、イリジウム濃度は恐竜絶滅を引き起こした白亜紀-古第三紀境界(6,600万年前)の天体衝突イベントに伴うエジェクタ層よりやや低いものの、カナダに直径90 kmのクレーターを生じさせた三畳紀後期(約2億1,500万年前)の天体衝突イベントのエジェクタ層(2013年9月17日既報)に匹敵する高い値です。また、球状の石質隕石であるコンドライト(※10)で規格化したレニウムおよび白金族元素パターンは、ややPPGE(白金、パラジウム、ロジウム)に富む右上がりのパターンを示します(図4)。オスミウムおよびイリジウム濃度の最大値から、このパターンは99.5%の遠洋性堆積物と0.5%のCIコンドライトの混合でおおむね説明できますが、遠洋性堆積物とCIコンドライトの単純な混合ではPPGEに比べてよりIPGE(オスミウム、イリジウム、ルテニウム)に富む点が説明できません。しかし、“遠洋性粘土”と“CIコンドライト+海洋地殻+遠洋性粘土のメルト”の混合を考えれば、レニウムおよび白金族元素パターンが整合的に説明できます。つまり、隕石、地球表層の地殻および堆積物の混合により説明できるということです。

オスミウム同位体比と白金族元素濃度に異常が認められた試料について、粗粒部分をふるい分けして作成した研磨片を反射顕微鏡、走査型電子顕微鏡および3次元X線顕微鏡で観察すると、直径数十μm~数百μmの球状粒子(スフェルール)が多数観察されます(図56)。スフェルールの外側は遠洋性粘土の構成物である石英、イライト、沸石、緑泥石-スメクタイト、磁鉄鉱、チタン鉄鉱、輝石などからなりますが、内側はカンラン石由来と考えられる六角板状の仮像を示す粘土鉱物が卓越し、その中には自形~樹枝状~球状のスピネル粒子が産出します(図56)。樹枝状のスピネル粒子は、自形のスピネル粒子の先端から延びるように成長している物が多く、自形および樹枝状のスピネルは0.04 – 4.78 wt% NiO濃度を、球状スピネルは3.30 – 23.29 wt% NiO濃度を示します。より初生的な情報を記録していると期待されるCr2O3濃度に富む(クロムスピネル成分に富む)スピネルについて、集束イオンビーム-走査型電子顕微鏡とイオンミリング装置により数μm四方の研磨片を作成し透過型電子顕微鏡で観察すると、クロムに富むコア部と鉄に富むリム部(周縁部)に分かれており、鉄に富むリム部から磁鉄鉱成分に富む樹枝状スピネル粒子が成長している様子が観察されます(図7)。これらのスピネル粒子の形状および組織、NiO濃度、元素の累帯構造およびスピネル成分(化学組成)は、天体衝突イベントによる自形スピネル粒子の部分溶融とその後の急冷現象により、すべて整合的に説明されます。したがって、約357 cmbsfの地層を中心に宇宙起源物質(隕石)の深海堆積物への流入量が異常に増大したことが、記載学的・地球化学的に明らかとなりました。また、スピネル粒子の化学組成は、約251万年前に地球上に衝突した小惑星の破片であるEltanin隕石に含まれるスピネル粒子とは異なる組成を示し、炭素質コンドライト、あるいは普通コンドライトに含まれるスピネル粒子と類似した組成を示します(図7)。NiO濃度(トレボライト成分)の高い球状スピネル粒子は、隕石に含まれていた鉄-ニッケル金属の溶融と酸化によって生成したと考えられます。

5. 今後の展望

このエジェクタ層の堆積年代は、ピストンコア試料のオスミウム同位体層序から、約1,100万年前と推定されます(図3)。オスミウム年代に含まれる年代値の誤差を考慮しても、陸上に大きなクレーターが存在しない年代であることから、これまで認知されていなかった新しい天体衝突イベントの可能性があります。さらに、天体衝突イベントの証拠が陸上になく深海堆積物のみに残っていることから、Eltanin天体衝突イベントに次ぐ世界で2例目の『海洋天体衝突イベント』の可能性が高いといえます。

ペルム紀後期から現在までに、少なくとも11回の生物大量絶滅イベントが起こったことが知られています。それらの中で、約1,160万年前に起こったとされる最も年代の新しい生物大量絶滅イベントのみが、巨大火成岩岩石区の噴出や海洋無酸素事変との関連性がなく、長年その原因が謎とされてきました。今回、北西太平洋の深海堆積物から見つかった中新世天体衝突イベントは、年代値の誤差範囲で中新世の大量生物絶滅イベントとタイミングが重なるため、残された最後のピースを埋める研究となる可能性があります。今後、他の海域のピストンコアあるいは掘削コア試料の研究を進め、中新世天体衝突イベントの規模や地球環境に及ぼした影響などの詳細を解明していく予定です。

※1 ピストンコア試料:ピストンコアラー(ピストン式柱状採泥器)によって採取された堆積物コア試料。採泥器本体が自由落下し海底面に突き刺さった際、ピストンは海底面に止まり、パイプが貫入するため吸引力が生じ、底質を吸い込んで長い柱状試料を得ることが可能。本研究に用いたピストンコアは採泥管長15 mで採取された。

※2 エジェクタ層:エジェクト(eject)は英語で『放出する』という意味。本文中では、天体衝突イベント末期にクレーター内から低角度で放出された物質が、地表物質と混じり合って移動して生じた堆積層のことを指す。

※3 オスミウム同位体比(187Os/188Os):オスミウムには質量数184、186、187、188、189、190、192の7つの同位体が存在するが、その同位体同士の比を取ったものがオスミウム同位体比。特に、187Os/188Osは地球上の構成物質によって異なる値を持つことが知られているため、宇宙起源物質(隕石)の検出やサイズ見積りなどに使われている。

※4 白金族元素:ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金(プラチナ)の6元素を総称した呼び名。白金族元素は地球内部物質や隕石などの未分化な岩石に多く含まれる一方、地球表層物質には枯渇しているので、宇宙起源物質(隕石)の検出に有用である。

※5 仮像:温度・圧力・化学的状態の変化によって、その外形を保ったまま、成分の一部あるいは全部が置換してまったく新しい鉱物になったもの。仮晶ともいう。

※6 スピネル:尖晶石とも呼ばれる。鉱物名としても、広い固溶範囲を示す鉱物のグループ名としても使われる。広義のスピネル鉱物グループを指す場合には『AB2O4』の組成を持ち、スピネル系列(BがAl、AがMg、Fe、Zn、Mn)、磁鉄鉱系列(BがFe3+、AがMg、Fe2+、Zn、Mn、Ni)、クロム鉄鉱系列(BがCr、AがMg、Fe2+)の3系列がある。狭義のスピネル系列はAlスピネルとも呼ばれ、Aの位置のMg、Fe、Zn、Mnは相互に完全に置換し、スピネル(MgAl2O4)、鉄スピネル(FeAl2O4)、亜鉛スピネル(ZnAl2O4)、マンガンスピネル(MnAl2O4)からなる。

2019年12月12日、赤字「スピネル(MgAl2O4)、」を追記しました。

※7 オスミウム同位体(187Os/188Os)層序:海水の187Os/188Osは、高い値を持つ河川水フラックスと低い値を持つ熱水・宇宙起源物質の3つのフラックスの相対的バランスで決まり、当時の地球環境に支配されながら時間とともに変化する。レアアース泥やマンガンクラストなどは、堆積した当時の海水187Os/188Osを保持する性質があるため、コア試料の187Os/188Os変化とグローバルな古海水187Os/188Os変動曲線をフィッティングすることで、堆積年代を決定することができる。このような手法をオスミウム同位体層序(Os isotope stratigraphy)と呼ぶ。

※8 生物大量絶滅イベント:3億年前から現在までに、少なくとも11回の生物大量絶滅イベントが起こったことが知られている。生物大量絶滅の原因は以下のように推定されている。

年代 生物大量絶滅の原因
約1,160万年前 -
約3,600万年前 隕石衝突
約6,600万年前 隕石衝突、火成活動、海洋無酸素事変?
約9,420万年前 火成活動、海洋無酸素事変
約1億1,600万年前 火成活動、海洋無酸素事変
約1億4,500万年前 隕石衝突
約1億8,270万年前 火成活動、海洋無酸素事変
約2億130万年前 火成活動、海洋無酸素事変
約2億1,500万年前 隕石衝突
約2億5,220万年前 火成活動、海洋無酸素事変
約2億5,980万年前 火成活動、海洋無酸素事変

※9 レアアース泥:レアアースに富み、総レアアース濃度が400 ppmを超える深海堆積物。Kato et al. (2011) により太平洋の広範囲におけるレアアース泥の分布が報告され、マンガン団塊、海底熱水鉱床、マンガンクラストに次ぐ第4の海底鉱物資源と注目されている。レアアース泥のうち、総レアアース濃度が5,000 ppmを超えるものは超高濃度レアアース泥と呼ばれ(Iijima et al., 2016)、2013年に南鳥島南方約250 kmの海域から発見された。

※10 コンドライト:石質隕石のうちコンドルールを含むことで特徴付けられる一群のことで、球状隕石とも呼ばれる。地上に落下する隕石の約80%を占め、揮発性成分を除いた化学組成が太陽大気の元素存在度に概して近いこと、形成年代が約45.5億年前であること、全体として溶融・分化していない組織を示すことなどから、太陽系の始原物質を最も良く保存したものと考えられている。化学組成および酸化還元状態からエンスタタイト(E)、H、L、LL、炭素質(C)の5つの化学的グループに細分化される。CIコンドライトは炭素質コンドライトの1種。

図1

図1 本研究に用いたピストンコア試料(MR14-E02 PC11)の位置図

図2

図2 本研究に用いたピストンコア試料の半割断面写真。エジェクタ層は、Section 4の中央部に位置する。

図3

図3 ピストンコア試料の(a)レニウム-オスミウム組成と(b)オスミウム年代。海底下320 – 360 cmにオスミウムの異常濃集とオスミウム同位体比の負異常が認められる。オスミウム同位体比層序から、エジェクタ層の堆積年代は約1,100万年前と推定される。

図4

図4 ピストンコア試料の(a)レニウム-オスミウム組成、白金族元素濃度および(b)コンドライト規格化白金族元素パターン。オスミウムの異常濃集とオスミウム同位体比負異常のピークと、白金族元素濃度の濃集ピークが一致する。白金族元素パターンは、PPGEに富むやや右上がりのパターンを示し、上部大陸地殻に比べるとPPGE(Pt:白金、Pd:パラジウム、Re:レニウム)よりもIPGE(Os:オスミウム、Ir:イリジウム、Ru:ルテニウム)の濃集度合いが高いことがわかる。

2019年12月12日、ロジウムから赤字「レニウム」へ訂正しました。

図5

図5 オスミウム濃度が最も高く、オスミウム同位体比が最も低いピストンコア試料の(a)3次元X線顕微鏡画像。数十μm~数百μmサイズのスフェルールが多数散見される。(b)、(c)は視野の中で最大のスフェルールを拡大した画像で、カラースケールが異なる。

図6

図6 オスミウムの異常濃集とオスミウム同位体比負異常を示すピストンコア試料の粗粒部(62 μm以上)をふるい分けした物から作成した研磨片の(a - c)反射顕微鏡画像および(d - i)後方電子散乱(BSE)画像。スフェルールの外側は遠洋性堆積物に覆われているが(a)、内部はカンラン石の仮像を持つ六角板状の粘土鉱物が卓越する(a、d)。粘土鉱物の中には自形~樹枝状~球状のスピネル粒子が多数産出する(a - i)。樹枝状のスピネル粒子は、自形のスピネル粒子の先端から延びて成長している様子が観察される(c、f - h)。まれに球状のスピネル粒子(破線白丸)が観察され、最大で23.29 wt%と高いNiO濃度を示す(i)。

図7

図7 ピストンコア試料のスフェルールに含まれるスピネル粒子の走査型電子顕微鏡画像、透過型電子顕微鏡による元素マッピング(クロム、鉄)、電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)および透過型電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分光器(TEM-EDS)で測定したスピネル粒子の化学組成。スピネル粒子は、クロムに富むコア部と鉄に富むリム部(周縁部)から構成され、リム部からは磁鉄鉱成分に富む樹枝状スピネル粒子の成長が観察される。本研究のスフェルールに含まれるスピネル粒子の化学組成は、Eltanin隕石とは異なる化学組成を有し、炭素質コンドライトあるいは普通コンドライト中に含まれるスピネルの化学組成と類似している。

(本研究について)
国立研究開発法人海洋研究開発機構
海洋機能利用部門海底資源センター グループリーダー代理 野崎達生
国立大学法人東京大学大学院工学系研究科
エネルギー・資源フロンティアセンター 講師 安川和孝
学校法人千葉工業大学
次世代海洋資源研究センター 主任研究員 大田隼一郎
国立大学法人九州大学基幹教育院
自然科学実験系部門 教授 野口高明
国立大学法人東京工業大学理学院
地球惑星科学系 准教授 石川晃
早稲田大学大学院創造理工学研究科
地球・環境資源理工学専攻 講師 髙谷雄太郎
(報道担当)
国立研究開発法人海洋研究開発機構
海洋科学技術戦略部 広報課
国立大学法人東京大学大学院工学系研究科
広報室
国立大学法人神戸大学
総務部 広報課
学校法人千葉工業大学
入試広報課
国立大学法人九州大学
広報室
国立大学法人東京工業大学
広報・社会連携本部 広報・地域連携部門
学校法人早稲田大学
広報室広報課 
お問い合わせフォーム